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第1章 プロローグ

ガヤガヤガヤガヤ


「え、なんかあの人かっこよくない!?」

「声掛けてみたいな〜」


チッ。


「え、あんなかっこいい人うちの大学に居た?」

「何学部なんだろ〜笑。話しかけたいなぁ笑」


(うるせぇなぁどいつもこいつも。)


「よっ逢来!」


下を向きながら歩いてたから、誰が話しかけて来たのか分からない。


「おいおい、無視するなよぉ笑」


(めんどくせぇなぁ)


「なに?」


俺は下手すりゃ喧嘩打ってるんじゃないかレベルの返答をした。


「これから文学部と経済学部の女の子と合コンするんだけど、お前来ないか?笑」


(はぁ?何言ってんの?)


「だりぃわ。行かね。」


そう答えたら…


「あっそ。じゃあまたなぁ!早く彼女作れよぉ笑」


と、しっかりと貶してくれた。



俺が通っているのは、この、明桜学院大学。とは言うものの、俺の第1志望は帝城大学医学部医学科だったのだが、大学受験に失敗。浪人こそ許されていたが、もう1年勉強するのがめんどくさかったのを理由に第2志望のこの明桜学院大学理学部に来た。



少なくとも俺は今まで、人生で大きく3回失敗してきた。まず1回目は中学受験。小2から進学塾に通っていたにも関わらず、日本最難関の海聖学園中に見事に滑った。そして2回目は高校受験。通っていた帝城大学附属中は中高一貫校でありながら、他校への進学を許していたから、思い切って海聖学園高校を受験したが大失敗。合格最低点から48点も落としてしまった。幸いにも高校受験は中高一貫でそのまま帝城大学附属高校へ進学は出来たものの、大学受験で内部推薦での医学部は成績的にとれず、一般で受けると、あと1点で落とされてしまった。


ふあぁぁぁ

「眠いなぁ。コーヒーでも飲みに行くかぁ。」

大学構内にあるカフェでブラックコーヒーを買い、教室へ向かった。


授業が終わり、バイト先に向かう。俺のバイト先は、個別教室の塾講師。自分のためにもなって、高時給だからここを選んだ。今日は夕方5時から夜7時、夜7時から8時と9時から10時の4時間だ。今日の日給は時給3000円だから12000円になる。


「こんにちはぁ。」

塾の扉を開け、スタッフルームに向かう。


「初めまして。あ、初めましてじゃないか笑。逢来君笑」

スタッフルームに見覚えのある人がいた。


あっ!こいつは!俺と同じ帝城大学附属高校に通っていた、朝倉涼都だ!


「久しぶりじゃねぇか。お前たしか浪人してたよな?どこ大行ったんだよ。」

俺は浪人したやつよりは勝ってるだろうと、聞いてみた。すると、

「俺?都立医大よ。お前こそ、どこ大行ったんだよ。」

おい、まじか。東京都立医科大学って、旧帝医学部に次ぐ国公立大医学部じゃねぇか!


「俺は…」

まさか、帝城医学部志望の明桜学院理学部って言ったら、都立医大のやつに笑われるよな…


俺が答えられずにいると、

「まっ、今日からよろしくお願いしますよ?せーんぱいっ!」

と、とっくに俺の大学を分かりきったような言い方で挨拶してきた。


授業中、こう言ってきた生徒がいた。

「先生、俺、明桜学院情報学部行きたいんですけど、どうすれば受かりますか?」

(たしかこの子高2だったっけ)

「今高2で明桜情報学部なら英語と数学を完璧にしよう。物理は高3からでもなんとでもなるけど、英数は積み重ねだから。」

明桜学院は私立大学で得意科目3科目受験だからとりあえず英数理の選択が王道だ。この子もそういう選択をしている。


東京都立医科大学かぁ。俺の高2の時の第1志望のとこじゃねぇか。


高2の時の担任に、

「君ぃ、第1志望が都立医大、第2志望にうちの医学部、第3志望に明桜学院理学部ねぇ。都立医大は君の実力じゃ厳しいんじゃない?」

その時の俺の模試の偏差値は65。なんとか帝城大附の1番上のコース、Super理系選抜コースについて行ってるレベルだ。ちなみに都立医大の合格平均偏差値は75。1年ちょいで65から75に上げるのは頑張れば行けるかもしれないが少し厳しいのではと、担任に呆れられた。


その時、朝倉は…

「俺、都立医大にどうしても行きたくて。けど、この成績じゃどうしようもないですよね…」

朝倉のその時の偏差値は54。理系コースという帝城大にそのまま上がる人の為のコースにいたが、高2の時に何を思ったのか都立医大を志望し始めた。


しかし、朝倉の担任は

「大丈夫。現役では少し厳しいかもしれないけど、君が頑張ればどこの大学でも行けるし、都立医大だって絶対受かる。とりあえず、Super理系選抜コースの先生にお願いして、Super理系選抜の授業について行くための補習授業を用意してもらうから。君なら絶対出来ると先生信じてるから。」


そこから学年が上がり、朝倉がSuper理系選抜に上がってきた。その時、朝倉の事を見た俺は、

「どうせ心折れて帝城大行くんだろうな。」

と、ぶっちゃけ見下していた。


そこからあいつは1浪で都立医大に合格かぁ。

何やってんだろ、俺。


帰り道。桜が散り始めていた。そういやもうこんな季節か。

俺の最悪な過去。それを思い出させる、そんな季節。


「てめぇぶち殺すぞごらあぁぁ!!」

俺の中学校時代。受験勉強のストレスで、神経がすこしおかしくなってしまった。

その時、担任に暴言を吐き、殴ってしまったとして、1週間の自宅謹慎。担任にも原因があったと、なんとか自宅謹慎で済んだ。あの時の担任は…


「お前、知ってるぞ?海聖学園にボロカスに落とされてうちの学校にきて、挙句の果てには調子に乗り校内順位が最下位笑。海聖学園なんてお前には無理なんだよ笑」


帰り道。時刻は夜11時30分。


「俺って、なんのために生きてんだろ。」


家につき、ベッドに横たわった。


そして俺は、深い眠りについたーーーーーーー



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