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【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第二章:破壊
32/180

2-14.ニューラグーン騎士団第四班

 ——翌日


 軽く朝食を済ませ、指定された時間に王城へ。

気温は高くも低くもなく、過ごしやすい。

それでいて空は完全な快晴で、陽光が眩しい。


これから昼にかけて気温が上がるのだろうと、そう推測するのは難しくない。


「貴女がブライトヒルの?」


近付くアインズを見たニューラグーンの男性騎士が訊いた。

彼の視線はアインズの顔から、腰に携えた剣や、装備した鎧へと動いた。


質問への回答を待たずして、結論は出ているのだろう。


「ええ。ブライトヒル王国騎士団のアインズと申します」


「……えっと、ユウキです」


「おお、やっぱり。我々は、ニューラグーンの騎士団、四班の者です」


そうだろうな、と。名乗らずとも、互いの正体に関しては察しがついていた。


すなわちこれは、形式的な挨拶のようなものであり、

同時に、会話のきっかけとして、あえて訊くと言ったものでもあった。


「私は四班の班長をやっております、ブラントと申します」


街から城へやってきたユウキらから見て、最も手前側にいた騎士が名乗った。


大柄の男性で、アインズはともかく、ユウキでも顔を合わせるには首を少し上に傾ける必要がある。身長に比例してガタイも大きく、背中には大剣が装備されている。


——うわ、デカ。あんなの持ったら腕がちぎれそうだよ……


「班長代理のケスラーっす。よろしく~」


ブラントの背後からひょこっと現れた、チャラチャラした男性騎士が名乗った。


オレンジ色の短髪で、右側は刈り上げていて、剃り込みが入っている。


見た目は街のごろつきと言ったところだが、しかし、班長代理という立場である以上、騎士としての実力は高いのだろうと思われる。腰の左側に短めの剣を二本装備しているのが見て取れる。



そんなケスラーに続いて、他のメンバーも順番に名乗りを上げた。


ミュラー、ヴィンター、アレク、ヒルデ、ユリアである。


最後の二名は女性騎士だ。

ユリアはアインズと同年齢で、ヒルデはその二年先輩である。


「ところでアインズさん」


ケスラーが何用かでアインズに話しかける。

その表情から、この後の事ではなさそうだが……。


「美人さんっすね。今度、食事に——」


「さて、ぼちぼち出ましょうかブラントさん」


「ええ。あまり、のんびりして居られませんからね」


「おっと無視キメられた~」


「もう」


口説きを試みるケスラーに、ヒルデが両手を腰に当ててあきれたように言う。


「やめてください。ニューラグーンの恥ですよ」


「ええ⁈ 口悪ぅ‼」


そんな言葉が飛び交うが、喧嘩という雰囲気ではない。

誰も止めない事から、むしろ日常茶飯事なのだろう。


——ああ、普段からこういう人らなんだ


揉める二人を見て、ユリアが笑っているのを発見したユウキ。

少し見ていると、彼の視線に気が付いたユリアが小声で話しかけた。


「ユウキ君も、ブライトヒルの騎士なの?」


棘が一切なく、優しい声をしている。挙動が小さく、まるで小動物の様な、おっとりしたイメージを与える。


「いえ。僕はただの民間人ですよ。訳あって、この旅に出てます」


「そうなんだ。私ね、半年くらい前に騎士になったばっかりなんだ。だから、まだほとんど民間人なの」


「……民間人は、そんな恐ろしいものは携えませんよ」


彼女の腰に、鎖でつながれた小さい鎌が二本あるのを見たユウキ。

ツヴァイの大鎌とは幾分か異なる怖さを感じた。


「ふふふ」


「……」


——怒らせると一番怖いタイプだ、この人




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