第三章 INカフェ
「愛理、あんたってサイコー!」
鈴香が叫んだ。なぜかというと、最近嫌な女ってことが発覚した黒田香織を、
やっつけたから。やっつけたっていうか、鈴香のことチビ猿って言ってきたから、
「近寄らないで。体臭きつい。」って言ってやった!
黒田香織ってば、ギャーッて叫んで教室を出て行った。おもしろーい。
やっぱりこの学校でも男の子には恐がられてるみたい。一番の理由は、この前、
義兄の広樹をみんなの前で殴ってやった。だってあのバカが私が耳にピアスの穴
開けたの母にちっくたから。おかげさまで、母は大暴れだし、義父には説教されちゃうし。
次の日広樹が学校で(みんながいる前で。)私のこと「不良」っていうの!!!
ぶちぎれ。みぞおち殴っちゃった。うえって言って倒れこんでた。ださい。
新聞部の南が、「新聞にのせようかっ?」とか言ってきた。
もちろん遠慮したけど。そんなことしたら、広樹ラブな3年生の女子達が殴りこみにくる。
だってほら、この学校黒田香織みたいなバカ女が多いみたいだし。つまり、
香水くさい人が多いってこと。そんな人達に殴りこみに来られたら鼻がよじれて、
死んじゃうと思う。
放課後南と鈴香と私で新しくできたカフェに来てみた。
なかなかオシャレかも。キョロキョロしてたら、スゴーイの見つけちゃった!!!!
「愛理、何頼む?ん?どこ見てんの?」
ボーっと見つめる私に南がしかめっ面。ちょっと待ってーーーーっ!!!!!
やばい、あの人超カッコイイーーーーーーーーーーーー!!!!
「ねぇねぇ、あの奥の席の人、・・・・・・すごいかっこいい。」
一応小声で言った。2人共一番奥の席に目をやり、こっちを向いて言った。
「「やばいね。」」
2人そろって!よかった。私の趣味は正常だった。今まで好きな人なんて
いなかったから、私の趣味がおかしいのかと思ってた。
一番奥の席のイケ面の彼は、背が高くて―多分。座ってるけど―、
しなやかそうな黒髪は少しウェーブがかかってる。なんといっても、顔!
目は黒目が大きくて、高めの鼻、引き締まった唇、小麦色の肌ーーー!!
外国人だろうな。アジア系?南アメリカ?とりあえずカッコイイ。
「完璧な顔!でも日本語しゃべれないんじゃない?」
南に言われて、気づいた。ああ!そうかも。告白できない!しないけど。
英語とかしゃべれないし。アイ・アム・アイリ!ならいける。
「愛理、見すぎ。」
目が癒される。目の保養!
「愛理!」鈴香が叫んだ。「ボーっとするな!」
「あぁ、ごめん。」
静かにしててー、お願い。今はあの人見るのに集中したいの!
あ、イケ面くん席を立った・・・・・・・。いっちゃうの?なんだ、つまんない。
日本語しゃべれないのに(多分)、どうやって会計するんだろ?
レジであきらかに英語とは無縁の中年おばさんの店員が困ってる。
私、気がついたら、立ってた。
「愛理?トイレ?」
鈴香は無視して・・・・・・。私は日本人にしてはありえない勇気とチャレンジ精神で、
レジに向かった。
イケ面の彼が持ってる会計の紙を取って、払う金額のところを指さした。
イケ面の彼はビックリするどころか、微笑んで、
サンキューって!!ありがとうって!意味だよね?
彼は店を出る前にもう一度優しくサンキューって言った。どういたしましてって
英語でなんていうかわからなかったから、微笑んどいた。
店員にもお礼いわれた。こっちはちゃんとどういたしましてっていえた。
「愛理、すごっ。」
鈴香が言った。うん。本当に。私ってこんなに勇気あったっけ?
「スクープだね。あんたアメリカ行ってもやっていけるわ。」
う、そんなこと言われたら・・・・・・。無理。
どういたしましてって英語で言えないもーーーーーん!!!