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#正義のミカタを許さない  作者: 谷口ナオコ
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人権と正義の味方

プロローグ

あなたは正義の味方を見たことがあるだろうか。私はある。私は正義の味方を目の前で見た事がある。羨ましいだろ?もちろんそれは私の誇りでもあった。「生で正義の味方を見た事がある。」こう言えば前歯が生えかけのガキから歯のない老人まで、意識のある人間は皆目を輝かせて食いついてきた。

正義の味方などと突然言われてもよく分からないだろう。正義の味方が現れた時の話から始めないといけないかな。


2018年、突如悪の秘密結社「ジョーカー」が日本征服を掲げ蜂起。日本各地で工作員たちが大暴れした。幼稚園のバスを襲撃、一般人の拉致、研究者の殺害、武器や違法薬物の密造、人体改造等である。この組織がここまで勢力を広げたのはもう1つ理由があった。「ジョーカー」のメンバーは工作員、戦闘員、幹部に至るまで全員が身体の能力を向上させる改造手術を受けていたからである。一般人が立ち向かえるものではなく、武装した警官までもが返り討ちにあった。人々が「ジョーカー」に怯えていた時、彼は現れた。私は最初に彼を見た人間だろう。


私は細い路地を逃げ回っていた。後ろから大勢の足音と怒号がきこえる。だんだん距離を詰められているのは分かる。私はもともと足の速い人間ではない。それに彼らは改造人間だ。しかし、捕まったら終わりと思い無我夢中で走った。

「終わった。」そう思った。私の目の前にはとても乗り越えられない大きな壁があった。振り向くと角材を持った黒服にヘルメットと布で顔を隠した男達が道を塞いでいた。腰の力が抜けもう立っていられなかった。へたりこんで死を受け入れるしかなかった。男の1人が火炎瓶に火を付けこちらに向かって投げようとした。「もうダメだ。」私は目を瞑り蹲った。


バリン!


甲高い音が響いた。と同時に飛び散った瓶の内容物に引火し私の体は炎に包まれ なかった。熱くない そのかわりに聞こえるのは複数の男達の断末魔。顔を上げると黒服の男達6人程が炎に包まれ転げ回っていた。理解が追いつかなかった。そして私の正面に目をやると1人の男が立っていた。全身を黒にボディースーツをまといメタリックな白のプロテクターを付け仮面を被った男。俗に言う正義の味方だ。


とまあ、この後どうなったかはまだ私が生きてるんだから察して欲しい。


もちろん、この後各地で目撃情報が相次いだ。「ジョーカー」の連中を素手で葬り去る。この姿に全国民が勇気付けられた。

子供たちは正義の味方のフィギュアを買い、将来の夢ランキングの1位は正義の味方だった。コスプレをするやつもたくさんいた。コスプレイヤーを「ジョーカー」が間違えて襲う事件もあった。

そんなこんなで正義の味方は大人気だった。


そして、「ジョーカー」の日本侵略宣言から3年後の2021年になって「ジョーカー」の暴虐はおさまった。そこから私達は「ジョーカー」をそして正義の味方を見る事もなかったのだ。

「正義の味方が「ジョーカー」を倒したんだ!」皆口々に喜んだ。正義の味方は正義の味方だった。皆が彼を愛していただろう。


しかし、ここで終わらなかったのだ。皆が終わりを確信したのにも関わらず。


2022年。盛大にマスコミを招き1つの政治団体が結成された。

「カロ・ジョーカー」スーツ姿の男が示したスライドにそう書かれていた。「カロ」とはギリシャ語で「良い」という意味らしい。「全良なジョーカー」彼らはそう名乗った。


続く

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