蛇足話 座談会
メタ発言・キャラ崩壊・プロット大公開の三点セットです。
麗奈「ぃぐ……ぅぇぇぇぇぇぇっ……」
伸一「ちょ、いつまで泣いてるんだよもう始まってるぞ」
麗奈「だって……だってこんなのあまりにもかわいそうよぉ……あたしが」
伸一「だってお前、わがままだし。美香に勝てるわけないだろ?」
麗奈「ひどい!!あんたそれでも本当に主人公か!?」
美香「そんなわけで皆さんあけましておめでとうございます!今年もよろしく……と言う前に本編が完結してしまいました。この蛇足にお付き合いくださる皆さん、本当に愛しています」
伸一「何!?美香が愛しているのは俺だけだろ!?」
美香「何自惚れてるんですか。私は晴れて恋多き女子大生。テ○サー入ってヤ○まくりですよ」
伸一「お前それで本当にメインヒロイン張ってたのかよ!!もう台無しだ!!何が俺と美香の二人の物語だよいい加減にしろ!」
麗奈「そんなわけでこのコーナーは、いつもやってたダイジェストの代わりとして用意されたクソコーナーです。もう遅いとはもうけど、メタ発言&キャラ崩壊が超多分に含まれてるので、苦手な方はスルーしてね?」
美香「フラレヒロインのくせに何進行しちゃってるんですかこの負け犬!」
麗奈「ほらこんな風に!!」
伸一「しかし、俺って本当に優柔不断だよな」
美香「先輩……落ち込まないで。恋愛ものの主人公なんて大抵が屑か優柔不断、または両方ですよ?」
麗奈「ってか優柔不断にしないとただの一本道になるからプロットが練りづらいっていうか……」
伸一「やめろ、それ以上はいけない」
美香「でも先輩、やるときはちゃんとやってましたよね。一応主人公っぽさ出てたと思います!」
伸一「そ、そうかなぁ……」
麗奈「はっ、そうやって甘やかされていればいいわ伸一。そうしてダメ男になった末に美香に捨てられるのよ!」
美香「あーあ、これだからフラレヒロインの僻みは」
麗奈「なんですってー!?」
美香「作者曰く、もともと山橋麗奈というキャラクターは最高のフラレヒロインをモチーフに設計されたヒロインだったそうじゃない」
麗奈「なっ……どうしてそれを……?」
伸一「何それ聞いてない……」
麗奈「しょうがないじゃない!作者はどんなラブコメを見ても振られるヒロインの方を好きになってしまう特性持ちなのよ!?
いち○100%なら東城!とら○ラ!ならみのりん!ニセ○イならマリカ!!」
美香「なんですかそのドM体質……」
麗奈「だから最初からフラレ役にしようと思ってたあたしに【金髪色白セミロングハーフアイドル美少女】なんてやりすぎなくらいの強属性を与えたのよ……」
伸一「どう見ても作者が楽しみたいだけのオ○ニー小説です本当にありがとございました」
美香「対して私の扱いなんかひどくて、設定考えているときに街中で見た片側から髪流してる女の子の特徴をそのまま書いただけなんですよ!?本当に腹立たしいです!」
伸一「まぁまぁ落ち着けって」
麗奈「ちなみに伸一に至っては何にも考えてなかったらしいわ」
伸一「え?」
美香「主人公なんて優柔不断にして、たまにカッコよく仕立てればいいんだろ〜?みたいなスタンスだったらしいです」
伸一「無糖おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
麗奈「どちらかというとあたしが主人公だった気がしなくもないわよね」
美香「ええ、そうなんです。実は作者がプロット段階で温存している作品のほとんどが女主人公で、この作品も最初は完全麗奈視点で進めてもいいかなぁとか思っていたらしいですよ?」
伸一「こ、これ以上は……死体蹴りはよくない……」
美香「結果、作者としては伸一&麗奈のダブル主人公でメインヒロインは私、樋口美香という構想だったみたいですね」
麗奈「そんな裏側が……
確かに、誰かに依存しなきゃ生きていけなかったあたしが、最後には仲間を得て、そして依存するでもない自分の人生を歩むようになってる。
これ完全にあたし主人公……」
伸一「俺だって成長したもん!頑張ったもん!」
美香「かわいそうに。いいんですよ、これからは私と一緒に邪魔者のいない世界で仲良く暮らして生きましょうね〜」
麗奈「あああああああああ!!!!やっぱりムカつく!麗奈ルート希望!!麗奈ルート早く書けこの正月ボケのバカ作者!!」
無糖「うっせぇこっちだって仕事が山積みなんだよ!!!!」
伸一&麗奈「何出てきてんだあんた!!!?」
美香「もともと作者はバトルとか頭脳戦とか、そういう作品を作るのの方が好きだったけれど、ある日電車に乗っていたときふと恋愛が書きたくなって、30分で書き上げたミニプロットを元に書いてみたら意外と長く続いてしまった、という感じだったらしいです」
麗奈「これがそのプロットね……長いから、これ以下の文は*から*まで飛ばしてもらって構わないわ」
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【恋愛が描きたくなった】
四月中旬
大学生二年生になり、未だに彼女の一人もいない伸一。
恋愛自体興味がなかった。
暇つぶしに行ったサークルの新歓会で、物凄く可愛い先輩と出会う。
帰り道、先輩と途中まで道が同じだったが、話しかけられず30メートル後ろを歩いた。
すると、先輩の近くにスーツ姿の男が歩き出した。
その男からの絡みを嫌がる様子の先輩。
そこにすかさず入り込み、男を追い払う。
先輩は苦笑いしながらお礼を言う。
先輩の名、麗奈を聞いて帰る。
家に帰り麗奈のことをぼんやりと考えていると、誰か客が来たらしい。
見ると、そこにはさっきの男が立っていた。
どういう関係なんだ、と聞かれる。
何者かと問うと名刺を渡される。
彼、否、彼女、美香は麗奈のプロデューサーだった。
麗奈は実はアイドルだと知る。
テレビでその姿を見る。
彼女は仕事をサボって新歓会に参加し、その追及を受けていたところで伸一が入ったとのことだった。
美香に謝り倒す。美香は許してくれた。
翌日
誰かから電話が掛かってくる。
女の声だったから告白かと思って行ってみる。
その声の主は、なんと麗奈だった。
麗奈は今日も仕事を抜け出して大学に遊びに来たらしい。
美香とあの後会ったことを話すと警戒される。
すると伸一の後ろから美香が現れる。
私服だった為聞いてみると、彼女は一年生。つまり、後輩だった。
美香に連れ戻される麗奈。
すると麗奈にライブに来いと言われる。
行ってみて、その熱狂ぶりに驚く。
終わると後片付けをさせられる。
美香と何気ない話をする。(美香ポイントUP)
3人で帰ることに。
麗奈のプロデューサー補佐に指名される。
認められない美香。
しかし、成り行きで次のゴールデンウイーク握手会付きCD発売会に手伝いに来ることになる。
4月末
CDショップは人で賑わい、物凄い数になっていた。
しかし、美香のミスで300枚のCDにジャケットがつけられていなかった。
泣いて謝る美香。慰め、励ます麗奈。それを見て伸一は走り出す。
ジャケット無しの100枚に近づき絶体絶命の時、伸一がさっき撮った写真を印刷して持って来ていた。
それを麗奈が自らサイン入りでナンバリングを書く、と言う企画を発案し、価格一割増しにして発売。
麗奈は軽く腱鞘炎になったが、なんとかその場を乗り越えた。
麗奈と伸一のおかげでピンチを乗り越えたことに感謝。
それを見ていた社長からプロデューサーの依頼を受ける。
それを受け、残りのゴールデンウイークを切り抜けた。
6月上旬
プロデューサー補佐の仕事も板についてきた伸一。
そんな時、麗奈と伸一はあることについて喧嘩していた。
それはライブの日取り。
場所は武道館という一大ステージだが、確保できる日は1日のみ。
しかし、その日をどうしても麗奈が拒む。
美香は黙り込んでしまって何も言わない。
売り時の今を逃すなんてありえない。なんとしてでもやらせたい事務所と伸一。
学校に行かないと言い出す麗奈。
そして本当に来なくなってしまった。
そこに麗奈と人気を二分するアイドル、片瀬ののが現れる。
麗奈のライバルを自称する彼女は麗奈がライブに出ないという噂を聞きつけて来たらしい。
ののは麗奈に出て欲しいらしい。
伸一とののは協力することに。
麗奈の家に張り付く。
それを尾けると、病院へ。
面会に行く麗奈。
ついて行こうとすると美香に止められる。
妹が病気で、かなり厳しい状態らしい。
彼女の医療費を稼ぐためにアイドルを始めたらしい。
そして、ライブの日は妹の誕生日。
伸一は悩む。
翌日、伸一は美香に頼んで妹に会いに行く。
麗奈の妹、香奈に病院で会う。
そして優しい香奈と話す。
そのまま病室を出て、麗奈に会う。
そこで伸一は美香の予想に反して麗奈に出演を頼む。
事務所からもそろそろ何とかしろと焦りの声が上がる。
ライブ当日。やはり来ない麗奈。
美香に場を任せ伸一は麗奈の家に行くがいない。
しばらく探し、ショッピングモール前で麗奈を見つける。
麗奈の歌が香奈の希望なんだと語る。
そして麗奈は出演を決める。
二人で自転車を漕ぎ、ギリギリ到着。
発声練習も無い。準備なんて全然ない。しかし、輝くステージで人々を喜ばす麗奈に見惚れる。
隣では悔しそうなののと、複雑な顔をしている美香。
そんな美香に耳打ちする。
ライブが終わり、インタビューが来る、というところで全て遮り、美香が読んだタクシーに乗せる。
追いかけるマスコミを伸一が引き受け、止める。
そこに協力してくれる社長。
病院では、伸一が看護師さんにお願いした通り誕生日パーティーの準備が終わっていた。
みんなで楽しい誕生日パーティーをする。
遅れてきた伸一も参加。
そして香奈に抱きつかれる伸一。
パーティーはとても楽しく終わった。
8月
夏休みになり、キャンプに行くことに。
そこではダンス、ボイス、基礎体力などトレーニングが目白押しだった。
サマーフェスに向けて頑張る。
その指導を全部美香がしていることに驚く。
美香は中学生の時、最年少で大規模劇団に所属していた過去を持っていた。
合宿のキャンプファイアーを見ながら美香は麗奈との出会いを語る。
劇団でいじめに会い、大怪我をしてしまった。
入院した時、隣の病室から歌が聞こえた。
その頃のアイドルの歌だった。
そして、その応援歌が美香の胸に響いた。
美香は気がついたら麗奈に話しかけていた。
そして、友達になった二人は街でアイドルにスカウトされる。
美香は麗奈にアイドルになることを勧める。
麗奈と一緒に事務所のマネージャーになるために劇団を辞める。
そうして二人三脚で歩いて来たらしい。
美香は麗奈が大好きだった。
そこで美香にメールが届く。
劇団はサマーフェスに麗奈の隣のステージで出演するらしい。
その宣戦布告にビビる美香に麗奈は自信を持って勝利宣言をする。
帰ってからも練習を続け、ついにサマーフェス当日になる。
サマーフェスで、美香は隣の劇団員に声を掛けられる。
弱気になる美香に代わって伸一が勝利宣言。
何かしてこないか心配する美香を励ます。
そしてステージが始まった。
歓声の中、最高のステージを披露する。
しかし、そこへ劇団員が麗奈のステージセットを壊す。
怪我をして動けなくなってしまう麗奈。
劇団員は悪びれもしない。
美香が劇団員を叩く。
それを写真に写した他の劇団員。
翌日、雑誌にその写真を載せられる。
麗奈は骨折だった。
責任を感じた美香は社長に辞職を申し出る。
麗奈は美香の元に向かうが、美香に拒絶されてしまう。
美香、退社。
10月
麗奈はようやく仕事に復帰。
美香は初めての文化祭の準備をしていた。
そこに伸一がやってくる。
すっかり敬語を使うようになった美香。
麗奈の復帰を伝えると微笑む。
戻ってきてほしいと伝えるも、断られる。
大学との合同で麗奈のライブを行うことになっていた。
ライブの練習中に美香が少しでも見えると落ち込んでしまう麗奈。
そこにののが現れ、自分もステージに一緒に上がると言う。
渋る伸一だが、社長と校長が許可。
ボロボロの麗奈の精神を叩き直していくのの。
そして本番前日、リハ前に病院で香奈と一緒に麗奈を励ます。
リハは雨が降ってしまったが決行。
そして当日。ののは39度の熱を出してしまう。
ライブを中止しようとした時、伸一は走り出す。
そして、美香を出演させることに。
渋る美香を説得。実は前から練習見てたことを指摘。
出演を決める美香。
「あの…先輩は、私のステージ…見たいですか?」
麗奈は困惑するがやらせる。
本当に楽しそうなライブになる。
大歓声の後、フォークダンスを踊ることになる。
美香と踊る。
伸一を探していた麗奈がそれを見て少し傷つく。
翌日、ライブ映像がネットで公開され、美香は一気に話題になった。
ののに謝られる美香と麗奈。
麗奈は美香にマネージャーに戻って欲しいと言う。
渋る美香。そこに社長登場。
社長はマネージャー復帰を断る。
そして、美香のアイドルデビューを提案。
11月上旬
アイドルデビューを断り続ける美香。
そこで麗奈が、伸一を美香に付けてみろと提案。
美香「で、でもそれだと…」
麗奈「大丈夫よ、伸一くんよりよっぽど有能な人を付けるんだから。」
伸一「それはどういう…」
美香は麗奈にそれでいいのかと問う。
そして、美香は社長に呼び出される。
そこで麗奈にとって刺激になるから、など色々言われ、とりあえず一曲出すことが決まった。
伸一はなんとなく釈然としないながらも美香のマネージャーとなるのを嬉しく思う。
美香の予定管理など、色々あっていつも一緒な二人の仲は、公認となっていた。
そして、麗奈と一緒にミニライブをすることになる。
デビューがいつの間にか確定したことに怒りつつも好きだったステージにもう一度立てることを内心喜ぶ美香。
そして当日、緊張でガチガチになってしまう美香。
伸一と麗奈は優しく慰める。そして伸一に一緒にいてとか言う。
美香、オンステージ。
それを見て次に控える麗奈は嬉しそうだった。
美香の曲が終盤になると麗奈の携帯に電話が来る。
その番号を見て出る麗奈。どうやら病院かららしい。
すると顔色を変え、ステージ衣装のまま出番を放り出して走り出してしまった。
美香がステージを降りると、社長がやって来て、美香に麗奈の曲をもう二曲歌うことと、麗奈が出演出来なくなったことを伝えるように言われる。
伸一は社長に行けと言われて麗奈を追って病院に行く。
そこには、遺体があった。
外に出ると、涙を流す事もなく、棒立ちしている麗奈がいた。
彼女は伸一を見つけると死に目に会えなかったこと、最後までお姉ちゃん、と、言い続けていたらしいこと、様々な後悔をぶつける。
そして、実感が湧かなくて、全く涙が出ないと嘆く。
そこで伸一は麗奈を抱きしめる。
実感が湧いてしまうからやめろと伸一を突き放す。
何度押し返されようとも抱きしめ続ける伸一。
泣く麗奈。もう自分に残ったものは何もないと言う。
伸一は自分がいてあげると返す。
そして、その後ろには美香が立っていた。
11月下旬
伸一と麗奈は恋人となった。
前回のライブの謝罪としての小ライブを無料で行うことになる。
しかし、ステージに立つ前に震えが止まらなくなり、歌も歌えなくなる。
そのまま麗奈は降板。仕事もなくなってしまい、活動を休止。
事情を話すしかない、と言う会社。しかしそれを伸一が止める。
「もう、世間の同情を得て誤魔化すしかない!」
「そんなに利益が大事ですか!?
傷ついた一人の女の子を、さらに痛めつけるような真似をして、恥ずかしくないのですか!?」
「それじゃあ君はこのまま山橋麗奈を殺す気か!?
簡単に言う。君は会社のお金をいくら使って彼女を育ててきたと思っているんだ!?
綺麗事で、この会社の従業員を食わせていけるのか!?
何人路頭に迷わせる気だ!?君はそんな事を考えたことがあるのか!?」
「っ!!」
といった感じで押されてしまう。
反対意見を出し続ける伸一は邪魔者扱い。
伸一は毎日家で泣いている麗奈を励ましていた。その間によく美香とののも来ていたが、麗奈は会おうともしなかった。
美香たちと相談。そしてデート作戦を思いつく。
麗奈を説得し、なんとか動物園に行くことに。
久しぶりに麗奈は笑った。楽しかった。
翌週、麗奈は久々に事務所に出向いた。
だが事務所は大騒ぎ。そして職員は麗奈を見つけるとすぐに社長に取り次いだ。
社長室には伸一と社長が待っていた。
差し出される一冊の雑誌。そこには伸一とのデート写真が載せられていた。
社長は伸一にブチ切れる。今まで邪魔してきたのは麗奈の独占のためかと罵倒される。
反論する伸一。しかしもうどうしようもない。
落ち着いたところで社長は二人を帰した。伸一はクビ。
麗奈は、黙っていた。
家の前には多くのマスコミがおり、帰れない。
伸一と麗奈を助ける美香とのの。
ののの家にみんなで逃げることに。
ののは美香からことの次第を聞いており、しばらく家にいろと言ってくれた。
伸一が居ない間に女子三人は話し合った。
美香とののにアイドルをやめ、伸一と一緒にいるべきだと言われる。
美香の気持ちに気づいていた麗奈は謝る。美香は微笑み、幸せになってくれと言う。
伸一はメールを読んだ。社長による招集だった。
そして伸一は翌日ののの家に。
麗奈がアイドルを辞める決意をしたことを聞き、申し訳なくなるが、抱きしめる。
そして一緒に事務所へ向かう。
その間ずっと二人の手は繋がれていた。
そして事務所に着き、社長室へ。
そこで麗奈は言った。手が離れる。
「伸一くんが言ったことは全て嘘です。私たちは交際なんてしていません。
あの日、確かに私たちは動物園に行きました。ですがそれはデートなどではなく、伸一くんに一方的に連れられたもので、それをたまたま撮られてしまっただけです。
ですが…そうですね、優しい彼のことです。家族の死による傷をえぐられるよりは、スキャンダルによる活動停止の方が良いとでも考えたのでしょう。」
そして社長は、伸一を庇おうとする麗奈の意思を悟る。
喚く伸一を無視して伸一をただの暴走マネージャーに仕立て上げる。
「もう、これでお別れです。今までありがとう、伸一さん。」
伸一は追い出された。同時に麗奈の緊急記者会見が開かれることになる。
町をふらつく伸一。電気屋のテレビでの中継に映し出される麗奈。
それを見て、涙が溢れてきてしまう。
麗奈の会見は終わった。麗奈は自分の家族の死を隠そうとしてくれたマネージャーについて、友人以上の関係は一切ないと断言。
控え室には美香とののがやってきていた。
美香は泣きながら震え、麗奈の頬を叩く。
一方的に殴られる麗奈。
「想ってないんだったら…もう伸一さんになんの未練もないっていうんだったら…殴り返してよ…
私の怒りは見当違いだって、怒り返してよ!できるもんか!!麗奈さんはずっと変わらずに…」
そこで麗奈の手が飛んだ。無表情で、なんの感情もなく。
美香がやり返そうとしたのを止め、何度も、何度も殴ってやった。
美香は大泣き。
「これで、満足でしょう?」
そう吐き捨て、その場を去る麗奈。
ののは去ってしまう麗奈を追いかける。
麗奈の手を掴むのの。麗奈は怒ってののも殴ろうとしたが、その前に抱きしめられた。
「あんたはよく頑張った。頑張ったんだから、今は、今だけは、泣いていいんだよ?」
その言葉によって麗奈は号泣。
そして12月に入り、寒くなってきた深夜の公園。
三人が初めて出会った場所に、伸一と美香はいた。
麗奈の本当の気持ちはわかっていたのに、と言って自虐する伸一。
そんな伸一に向かって美香は言う。
「私は、あなたのそばにい続けます。そのためにだったら、なんだって捨ててみせる。
誰よりも自分勝手になってみせる。
ーーーーーーーーーーあなたが、大好きです。」
美香は伸一を抱きしめる。涙する伸一。
12月
麗奈は舞台に上がらないうちで仕事に復帰。
その一生懸命な姿に周囲のゴタゴタも冷めていった。
そしてそれと入れ替わるように美香が事務所にアイドルをやめることを伝える。
伸一と美香の関係は謎。しかし、伸一の家によくご飯を作りに来てくれる美香。
その思いにまだなんの答えも出せていない伸一は自己嫌悪。
でも、美香はしっかりと意志を持って答えてほしい。そのためなら待てると言う。
甘えてしまっている自覚はあった。けれど、何もできない。
麗奈の活躍を見ると、本当に自分なんていらなかったんだな、と、思い知らされる。
そうして、クリスマスが近づいてきた。
麗奈の元にはクリスマスライブの予定が入っていた。
たくさんのアイドルが集まるらしい。
ののはそこでなら万が一声が出なくても誤魔化せるから、出てみろと提案。
麗奈はそれを承諾。
準備は進んでいく。
そしてライブの数日前、ののが麗奈に一枚のチケットを渡す。
これを伸一に渡して、そして彼の前で歌う。
それが、麗奈にできる誠意だった。
麗奈は伸一が授業でいないであろう時間を見計らってチケットをポストに入れに行く。
ポストに入れようとしてふいに振り返ると、そこには美香がいた。
沈黙が流れる。そして麗奈は美香にチケットを手渡す。
「…これ、伸一くんに渡してくれる?」
「けじめの、つもりですか。」
「…義理よ。だから、捨ててくれても構わない。伸一くんも、もう私のことなんて見たくないかもしれないし、あなたも、嫌でしょう?」
「麗奈さんは…」
そして口ごもり、それ以上話すことはないと思った麗奈は去る。
「……そんなこと思ってるはずないって、わかってるくせに。」
そして、伸一は帰ってきた。
食後、伸一の部屋に行く。
そこで美香は迷ってから、チケットを渡す。
そして、自分は行かない。そう言って、彼女は去っていった。
唖然としながらチケットを握りしめる。
クリスマスライブ当日。
大盛況で、伸一を探す余裕などない麗奈。
ライブが、始まった。雪が降る。
そして同じく雪が降る夜。
聖夜の公園。
そこに、美香はいた。マフラーをいじりながら、きっとライブが行われているであろう方角を見つめる。
すると、後ろから抱きしめられた。
伸一は、美香を選んだ。ドームから溢れる歓声と歌声の騒がしさに対し、静かな二人だけの時間。
二人は優しくキスをする。
場面はドーム。大盛況に終わったドーム公演。普段はライバル同士のアイドルだが、今日は特別に、皆成功を喜んでいた。
麗奈は、ののと二人、端で挨拶をしてくる後輩アイドルに応対していた。それも消え麗奈は肩で息をする。
吐き気が彼女を襲っていた。歌えなかった。声が出なかった。
それでも舞台に立って入られたのは、伸一がいるかも、だから、元気な姿を見せなくては、取り繕わなければ、と言う意地によるものだった。
でも、関係ない。祭りは終わり、片づけがなされていく。
その後の打ち上げ。店に入る前に、街を寄り添って歩くカップルを見て、伸一と一緒に過ごした短い時間を思う。
今、そのそばには、自分はいない。
そこには美香がいるだろう。今はわからない。けれど、どのみちいつかはそうなる。
美香が羨ましかった。彼女が愛した舞台に立つチャンスを簡単に手放し、愛に走るその潔さが。
けれど、嫌だった。
伸一が取られてしまうのが、とてつもなく嫌なのだ。
気がつくと走り出していた。自分勝手なことはわかっている。けど、それでも、彼のことが好きなのだ。
伸一の家には明かりがついていなかった。時刻は14時ちょうど。寝ているのだろう。
そう思った時、耳に入る嬌声。
走ることもできなかった。呆然と、その声を、愛に溢れたその声を聞く。
一人、歩いていた。ボロボロと、涙がこぼれる。
痛い、辛い、自業自得。わかっていたはずだ。覚悟もしていたはずだった。
でも、止まらない。彼女の視界は歪み、気づくと膝をついて、道のど真ん中で大声で泣いていた。
そんな彼女を隠すように、雪は止まない。
行為の終わったベッドの中、美香は眠る伸一の横でそっと涙を流し言う。
「私は…卑怯だ。」
クリスマスライブが終わり、美香の引退が正式に発表された。
ライブにいないことから様々な憶測が飛び交っていたが、ここにようやくその原因が明らかとなる。
引退を惜しむ声。伸一は美香がどんな思いで舞台に立っていたか知っていた。
だから、それを捨ててでも自分を選んでくれたことに喜びと罪悪感があった。
そのゴタゴタでなかなか会えない二人。
けれど、年明けに一度だけ会えることになった。
麗奈はトップアイドルとして紅白、さらには正月番組などにもバンバン出演し、伸一は自分との格差を叩きつけられる。
頑張りすぎてののに心配される麗奈。
しかし、限界がきた。麗奈は過労で倒れてしまう。
待ちに待ったデートの日、美香はやっとただの美香として伸一の恋人になれた。
それを喜び合い、遊園地で遊んだ。
携帯は、置いていった。
そして、伸一の家に行く。
携帯電話には無数の着信。
焦って開くとののからの着信で埋め尽くされていた。
メールも来ていたのでそれを読む。
「麗奈が倒れた。」
そこで伸一は麗奈の妹の死を思い出す。
走り出してしまった。
美香はそれを見て、その場を立ち去る。
病室に飛び込むと、そこには麗奈が一人、ベッドの上で起き上がっていた。
伸一と会話するが、そっけない。
ぎこちない会話をして、喧嘩して、出て行ってしまう伸一。
伸一が家に帰ると誰もいない。
美香は帰ってしまったらしい。
けれど連絡はつかない。家にもいない。
美香は失踪してしまった。
伸一が去ってからすぐに、美香が入ってきた。
そこで美香は麗奈に激怒。
「伸一さんは少しも…少しだってあなたを忘れてなんかいない!!
あんなに辛そうに、抱いてなんて欲しくなかった!!!!」
そこで、二人は再びの喧嘩。
そして想いを全部吐き出して、美香は麗奈に言う。
「決闘、しましょう。全部、これで最後に。」
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無糖「いやぁ自分でも何書いたかなんて全然覚えてなかったけど、三章の内容なんてほぼ全面改稿だったね」
伸一「あんたそろそろ帰れよ……」
麗奈「最後まで書いてないところに優柔不断さを感じるわ。それが主人公に遺伝してしまったのね」
美香「時々入るセリフも、呼び方とかが全然違いますね」
伸一「ここにきて美香を選ばせるのを躊躇したな、作者め」
無糖「だって麗奈たん可愛いんだもんhshs」
麗奈「キモい!キモすぎるゥ!!」
美香「近年のラブコメは三角関係の末に相手を選ばないとか、なぜ落ちたのかわからないいわゆる『ちょろいん』とかが多くて、それに反発を示した意欲作でしたね」
伸一「うんうん。好きになるのに理由はいらないというけど、そんなのは本物じゃないよね」
麗奈「あたしもそれには同意ね。だから全3章も使って長々とあたしが恋に落ちる過程を描いたんだから」
伸一「美香は最初から落ちてたけどな」
美香「回想とかで説明したからあれはセーフ!異論は認めません!」
麗奈「まぁそれだけやっても結局あたし振られたし……」
伸一「諦めるな!これから俺と美香が別れるかもしれないだろ!?」
美香「お前主人公なのに何言ってんだ!?」
麗奈「あら、お言葉遣いがお悪いわよ?おほほほほほ」
美香「露骨に上機嫌になってる……」
伸一「それでは宴もたけなわ。そろそろお別れの時といたしましょう!」
麗奈「あたしのルートは!?ねぇあたしのルート!!!!」
美香「またいつか、機会があったらお会いしましょう!!さようならー!」
麗奈「ぅぅ……あたしの……っ」
伸一「まぁそれはいいから、一緒に挨拶するぞ。せーのっ!!」
伸一&美香&麗奈「今までありがとうございました!!!!」
無糖「俺たちの戦いはこれからだ!!!!」
麗奈「黙れっ!!」
ばいばい!!