1-12.決意の御来光
「リオ……僕は、やるよ‼」
そう、決意の言葉を口にした少年。
そんな彼を、炎のようなオーラが包み込んだ。
「ユウキ君……」
「この……温かさは……?」
「かかってこい、バケモノ‼」
語気を強めて叫ぶと、そのオーラはさらに爆発的に広がった。
「この力、もしかして、これが——」
「この強く優しい温かさが、日の巫女だとでも言うのか……?」
呆気にとられる二人の騎士をよそに、ユウキはバケモノに向かっていく。
「くらえ、サン・フラメン‼」
剣が眩い輝きを帯びた。
焔をまとった剣撃が、氷纏いに叩き込まれる。
「うおおおおおお‼」
——グググギガ⁈
アインズとツヴァイの攻撃をモノともしなかった鎧は、いとも簡単に剥がれていく。
中からは華奢な骨格が現れた。
それも、焔の剣によっておおよそ四等分に切り裂かれた。
化け物は地面に散らばり、二度と立ち上がることは無くなった。
「うっ!」
始めて力を覚醒させた少年は、そのまま膝から崩れ落ちた。
「ユウキ君!」
氷が融け、拘束より解放されたアインズが駆け寄る。
「立てる?」
彼女はユウキに手を差し出した。
「……はい」
少年はその力を借り、立ち上がる。
「……」
そこへ、ダメージを負ったツヴァイが、よろよろと歩み寄った。
「あっ……‼」
それに気付いたユウキは、咄嗟に日長石を手で隠そうとした。
無論、バレバレな行動であったが。
「ふん、安心しろ。もう、君からそれを奪おうとは言えまい」
ツヴァイにとってユウキは、奇しくも命の恩人となった。
そのきっかけとなった日長石を再び奪うなどという事は、彼の心が許さなかったようである。
「信じてくれたんですか?」
「……さあ、な。ただ、結論を出すには早計だった。君には、申し訳ないことを言ったな。あれらの言葉は、撤回させてほしい」
彼の言葉を聞いたユウキは、目頭が熱くなるのを感じた。
「もう、最初から素直にそう言えばいいじゃない」
「お前は簡単に他人を信じすぎだ。いつか足元を救われるぞ」
——やったよ、リオ
「ツヴァイさんが、第一号ですね」
「……第一号?」
「あ、いえ。こっちの話です」
と、そこへ。
「無事か、少年?」
「貴方は、さっきの……」
あの豪華な鎧の騎士であった。
どうらや群れを突破し、ここまで追い付いたようである。
「メ、メーデン様……⁈」
「どうして、このような場所へ?」
「どうしてもこうしても、王国の危機を見過ごすわけにはいくまい」
そう言いながら周辺を観察したメーデンは続けた。
「……何かあったのか?」
やけに大きなバケモノの死骸と濡れた地面、
そして何より、ボロボロになった二人を見て察したのであろう。
「はい。私から説明させていただきます——」