2-25.悪夢の再臨
──ニューラグーン国、近郊
調査地点からの帰り道、四班に対してクライヤマの事を説明した。
「それで、アインズさんに助けられた僕は、鎖を壊す旅に出たわけです」
クライヤマとはどんな場所か。
どんな文化でどんな生活をしていたのか。
日の巫女とは何者か。
あの時、何が起きたのか。
思いつく限りの事実を、ほとんど話した。
「そうですか、そのような事が……」
「ごめんなさい、辛気臭い話ばかりで」
リオの身に起きた出来事は、その場の誰もを一瞬黙らせた。
「して、クライヤマの生存者たちは、ブライトヒルにて保護を受けているのですか?」
ブラントの視線はアインズへ。
「それは……」
答えるべきか迷い、口篭る。
「……死にました、みんな」
「……え?」
あっさりと言うユウキに、ブラントは何度目かも分からぬ驚愕をした。
「住民も、巫女様も。僕以外は全員」
「我々ブライトヒルが急行した頃には、生存者はこの子ただ一人でした。なぜもっと早く……と、後悔の念に襲われます」
──畑のおじさんも
──釣りのおじさんも
──狩りのおじさんも
──編み物のおばさんも
──全員、バケモノに殺された
あの日の光景が、何度も何度もユウキの脳裏を過ぎる。
今考えても、奇妙に感じられた。
あの時の住民は、正気だとは思えない。
まるで何かに取り憑かれた様だった。
「……」
諦めているかのように語るユウキだが、
ブラントはその拳が震えるのを見た。
知りもせずに疑っていた自分が、ますます許せなくなる。
同時に、集団心理の恐ろしさを思い知った。
バケモノを見た事もない住人は、まだ沢山いる。
にも関わらず、ニューラグーン国では、
反クライヤマ思想が圧倒的多数派である。
「班長、あれ、煙ですよね?」
ふと前方──ニューラグーン国の方向を見たケスラーが、
何やら不審物を発見して報告。
ユウキの話で俯いていた一同が、彼の指さす方を一斉に向いた。
「ああ、そのようだな……。あちらこちらから立ち昇っているが、何事だ?」
「まさか……」
少年の脳内に、またしても悪夢がフラッシュバックする。
二度も経験済みの彼だからこそ、いち早くその発想に至ったのかもしれない。
「バケモノの、襲撃?!」
「だとしたらマズいわ。急ぎましょう!」
並走していた馬車はそのスピードを上げ、
押っ取り刀でニューラグーンへと戻って行った。




