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【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第二章:破壊
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2-24.心の温かさ

 カマイタチとの戦闘に勝利し、鎖を破壊することに成功したユウキ、アインズ。


風に乗って舞い散る砂を眺めながら余韻に浸っていると、

そこへニューラグーン国騎士団四班のメンバーが合流した。


「無事っすか?」


初対面から変わらない様相で、班長代理を務めるケスラーが問うた。


「ええ、なんとか」


「数分前、お二人が居なくなる所を目撃しましたが……大丈夫でしたか?」


心配そうな声色で、班長のブラントが訊いた。

しかしその言葉に、二人は違和感があった。


「数分前、ですか?」


「ええ。数分前にそれを見て、今こうして鎖のあった場所に近付いた訳ですが」


「僕ら、よく分からない場所に飛ばされて、鎖の守護者とか言うバケモノと戦ってたんです」


「……不可思議な出来事ですな」


煌めく砂塵を見上げながら言った。


「さて、とりあえず国に戻りましょうか」


「そうですね。また先導お願いします」



 馬車を停めた場所まで歩き、ニューラグーン国へ向けて走り出した。

往路のような緊張感は抜け、特にユウキには達成感があった。


「アインズさん!」


二人の前を走る四班の馬車から呼び声が聞こえた。


ブラントの声である。


「はい!」


「馬車を横につけてもらえますか?」


「はい、今行きます」


並走するよう頼まれた彼女は、少し馬車のスピードを上げた。

横に並ぶと、四班のメンバーが皆二人の方を見ていた。


「何か?」


「我々はお二人……とくにユウキ君に、謝罪をせねばなりません」


──え?


「謝罪、ですか?」


「はい。その……我々四班の任務は、お二人を監視する事でした。王も我らも、クライヤマ出身であるユウキ君と、ユウキ君に味方するアインズさんを疑っておりました」


「あ……」


「けど」


今度はケスラーが言葉を繋ぐ。


「俺ら、間違ってたみたいっすね」


「しっかり届いたよ。ユウキ君の、心の温かさ」


ユリアも続き、ユウキに面と向かう。


「なので、無礼な心持ちでいた事を詫びます。申し訳ございませんでした」


ブラントが謝罪の言葉を述べると、残り六人のメンバーも次々と謝罪をした。


「そ、そんなに謝らないで下さい……」


突然の事に戸惑うユウキは、両掌を四班に向けて横に振った。


「少なくとも」


手網を握ったまま、アインズが言った。


「四班の皆様には信じて貰えましたかね」


「ええ。現に、鎖は壊れました。ユウキ君が破壊するところも見ております。確信しましたよ。クライヤマに悪意は無い、とね」


──っ!


つい先日感じた気持ちを、少年は再び味わった。


人の心を変えることに成功した、その達成感。


ツヴァイに続いて、疑念を払拭出来たのだと。


小さな小さな二歩目だが、彼には堪らなく嬉しかった。


「あり……がとう……ございます。これで、これでリ──巫女様も、少しは報われるでしょう」


薄らと涙を流すユウキを見て、アインズやユリアたちも少し涙が込み上げた。


「その……もし良かったら、クライヤマについて教えて頂けませんか? 我々は何も知らないまま疑っていました。そういう人間は、まだ山ほど居ます。それは誤りだと、世間に広めたい」


──これも、一歩に繋がるよね


「分かりました。僕の記憶の限りをお話します」




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