王道なはじまり方。
「間ニ合ッタァー!!」
と声に出しながら教室に入る。その瞬間女子の悲鳴が耳をつんざく。耳が良くなっているのでこれは堪える。
「こぉんのバカ犬がァ!!『姫の御前』!!」
突如体を支配される感覚に襲われる。俺の体ははそのまま跪く体制になった。
「歯ぁ、食いしばれ!!」
というと目の前の女子がローリングソバットをマズルに決めてきた。
「きゃいん!!!!……何ヲスル!!ソレカラバカ犬違ウ!!俺名前大上!!」
「教室に半裸で入ってくる男はただのバカ犬よ!!この変態!!」
自分の姿を見ると確かに半裸だった。おそらく狼化した時に破れてしまったのだろう。
「わいるどダロウ?」
「そのネタもうすぐ終わるからやめなさい!!そして早く服を着なさい!!」
そう目の前の女子は俺のロッカーを勝手に開けて体操服を出してきた。それを着ようとするがマズルと耳が邪魔してうまく着れない。
「やっぱりあなたはバカね。狼化を解けばいいじゃないの」
狼化を解き人間に戻って服を着たらもう一発ローリングソバットが俺の鳩尾に入った。
「大体あなたは身だしなみに無頓着すぎなのよ!!だからいつまでたっても二級なのよ」
「仕方ないだろ!!ヒーローポイントがなかなか貯まらないからこうでもしないと貯まらないんだよ!!」
「あら、ヒーローポイントなんて10分も悪人退治したら一万点は貯まるじゃない」
「それはお前が特級だからだろ!!これだから下々のことが分からないお姫様は」
「ぬぁんどぇすってぇ!!この脳筋バカが!!名前が英雄なのにいつまでたっても二級のままじゃん!!」
「バカはそっちだろ!?何も知らないバカは!!」
「はいはーい。姫川も大上もやめなさい。夫婦喧嘩は狼どころか犬でも食わないそうだよ?」
「「誰が夫婦だ!!」」
「おうおう、視線が痛いねぇ。じゃ、HR始めんぞー」