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新−アラタ−  作者: むわ
5/5

第5章 ジャパニーズ・レッスン

 なんと、私と南と鈴香の三人でイケ面外国人ラースの家に行って

ラースに日本語を教えてあげることになった。それって、すごく嬉しい。

だってラースはハリウッド・スターに負けないぐらいかっこいいし。

南はなにやら今日の日本語レッスンのために、難しそうな本を持って来てる。

で、鈴香は手ぶら。私は義父の本棚からよくわからない本を勝手に持ち出してきた。

昨日ラースと日本語レッスンをやるって約束したとき、どうしても気になった

事を聞いてみた。もちろん南が英語で。

気になったことっていうのは、「どうして私に頼むのか」ってこと。

南が訳した返事を聞いたとき瞬間顔が赤くなった気がした。

彼はなんと、「君は親切だから」って言ったらしい!!きゃーーーーーー!!

普段の私は全然親切なんかじゃない。むしろ逆。まあ黒田香織と比べれば、

神様級に親切とは思うけど、一般的には・・・・・・ただの暴力娘。

この本性はばれないでいてほしい。


 放課後、学校の帰りに直接ラースの家に向かった。道は、

昨日ラースが地図を描いてくれたからわかる・・・・・・はず。

どうやら、例の新しくできたカフェの近くらしい。学校からも近いから

助かった。カフェから徒歩1分ほどで到着した。

10階ぐらいまである、大きめのマンションに辿り着いた。

部屋数の多さからして、多分一人暮らし専用だろう。

ラースの部屋は3階の302号室らしいから、私たちは、エレベータに乗った。

エレベータの中で、鈴香が、

「どきどきするね。緊張してるかも。」

とか言った。どきどき?それどころじゃないんですけど。

心臓はバクバクで、背中やら額やら、嫌な汗でいっぱい。

 ついに、彼の部屋、302号室の前に来た。

南がなんのためらいもなく、インターホンを押した。

南ってやっぱりクール。私にはインターホンを押すなんて、緊張して

できないに決まってる。

イケ面ラースが出てきた。いつもの完璧な微笑み―口角が上がりすぎず、

無理が無いやさしそうな微笑み―で私達を出迎えてくれた。

今日のラースは、180センチはあるだろう長身に黒いワイシャツ、

紺色のデニムを完璧に着こなしている。

部屋の中に入り、私は無意識に部屋のチェックをしていた。

・・・・・・あれ?家具が無い。本当の本当に。

9畳一間ぐらいの一人暮らし部屋にあるのは・・・・・・

1:ティッシュ、一箱。

2:本が何冊か。

3:当たり前だけど、天井には電気。

引っ越してきたばかりなのかな?南がラースと何か英語でしゃべってる。

家具が少なすぎることを聞いてくれてるのかな。

「なんて聞いたの?」

「家具が少ないですねって聞いたの。引っ越してきたばかりなん

 だって。」

南も私と同じこと考えてた。彼の答えも予想通り。

 私達は、とりあえず日本語レッスンを始めることにした。

教えるのは南で、鈴香と私はちんぷんかんぷんってわけだから、見学。

それにしても、南って結構教えるのうまいみたい。英語だから

なんて言ってるかわからないけど、ラースはどんどんおぼえて行ってる。

ラースの脳って赤ちゃんみたいにふにゃふにゃのスポンジなのかも。


日本語レッスンは3時間ほど続き、大分遅い時間になったから、

私達は帰ることにした。

 帰り際にラースが英語で何かいった。南が訳した。

「送ろうか、だってさ。」

うわーー・・・・・・ラース優しい!南がまた英語でなにか言った。

ん?あれ?ラースがこっちに来た。えっと、なんで?

「愛理、私と鈴香は帰る方向一緒なの。愛理一人でしょ?

 送ってもらいなよ。」

え・・・・・・ちょっと待って、ラースと2人?会話できない!

「えっ、ちょっと待っ」

ひどーーーーーーい!2人とも帰っちゃった!

私がおどおどしてる間に・・・・・・。

仕方なく、腹をくくってラースと2人で歩き出した。

伝わる可能性は低いけど、しゃべってみた。

「サンキュー、えっと、送ってくれて。」

あー・・・・・・英語がわからない。伝わらなかったはず。

でもラースは微笑んで、英語でどういたしましてって言った。

・・・・・・わかったのかな?

そのとき、何かが私の腕をわしづかみにした。

「きゃっ。」

前を向いたら、見知らぬ男子高校生が私の腕をつかんで、

謎ににやにやしていた。状況がわかった。男子高校生につかまった。

しかも、酒臭い。酔っ払ってる・・・・・・、まずい。

「俺と遊んで〜、あれ、男?しっしっ!邪魔!」

腕が痛い!私がもがいたから更にきつく握ってきた。

「ちょっといい加減に・・・・・・」

私が男子高校生の腕を振り放そうと思った、そのとき、

ラースが私の腕を持って、男子高校生の腕をもぎとった。

で、私の腕を持ったまま、早足で歩き出した。

何か英語で言いながら。多分、結構汚い言葉。

幸いにも、男子高校生はついてこなかった。

ラースはそのまま―私の腕を持ったまま―送ってくれた。

二の腕でなくてよかった。私の二の腕は太いから。

ラースはシーユーっていって帰っていった。

・・・・・・またねって意味だ!


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