第四章 再会
6時間目の数学Aの時間。もちろんまったくわかんない。数字見たくない!
寝ようかと思ってたら鈴香から手紙。
鈴香:昨日イケ面の顔近くでみたんでしょ?どうだった?
愛理:すごーーーーーっく・・・・・・いけてた。
鈴香:タイプ?
愛理:うん、まあ。あんなイケ面、もう会えないと思う。
鈴香:探せば?
愛理:げーっ。ストーカーじゃん。
鈴香:あ、そっか。
今日の放課後は予定なし。家に帰って宿題しなきゃ。かなりたまってるはず。
英語をしゃべれるようになれればなー。昨日のイケ面の彼ともしゃべれたのに。
まあ、私が英語をペラペラしゃべってるところなんて想像できないけど。
外見だって完璧な純・日本人だ。黒髪だし、ストレート。残念なことに、
あんまり高くない鼻。肌も黒くも白くもない中ぐらいの色。これもまた残念なことに、
長くない足。でも短くはないはず。身長160センチ、座高81センチ。
標準! 体重だって標準より少ないはず。まあ鈴香には負けるだろうけど。
だって身長146センチって言ってたし。太ってないからかなり軽いだろうな。
小学生並み。身体と同じで心も小学生なんだけど。
あれ?その鈴香と気が合うってことは私も小学生??? うわー。
でも大人な南とも気が合うから大丈夫なはず。
そろそろ前向いて歩こうかなって思って前を向いたら・・・・・・あれ?
見覚えのある顔が、こっちに向かって歩いてきてる。ていうか来た!
見覚えのある顔っていうか、昨日のイケ面の彼?うそ、なんで?
えっと、英語でなんか言ってる。あちゃー、わっかんない。
あ、サンキューっていったのは聞こえた! ていうかそれしかわかんなかった。
昨日のお礼かな?とりあえず、必殺技を使ってみた。
「アイ・キャン・ノット・スピーク・イングリッシュ!(私は英語がしゃべれません、
って言ったつもり。)」
発音へただし、伝わんなかったかも。彼はすっごく何か考えてる。
発音がへたなこと、忘れて!
「少しなら、しゃべれる」
意外!しかもカタコト・・・・・・!それにしても彼、近くでよく見たら、
黒目がすっごく大きい。女の私のほうが小さいかも。
「昨日は、ありがとう?」
えっと、聞かれても。でもどういたしましてって英語で言える。
ちゃんと南に聞いておいたから!発音気をつけて、言ってみた。
「ユ、ユーアー・ウェルカム」
ぎゃーっ、気をつけたほうが発音へただったー!!! はずかしい!
笑われた。ほほえまれたぁ!
うーっ、彼、英語でなんか言ってるけど、わかるはずがない。
っていうか単語1つもわからないなんて自分でもビックリした。
やっぱり私はアメリカでは生きていけない。
伝わらないことがわかった彼は、悲しそうな顔になった・・・・・・。
やだ、やめて、そんな顔しないで!えっと・・・・・・あ! いいこと思いついた!
「ウェイト・ア・ミニット(ちょっと待ってって言ったつもり。)・・・・・・
アイ・ハヴ・ア・グッド・アイデア(いい考えがあるのっていったつもり。)」
彼はこくりとうなずいた。やった、わかってくれたみたい。
私はかばんから携帯を取り出して、南に電話した。
愛理:あっ南、愛理! 今どこ?
南 :今?学校でようとしてたところ。どうした?
愛理:今日用事無い?
南 :うん、ないよ。
愛理:お願い! 今すぐ正門を右に曲がった道まっすぐ来て!
南 :いいよ、わかった。
南がやさしくてよかった。なぜ南かっていうと、鈴香が、南は英語ペラペラ
なんだよって言ってたから。
南はすぐにかけつけてくれた。私の目の前にいる彼を見て驚いた。
南が英語でなんか言ってる(本当にペラペラ!)。彼も答えた。
「なんて言ったの?」
「私がどうしたんですかって聞いたんだけど、愛理に相談があるんだって。
できれば私も」
「へ?相談? じゃ、昨日のカフェ行こ?・・・・・・って言って」
「うん」
南に感謝感激。それにしても南って留学でもしてたのかな?
あ、帰国子女かも。気になったから、聞いてみたらどっちも違うって言われた。
英語教室だってさ。私もいこうかな。
昨日のオシャレカフェに到着。
そういえば、昨日彼はどうやって注文したんだろう?
あ、わかった。メニューは日本語と英語で書かれてる。
彼がよくわかるようにゆっくりしゃべりだした。もちろん英語で。
私はずっと彼の顔をさりげなく観察してた。なんか、男特有のむさくるしさが無い。
これって結構すごいことだと思う。だって、むさくるしさの無い大人みたことない。
彼が話終わって、南が訳してくれた。
「いきなりだけど、日本語とか日本のこと教えてくれないか、だってさ」
「え、ホント?」
「いきなりすまないって言ってる」
すまなくない。私が人に教えるとか無理があるってことを除けば。
私は、さっきから気になっていたことを自分で聞いてみることにした。
「ワッツ・ヨーネーム?(あなた名前は?って聞いたつもり。)」
伝わった! さすがに名前ぐらいは聞き取れた。
“ラース”だって。