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『Story5』史上最大のプロジェクト開始

孝之が何を求めているかが解らないまま状況だけが進んで行く。

涼一は舞台に上がり言葉を詰まらせていた。


眠そうな表情を浮かべながら、鏡の前で

歯磨きをする涼一。



「もしも僕が普通の会社に就職していれば、今頃

OLの女の子達と楽しく話したり先輩の愚痴に付き合

って飲みに行ったりしてるのかなぁ。

はぁ僕は何て所に来ちゃったんだろう。

詳しく知っていればこんな所へ来たりは

しなかったんだけど焦ったせいでとんでもない場所

での生活を余儀なくされ、おまけにプロジェクトの責

任者にまで勝手に・・・・。はぁ」



独り事を呟きそして溜息をつく涼一。

とそこへ



「お坊ちゃまがお呼びです」



そう言って執事がやって来て、彼をそのまま連れ

て行ってしまった。

最早彼には自由すら残っていない。


畳にすると数百畳はあろうかと思う大きなプロジェク

トルームに連れて行かれ真ん中に置いてある小さな椅子

へと座らされた。

そして執事が



「静粛に、ただ今から{瞬間零移動の定義}

のプロジェクトにつきまして就任式を行います」



突然鳴り響くファンファーレに驚きながら、涼一

は落ち着かず辺りを見回した。



「何が始まるんですか?」



執事の耳元でそう囁くと、



「ご心配なく、私共にお任せください。

あなたはただその場にじっと座っていらっしゃる

だけでよろしいのです」



と進行に着いて他には何も教えてはくれなかった。



ファンファーレと開会式の演奏が終わると今度は何か

のテーマソングの様な曲が流れ始めた。

そして孝之が王子様のように登場して来たのだ。

これにはさすがの涼一もあまりのバカバカさに笑いそう

になったけど、ここでもし笑ったりしたら何をされるか

解ったもんじゃない。もしも降格させられたら外で影武者

として突然銃殺され短い生涯を終えてしまうのかも知れない。


そう思うと気持ちとは裏腹に顔は強張るばかりだ。

しばらくして涼一が前へと呼び出された。

そして執事の挨拶から始まった。



「本日はお日柄もよく、大変心麗しゅうございます」



さすがの涼一も結婚式でもあるまいし、執事のこの言葉に

プッと噴出さずにはいられなかった。

しかしそれが執事に聞こえない訳がない。

すかさず涼一の方を見て彼は言った。



「何かご意見でもございますか?ならこちらへどうぞ!」



そう言って彼は涼一を誘導した。突然舞台の上に立たさ

れた涼一は辺りを見回した。今ここにはざっと300人程だろうか、

その数は組織のほんの一部の人間に過ぎない筈。

しかし舞台など上がった事がなかった涼一にとってその

光景は別世界に見える。



「思ったより意外と緊張するなぁ」



そして、舞台の上で押し黙っている涼一を前に孝之が

切りだした。



「さあ皆さん、新たなる天才の出陣にいざ耳を傾けよ」



孝之の煽る様な言葉に涼一はプレッシャーのあまりそ

のまま何も言えなくなってしまった。



「おいっどうした?何を押し黙っているんだ。

お前には言うべき事があるだろう。

さあ皆の前ではっきりと述べればいい」



そうは言われてもこのような状況が初めての涼一にと

っては何をどう発言して良いのかがわからずただその場に

茫然と立っている事しか出来ないでいた。


しばらくしてもう一度孝之が切りだした。



「しょうがないなぁ、もういいよ!」



そう言って背を向けて部屋の外へ出ようとした孝之が

一瞬立ち止まって振り返り



「もういいと言ってもお前をこのプロジェクトチームの

責任者から外した訳ではないぜ。なーに答えは簡単さ、

ただお前が発言しないうちはこのチームが始動しないだけ」

と言い終えると出て行ってしまった。



「僕が進めなければならないんだ・・・・・。

僕は天才なんかじゃないのにもうどうしたらいいのか解んないよ」



頭を抱えて蹲ってしまう涼一。その姿にチームの

誰もが微動だにせず今にも突き刺さるかの様な視線を一斉

に浴びせたのだった。



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