2-14.ニューラグーン騎士団第四班
——翌日
軽く朝食を済ませ、指定された時間に王城へ。
気温は高くも低くもなく、過ごしやすい。
それでいて空は完全な快晴で、陽光が眩しい。
これから昼にかけて気温が上がるのだろうと、そう推測するのは難しくない。
「貴女がブライトヒルの?」
近付くアインズを見たニューラグーンの男性騎士が訊いた。
彼の視線はアインズの顔から、腰に携えた剣や、装備した鎧へと動いた。
質問への回答を待たずして、結論は出ているのだろう。
「ええ。ブライトヒル王国騎士団のアインズと申します」
「……えっと、ユウキです」
「おお、やっぱり。我々は、ニューラグーンの騎士団、四班の者です」
そうだろうな、と。名乗らずとも、互いの正体に関しては察しがついていた。
すなわちこれは、形式的な挨拶のようなものであり、
同時に、会話のきっかけとして、あえて訊くと言ったものでもあった。
「私は四班の班長をやっております、ブラントと申します」
街から城へやってきたユウキらから見て、最も手前側にいた騎士が名乗った。
大柄の男性で、アインズはともかく、ユウキでも顔を合わせるには首を少し上に傾ける必要がある。身長に比例してガタイも大きく、背中には大剣が装備されている。
——うわ、デカ。あんなの持ったら腕がちぎれそうだよ……
「班長代理のケスラーっす。よろしく~」
ブラントの背後からひょこっと現れた、チャラチャラした男性騎士が名乗った。
オレンジ色の短髪で、右側は刈り上げていて、剃り込みが入っている。
見た目は街のごろつきと言ったところだが、しかし、班長代理という立場である以上、騎士としての実力は高いのだろうと思われる。腰の左側に短めの剣を二本装備しているのが見て取れる。
そんなケスラーに続いて、他のメンバーも順番に名乗りを上げた。
ミュラー、ヴィンター、アレク、ヒルデ、ユリアである。
最後の二名は女性騎士だ。
ユリアはアインズと同年齢で、ヒルデはその二年先輩である。
「ところでアインズさん」
ケスラーが何用かでアインズに話しかける。
その表情から、この後の事ではなさそうだが……。
「美人さんっすね。今度、食事に——」
「さて、ぼちぼち出ましょうかブラントさん」
「ええ。あまり、のんびりして居られませんからね」
「おっと無視キメられた~」
「もう」
口説きを試みるケスラーに、ヒルデが両手を腰に当ててあきれたように言う。
「やめてください。ニューラグーンの恥ですよ」
「ええ⁈ 口悪ぅ‼」
そんな言葉が飛び交うが、喧嘩という雰囲気ではない。
誰も止めない事から、むしろ日常茶飯事なのだろう。
——ああ、普段からこういう人らなんだ
揉める二人を見て、ユリアが笑っているのを発見したユウキ。
少し見ていると、彼の視線に気が付いたユリアが小声で話しかけた。
「ユウキ君も、ブライトヒルの騎士なの?」
棘が一切なく、優しい声をしている。挙動が小さく、まるで小動物の様な、おっとりしたイメージを与える。
「いえ。僕はただの民間人ですよ。訳あって、この旅に出てます」
「そうなんだ。私ね、半年くらい前に騎士になったばっかりなんだ。だから、まだほとんど民間人なの」
「……民間人は、そんな恐ろしいものは携えませんよ」
彼女の腰に、鎖でつながれた小さい鎌が二本あるのを見たユウキ。
ツヴァイの大鎌とは幾分か異なる怖さを感じた。
「ふふふ」
「……」
——怒らせると一番怖いタイプだ、この人




