表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔とぼっちの七日間  作者: 百円
エピローグ
23/23

エピローグ

 何かが足りない。

 今の私の気持ちを例えるなら、今日の天気がぴったりだ。真っ青で雲ひとつない空。

 夏の日差しも次第に弱まり、もう季節は秋だ。空もあっけらかんとして遠く感じた。

 今の私は何もかも恵まれていると思う。一緒に居て楽しい友達も居るし、かっこいい彼氏も居るし、成績だって申し分無し。お母さんにもちょっぴり我侭を言えるような、自分でも言うのもあれだけど、幸せな女子高生だと思う。でも、私の心の中に満たせない隙間が存在している。しかも、台風の目みたいに、ど真ん中にぽつんと穴が開いているような感覚。友達と話していても、彼氏と並んで歩いていても、テストで満点を取っても、もちろん幸せだけれど、でも、百パーセントじゃない。

 私が今の幸せを手放しで喜べないことは、きっと、雲ひとつない青空に、雲があればいいのにと思うことと同じくらい馬鹿げている。


「ヒナタおはよう!」

「おはよー」


 私がそう返すと、友達はぱちりと瞬きをして不思議そうな顔で私を見た。


「どうしたの?」

「いや、ちょっと前のあたしだったら、ヒナタに挨拶してるなんて考えられないなって。ヒナタ、ホントに変わったよねえ」

「そうかな?」


 私はへらりと笑みを零した。こんなことを言われるのは初めてじゃない。皆、口々に私が別人のようだという。どうしてそんなに変わったのか、ともよく聞かれる。でも、その答えは私も返せない。私も何故だか分からないからだ。気づいたら、皆の前で挨拶するのも怖くなくなっていたし、気づいたら、藤崎くんと付き合っていた。あと、これは関係ないかもしれないけど、嫌いなピーマンもいつの間にか食べられるようになった。その原因を考え抜いた結果、自分でばっさり髪を切ったから、という結論に落ち着いた。初めて短くしたとき、頭がすごく軽くなって、気分もすっとしたから。


「あ、そうそう。そんなことよりさ、ヒナタ、放課後暇?」

「うん、暇だよ」

「じゃあさ、あたしの家遊びに来てよ。面白い動画見つけたんだあ」

「面白い動画?」

「知らない? 悪魔ぶって検索してはいけない言葉を検索してみたってやつなんだけどー」


 ――「絶対、ぜったい、忘れないよ!」


 ふと、頭の奥の奥で、私の声がした。それは、あの時の、思い出そうとしても、どうしても思い出せなかった夢だということが、直感的に分かった。


「ヒナタ?」


 私が思わず足を止めたのを不審に思った友達が振り返る。

 忘れない? 何を? 何を、私は忘れてしまったんだろう……。


「あ、ごめん。考え事」


 私はさっと表情を取り繕って、友達の傍に駆け寄る。


「その動画、面白そうだね。見る見る」

「やった! じゃ、放課後にね」

「了解」


 夢の内容を一部分でも思い出したのは、これが初めてだった。もしかしたら、その動画にヒントが隠されてるのかもしれない。私のぽっかり開いた台風の目の隙間を、埋めてくれるかもしれない。

 そう思った瞬間、私は久しぶりに、幸せを見つけた気がした。

完結しました。

約二ヶ月間、ありがとうございました。

そういえば、この話は一応夏の終わりごろの話だったんだな、と投稿してから気がつきました。

相変わらずの季節外れです。笑


こんな話を作ってしまうほど大好きな悪魔さんに出会わせて下さった、ある動画投稿者様、そして、ここまで読んで下さった読者の皆様、本当に有難う御座いました。

良かったら、感想や評価を頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ