中学校戦争 第1章 パート2 10人の候補者たち
プロローグ
9月1日(月曜日) 選挙まで28日
「ここにご報告します。僕木内海斗は第100代生徒会長に立候補します」
担任の富樫先生にそう伝えたその日の夜。
僕は悩んでいた
「はぁ、推薦者のこと忘れてた。。。」
大西中学校の生徒会選挙規則にはこう書かれている。
「立候補者は推薦人を1人擁立しなくてはならない」と。
富樫先生に声高らかに宣言したのは良いものの肝心なところを忘れていた。
「ちくしょう。なにしてんだかなぁ、僕は。」
そうして僕は2人に推薦人の候補を考えた。徹夜で。。。
10人の候補者たち
9月2日(火曜日) 選挙まで27日
翌日学校に行き昨日考えた2人の候補のもとへ向かう。
1人目の候補は。。。。笹塚だった。
「笹塚、君に頼みたいことがある。」
「なんだあらたまって?」
「僕の推薦人になってほ」
「嫌だ!」
かなり大きい声で言ってきたものだから周りの生徒が一斉にこちらを振り向く。
気まずい無言の空気が2年生の廊下に流れる。
そんな空気を打破したのはこの空気を作った張本人だった。
「それだけはまじで勘弁。」
「なんでだよ」
強く否定されたので正直驚いた。
こいつはお調子者、いわゆる1軍タイプだからますます驚いた。
だってそういうやつってこういうこと好きだろ?
「理由は。。。わかるだろ?とにかく嫌なんだ、わかってくれ}
「まあ、わかったよ。ありがとう」
「へーい」
1人目の候補はダメだったか。クソッ。
僕は自分の人脈を恨んだ。
「なんで知り合いが少ないんだかね」
正確に言うと陰キャというわけではない、基本的にはほとんどの子とは話したし、
名前も知られている。でも後が続かない。
親しいのは笹塚とあと一人くらいである。
その一人というのが、もう一人の候補である。
「タマキ、話がある」
「なに?」
「僕の推薦者のなってくれ。」
こいつの名前は海辺環2年5組在籍。
優等生でテストは学年ランキングで1ケタ台。脳みそ少し分けろ。。。
そして、僕の元カノ。。。。。。
こいつならいいと思うのだが。
「嫌。」
「はやっ!」
「そもそも話しかけないで。」
「そこを何とか。」
「いけそうとか思ったでしょ?頭おかしいんじゃないの?」
確かに。。こいつ元カノだった。。
「環頼む。」
「ふんっ」
そう言って女子トイレに入っていった。
これではもう手は出せない。終わりだ。。。
「はああああああああ」
昼休み。大きなため息をつかざるを得ない。
推薦者がいないと立候補すらできない。
「ここまでか。」
僕は本気で後悔した。入学してからのことを。。。
そうして机に突っ伏した。
「すいません?」
前方から声が聞こえてきた。
「すいません?君が木内海斗?」
「ん?まあそうだけど」
机から顔を上げて声の主をみる。
「僕はタカノ。鷹野太平6組ね、よろしく。」
「ああ、よろしく」
なんの用事だ?あんまり仲の良くない子からの接触だったので驚いた。
「良ければなんだけど」
「うん、なにかな?」
「僕を君の、推薦者にしてほしい」
そう言って彼は静かに頭を下げた。
「え?いまなんて?」
「だから、僕を君の、木内海斗の推薦者にしてほしい。」
そう言って頭を上げて僕の目をしっかりと見た鷹野君の目は本気だった。
「わかった。君を僕の選挙推薦者にするよ!」
「本当!?ありがとう」
あの後、2人でいろいろ話して鷹野太平のことがわかってきたことがある。
まず、なんで僕が推薦人を集めていることを知ったか。
笹塚に推薦人を頼んだ時、笹塚は大きな声を出して断った、
その声に驚いた人の中に鷹野君は居たらしい。
そして笹塚に事情を聴いた鷹野君は「木内君のために」と思って僕に声をかけてきたらしい。
すごい行動力である。関心関心。
「まあこれで立候補できるし。一安心、かな。」
それからはトントン拍子でことが進んだ。
立候補届を提出したり、会議をしたり。
そんなことをしているうちに一週間が経った。
9月8日(月曜日) 選挙まで21日
「今日は候補者の発表だね。海斗」
「そうだな、太平」
そんなことを言いながら2人で登校した。
もう仲良しだ。
そうして玄関に張り出された候補者一覧を見て、2人は絶句した。
「おいおい、嘘だろ!」
「10人だって?!?!?!?」
そこには、僕を含めて10人、生徒会長に立候補したと書かれたポスターがあった。
2人でその場から数分動くことができなかった
大西中学校は生徒会役員と委員長を「生徒から選挙で選ばれた生徒会長が任命する」と定めている。
なので必然的に生徒会長の力が大きくなってしまう。
だから毎年候補者は一定数いるもののそれでも平均2~4人程度だ。もう一度言う「2~4人程度」だ。
だが、今年はそれを大きく上回る「10人」である。
候補者の名前は
1.木内 海斗
2.野幌 虎太郎
3.萩野 美幸
4.美沢 隆
5.冨浦 実
6.砂川 奏斗
7.八雲 茜
8.静狩 麻衣香
9.萩野 達也
10.音江 涼子
「誰か、立候補取り消ししないかなぁ。」
そういって2人でため息をつくことしかできなかった。
生徒会選挙公示日の大西中学校。
なんとそこには10人の候補者が!?
海斗は無事に生徒会長になれるのか?
基本一週間に一話と決めてるのですが遅れてしまうことがあるのでブックマークの登録しといてください!!
まだまだ続きます