表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天ノ恋慕(旧:太陽の少年は月を討つ)  作者: ねこかもめ
第二章:破壊
30/180

2-12.深い畏怖の念

 三人の視線を受けながら、今度はユウキが説明を始める。


「結論から言いますと、この旅は、ブライトヒル王国の国家計画ではないのです」


「……?」


王は、どういう事だと眉間にシワを寄せ、理解が追いついていないようである。


──まあ、そうだよね


「ブライトヒル王国ではなく、僕個人が言い出し、僕個人が実行しているに過ぎないんです。アインズさんはそんな僕に同行してくれているだけで、先程言った通り、国家計画ではありません」


「なるほど……?」


納得はしたが、まだ疑問が残っていた王は、話の根幹について質問を投げる。


「貴国の計画ではなく、貴方個人での行動とのことですが、何を目的に?」


「目的は先述の通り、鎖の──」


「そうではなく」


鎖の破壊と答えようとしたユウキ。


しかし、その言葉は途中で遮られてしまった。


「貴方は何故、何の目的で、鎖を破壊しようと考えたのですか?」


「それは……」


表面的な目的ではなく、旅に出ようと決心したその由縁は何なのか。

深く掘り下げた質問を受け、とうとう彼自身の身分を明かす時が来た。


やはり、少し竦んでしまう。

ふと、アインズの左手がユウキの右膝に置かれた。


──大丈夫、私がついてるわ


そう、励ましの意味を込めたアインズなりの優しさであった。

意図を悟ったユウキは、腹を括って、ゆっくりと口を開いた。


──そうだ


──黙ってても、どうにもならない


「クライヤマの……巫女の無実を、世界に証明するためです」


「巫女の……? なぜ、貴方がそれを?」


「僕が、クライヤマの人間だからです」


「なにっ⁈」


ユウキの告白を聞いた王の顔は、驚くようで、怯えるようでもあった。


近衛兵も、それを聞いて身構えていた。


──やっぱり、そうだよね


二人が思った通り、この国では、クライヤマや巫女に対する不信感、恐怖心が抱かれていた。


名乗った以上、ユウキもその対象となる事は間違いない。


「あ、貴方が、クライヤマの、人間だと……?」


「はい」


王の手が小刻みに震えている。

それほどまでに、ニューラグーンに染み付いた畏怖は大きいのだ。


「ア、アインズさん……? これは、どういうことですか? この機に乗じてニューラグーンを──」


「どうか落ち着いてください。ブライトヒルにも、この少年にも、そのような気は一切ございません!」


「で、では、何をしにここへ⁈」


今にも逃げ出しそうな国王。


槍を構えそうな近衛兵。


「私たちは、鎖を破壊する為に来ております」


「なぜ、なぜクライヤマの者が、鎖を──」


「無実だからです。クライヤマも、巫女も、世界に対して悪意など無いと。クライヤマの人間である僕自身が示すために、貴国のお力を貸していただけないかと、そう言う想いです」


「我が国の、力……?」


「私から補足致します。鎖を破壊する旅に出た私共ですが、二名ではどう考えても戦力不足なのです」


「し、しかし言葉だけなら──」


何とでも言える。それは、その通りである。

言葉巧みに言いくるめ、被害を与えることも不可能ではない。


しかし、やはりユウキにそんなつもりは無い。


──信じてもらえないなら!


「命をかけます」


「……なに?」


「もしも僕が、ニューラグーン国を裏切ったのなら、殺していただいて構いません。首を落とすなり、引きずるなり、お好きになさって下さい」


王の眼を真っ直ぐ見つめる少年。

彼の言葉に嘘偽りは無かった。


本気で、心からそう言い放ったのである。


「な、なぜそこまで──」


「僕にしか出来ないからです。クライヤマ唯一の生存者である、僕にしか」


「クライヤマの生存者は、確かに彼だけです。これは私個人としてではなく、ブライトヒル王国騎士団第一部隊長のアインズとして、その誇りをもって保証致します」


「ううむ……」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ