第七話「美少女融合者現る!?」
遅くなって、すみませんでした。本当にすみませんでした。
でも、忙しい中頑張ったのも本当なので、感想、レビュー、評価、ブックマークをお願いします。
作者が泣いて喜びます。
「……もう、4か月かァ……」
「急に何!?」
「よし! 行くか!」
「どこに!?」
「ナイスリアクションだな……。大丈夫だ、問題ない……作者を殺すだけだからな」
「大丈夫じゃないし問題だよっ! というか作者って誰!?」
「おいおい……『!?』使い過ぎだぞ?」
「仕方ないよね!? というかこんな会話大丈夫なの?」
「大丈夫だ、もんだ――」
「しつこいっ!」
「……事ある?」
「何をっ!」
「おっぱ――」
「うぉい!」
「で、ある? …………アッタラコロスゾ」
「脅迫されたっ! というか『例の話』をするんでしょっ?」
「も~、仕方ないな~」
「あたかも僕がしたいみたいにっ!?」
「ゆめぴ……『あたかも』って何ですか?」
(※補足 風斗はライトノベルなどの本をよく読むため、言葉はよく知っています。テストではそれ以外で落としてしまっているだけです。)
「急に設定遵守しなくていいから! あと……うん、もう突っ込まない」
「で、サーチのターゲットであるパーソンをディスカバリーしたか?」
「急に英語使い出した! 意識高過ぎアピール!?」
「このバナナはフェアトレ――」
「これ以上はダメっ! 色々とダメっ!」
「仕方ないな~」
「またか~」
「そうだ~」
「だね~」
「「アハハハハハハハハハ!」」
「ってうぉい!」
「二回目の『うぉい』出ました~!」
「茶化さないで!? で、いた?」
「いなかったな……」
「という事は……」
「恐らくあの学校に俺とお前以外融合者はいない。……そうだよな、オーディン」
〈いや、いると思うが……〉
「うぇっ?」
「ふ、風斗?」
〈一旦変われ〉
「ちょっ……多分トールなら分かっていると思うが、一応お前達に教えておこう。……融合者はあくまでも神との融合により強化された『人間』。つまり神の気配とか、オーラとかは感じない。こうやって入れ替わったりしていないと気配は――」
「じゃ……その位知っとるわ、親父」
「トールか。お前も入れ替えは出来るのか」
「当たり前だろ、感覚はほぼ同じだしな」
《あれ、って事は今気配丸出しじゃ……》
「「あっ!」」
「…………ふぅ。まあ、このくらいなら大丈夫の筈だ。お前みたいに俺を狙う輩も来ないだろ」
「いや、トールはオーディンへの恨みで嘘吐いただけだけども!」
「まあ、トール位だろ、オーディンを恨んでいるのは――」
この時、フラグが立った。
立ってしまったのだ。
『神界開放っ!』
えっ?
「雷哉!」
――お前か!?
とは続かなかったが、雷哉は俺の言いたいことが分かったようで、すぐに
「僕じゃないっ!」
と否定した。
「じゃあ誰が――」
そう言いかけたところで、波のように迫ってきた光の放流が地面と建物、そして俺達を飲み込んでいった。
◇
……やっぱり、ここは……
「……来ちゃったね……」
「……そうだな……」
雷哉と共に苦笑する。
「「何で!?」」
恐らく……というか確実に、神と人間しか召喚も移動もできない「神界」だろう(詳しくは、『馬鹿で運動音痴の俺が神に成りました。』の第四話「ようこそ御都合主義の領域へ」を見てくれ)。
まあ、この神界への移動の為のボイスコマンド(俺は「G・F・O」、雷哉は「ゴッド・フィールド展開」と唱える。要は、神界を展開とか移動するとかそういう旨なら大体OKらしい)を俺も雷哉も唱えていないという事は、
第三者が唱えたに決まっている。コマンドも違うし。
でも、どこの誰が
「時雨!」
真後ろから、凛とした高い声と「シュピッ」という風を切る音が聞こえた。
「誰だっ!」
振り向くと大声がギリギリ届くぐらい……そのくらい遠くに、人影が見えた。アイツかっ!
「風斗っ!」
目を凝らす前に、とにかく人影に接近しようと地面を蹴ろうとしたところで、雷哉が叫んだ。
「上!」
そこは「うしろ~」じゃ……と思って上を見たら、数十の点が空に張り付いていて、少しずつ大きくなっていく。
「と、とにかく」
「逃げるしかないな!」
そう雷哉と確認すると、俺達はダッシュで人影から離れた。
何だか分からんが、ちらと見た人影は確か左手に棒みたいなものを持っていたはず。って事は、あれは杖で、降ってくるのは魔法、という考えることもできる。
「雷哉、遠距離からって事は、魔法だよな? あれ」
〈弓とかあるだろ〉
「大きい雹を降らせる、とか」
「……すみませんでした」
ちょうど俺が謝った後、すぐ後ろから今度は「ザクッ」と地面に何かが刺さった音がした。
思わず「うおっ」と漏らしながらも、丁度地面を踏んだ右足を強く蹴り、その地点から離れて振り向くと、そこには「現実では見慣れていないのにゲームではよく見るもの」が地面に突き刺さっていた。
RPGやアクションゲームでもお馴染みの、矢だ。
「雷哉、大丈夫か!」
走っていた時には右にいたから今は左にいる雷哉を見ると、制服の左肩の部分が嫌な紅で濡れていた。
「ごめん、ちょっとかすった」
と言い、俺と同じ方向を向いた。血に塗れた左肩は見えなくなったが、何か、嫌だ。……とにかく、左手は使わないほうがいいだろう。
「雷哉、お前、能力は使うな。神力で傷だけ塞いでミョルニルだけで闘え」
「え……でも!」
「いいから! ……足手まといになられても困る」
〈おい、そんな言い方――〉
仕方ないだろ。じゃないとこいつ、言う事聞かないんだから。無駄に責任感強くてさ。
〈だからって――〉
「わかった。ここはサポートに回る」
「よし、まずは近づくぞ!」
「その心配は無いわ」
「なっ」
いつの間にか、直径50メートルありそうな矢の草原の中心に、巨大な弓を持っているポニーテールの美少…………ん?
「なあ雷哉、アイツ男の娘? 女?」
「え、風斗、三組の平山さんだよ、弓道部のエース」
「さん……え、女?」
「どこからどう見てもそうでしょ!?」
整った顔を真っ赤にさせた少女(?)から怒号が飛んできた。融合者だから感覚強化されているからか、よく聞こえる。……というかうるさい。
「いや、でも胸無いじゃん」
「ちょっ、風斗!」
「な、なに言ってるのよ唐須! あんなのただの飾りよ! エロい人にはそれがわからないのよ!」
「何で俺の名前……いや、でもこういうのってさ、大きい娘が来るんじゃないの? 弓道部でのさらし姿のギャップが映えるんでしょ?」
「た、確かに先輩にはいるけど! さらしは巻かない! あとアンタ、落ちこぼれで有名でしょ!?」
「マジか……というかお前にさらしは、必要ないだろ」
「全員よ!」
「……何…………だと……」
「驚き過ぎよ! というか状況分かってんの!?」
「弓道部に入部」
「絶対先輩目当てでしょ! 私がさせない!」
「黙れまな板」
「……あれ、今何の時間?」
「まな……と・に・か・く! 私は小さくない!」
「何を言ってるんだ……まな板に人権なんてないぞ」
「辛辣過ぎない!?」
「もう、そんなこと言っちゃだめだよ、風斗」
「お、何か良い人いた! 見事な支援だよ!」
ナイスフォローって言いたいのか……? まあ、雷哉は優しいからな。
「それはそれで需要あるから!」
「下手な慰めなら要らない!」
まったくだ……まな板は背丈の小ささと組み合わさるから需要があるんだぜ。
「もう、怒った! 唐須もオーディンも貴方もここで倒して土下座させる!」
「「何で俺/僕が!?」
「いや、あんた達もよ!」
……え? 今オーディンって……?
「ちょっと待て、まな……平山」
「最後まで言ってたら殺してたけど……まあ、いいわ」
「お前と融合した神って……」
「そうね、そろそろ始めなきゃ……殺し合いを」
おい、全然会話が噛み合ってないんだが、神だけに。
「私はオーディンの孫、ウルの融合者、平山由美香!能力は矢を神力で創り出す『矢創』! 私は胸の恨み! ウルはオレルスとしての王位を奪われ追放され殺された恨み! 恨みを力に変えて、勝負!」
武士かよ……まあ、こちらもやった方が良いよな。
「俺は最高神オーディンの融合者、唐須風斗!能力は毛穴や口などの体の穴から空気を噴射する『送風』! 『大は小を兼ねる』! 『山あり谷あり』! 『無い胸は揉めず』! これらの先人たちの教えを胸に、勝負!」
「一個知らないのが入ってる! えっと、僕は……真中ら……は、恥ずかしいから、いいよね……?」
〈おい、能力を教えてしまってよかったのか?〉
相手が教えたんだから、いいだろ? それに……
「「弱そうな能力だ!」」
〈風斗、あまり見くびらない方が――〉
「来い! グングニル!」
頼れる神器、グングニルを召喚した俺に、
「航跡雲!」
平山が放った矢が突き刺さった。
用語解説 ~ウル~
ウルは、北欧神話での狩猟、弓術、スキー、決闘の神。
シヴの息子で、トールの義理の子にあたる。つまり、トールの父親であるオーディンの孫。
北欧神話の原典の一つ、『デンマーク人の事績』にはオレルスという名前で登場し、ロシアの王位であったオーティヌス(オーディン)がやらかしたため追放され、代わりにウルが10年王位にあったが、オーティヌスが賄賂で王位を買い戻したために王位を追われ、その後スウェーデンに退いたが、デンマーク人に殺された。オーディンを恨んでいるのはこの事が原因である。
知名度はオーディンやトールに比べて低いが、名前が様々な場所に使われていたために本来は天空神であった、という説もある(あくまでも説なので取り込んでいないが、由美香の技能が天候関連なのはちょっとだけこれが影響している。ちなみに、本当は別に設定がある)。今後は知名度が高い神と低い神がごっちゃに出るぞ!