ブロック!
わしの名前はトーマス。
今年で80才になる独裁国家の3代目じゃ。
我が一族はもう300年以上、国民に銃を突きつけて従わせておる。
「逆らうものには死を」が家訓じゃ。
国外に逃げられないように国境には高い壁を用意してある。
特権階級の王族だけがぜいたくな暮らしをして残りの国民はみんな貧しい。
生かさず殺さずじゃ。
優越感も味わえるし国民は元気じゃとすぐ反乱を起こす。
逆らう元気がないぐらいがちょうどええ。
国民はみんな洗脳してある。
わしを生まれた時からの大天才で愛にあふれる王様だと信じさせておる。
生まれてすぐ言葉をしゃべり馬に乗って弓を射りウサギに的中させたというホラ話を本気で信じおるんじゃから本物のバカじゃ。
洗脳にかかりにくいおろかものは強制収容所という厳しい労働施設で洗脳しなおす。
脱国しようとするものやわしの悪口を言うものはみんな公開処刑じゃ。
国民を集めて見せしめて逆らえばこうなると恐怖させる。
外国が風船で飛ばしてくる食料品はすべて回収する。
外国にこんな上手いもんがあると知られてはいかん。
我が国が世界で1番裕福だと教え込んでおるからな。
外交を担当する官僚が亡命した場合、三族に渡って殺す。
そうされたくなければ亡命など考えぬことじゃ。
わしの暗殺を考えたものは長時間の拷問のすえに殺す。
我が国には拷問を楽しんで行う拷問官がおる。
ビデオ撮影したものを観ながら酒の肴にして楽しむ。
命乞いや泣き叫ぶ声がたまらぬ。
この国に美女はみんなわしのものじゃ。
数えきれぬ美女を王宮に閉じ込めておる。
酒池肉林のハーレム生活は最高すぎる。
運動は嫌いで体はぶよぶよじゃが優秀な専属医師がついておるから健康面も保証されている。
上等な衣装を着て王冠をかぶり赤いマントを羽織り玉座で部下の報告を待つのがわしの日課じゃ。
どんな無茶な命令でも命がけで達成しようとするバカに囲まれてわしゃほんまに幸せじゃ。
しっかり洗脳しておるから何かあればわしの命を守るために命をかける。
影武者も100人おるし万全の体制で身の守りを固めておる。
我が国は核兵器も所持しておるし、他国は怯えて攻め込んでこん。
我が国に稀少な鉱石や石油があるおかげで道徳的な理由から貿易を拒否する国よりも国益優先で貿易する国のほうが多い。
我が国は権力者の憧れの国じゃ。
権力を持つものは巨大な支配欲を抱えておる。
本音ではわしのように傲岸不遜に振る舞い国民を洗脳して奴隷にしたいんじゃ。
堂々とハーレムを作り酒池肉林の日々を過ごしたいが、それができんで苦しんどる。
罪を犯すと地獄に落ちるじゃと?
地獄なんぞありゃせん。
あれは悪人をビビらせるための嘘で死んだら人は無になるだけじゃ。だまされたらつまらん。
賢いわしは安心して悪さし放題じゃ。
ある日、ベッドルームで美女たちとたわむれておると陸軍大将が玉座の間に駆け込んできた。
なにごとか?
どうせ反乱でも起こったというのじゃろう。
日常茶飯事じゃ。
いつものように武力でもって鎮圧すればええ。
ゴミどもは機関銃で一掃じゃ。
大将の報告を聞く。
「すべての国民が消えました!」
「国民が消えたじゃと?」
「1人も姿が見えません」
「かくれんぼでもしておるんじゃないか?」
「どこを探してももぬけの空です」
「そんな摩訶不思議なことがあろうか?町を視察するぞ。同行せえ」
「御意っ!」
警護の車に先導され高級車で町に出かける。
複数の高級車を用意しておるのはどれに乗っておるかわからないようにするカモフラージュじゃ。
高級車は地雷もミサイルも跳ね返す防御力が備わっておる。
まったく揺れんし至福の乗り心地じゃ。
警護の車に取り囲まれておるしどこかに隠れて飛び出してくる賊は返り討ちじゃ。
アホどもの急襲を警戒していたが何事もなく町にたどり着く。
まったく人の気配がなかった。
ひとっ子ひとりおらん。
村に行っても同じじゃ。
わしは廃墟となった町で呆然と立ち尽くす。
いったい何があったんじゃ?
神隠しか?
狐につままれたような気分じゃ。
「脱国じゃないか?」
「いえ。閣下の指示通りアリ一匹通さぬようにしております!」
「集団自殺か?」
「自殺は法律で厳しく禁じております!
火山などの自殺スポットも警戒を怠らず完全に立ち入り禁止にしております!」
「地下道をほったんじゃないか?
それか気球やドローンで空を飛んで逃げたんじゃないか?」
「調べましたが、地下道の痕跡はなく空を飛んで逃げたと言う目撃証言もありません!」
わしは絶句する。
海からの脱国も警戒して兵士たちが厳重に警備しておる。
海に出たところで荒波じゃから100%溺死じゃ。
国民はいったいどこに行ったんじゃ?
奴隷はわしの財産じゃ!
今まで何万人も海外から美女をさらってきたが、その腹いせで外国の連中がなんらかの手段で国民をさらったんじゃないか?
おそらく我が軍の兵士の一部を金で寝返らせて国民を国外に脱出させたのじゃろう。
冷静に考えればその手しかない。
裏切り者は見つけだして地獄を超える恐怖と想像を絶する痛みを与えて殺してやる。
親族も全員殺す。根絶やしじゃ!
犯人がわからぬ以上、世界各国に核ミサイルを突きつけてさらった国民を返してもらうしかない。
返さねば地球を火の海に変えてやるわい。
「城に戻るぞ。軍事会議を開く」
振り返るとだれもおらん。
そしてだれもいなくなった?
なんじゃ?どうした?何が起こっておる?
わしはまわりを見回して呼びかけたがだれも返事をせん。
消えた。まるで透明人間のように消えた。
ふざけおって。
どこに隠れよった?
付近を捜索しておると車のエンジン音が聞こえた。
すべての車がわしを残して去っていく。
「待てっ!待つんじゃ!」
置き去りは最悪な気分じゃ。
さびちい。
城に戻ったらあいつら全員死刑じゃな。
町にひとり取り残されたわしは途方に暮れる。
どうする?
幸いなことに国境付近じゃ。
国境警備隊に保護してもらおう。
運動不足でちょっと歩くのもつらい。
大汗をかきゼエゼエ息を吐きながら歩いた。
目的の高い壁にたどりつく。
国境に兵士の姿は見えんかった。
サボっておるの。
隣国の王はわしとなかよしじゃ。
国民こそ国内に閉じ込めておらんが、長年にわたり恐怖政治で国民を縛っておる。
親友に助けてもらおう。
わしは門をくぐり国境を越えようとした。
見えない壁に防がれる。
「なんじゃこれは?」
透明な壁をガンガン叩く。
蹴ってもタックルしてもびくともせん。
10分ほど格闘したが、あきらめる。
壁に寄りかかって体育座りしておると突然、体が浮き上がった。
「おおおっ!?」
背中に翼が生えたのかと思ったが何もない。
上空をすごい速さで移動する。
どこかに運ばれておるようじゃ。
空を飛ぶのは初めてじゃがとても気分がええ。
これは夢じゃな。
ぜんぶ夢じゃ。
人は空を飛べぬ。
いますぐほっぺをつねっても良いが夢の世界を楽しもう。
眼下を流れていく異国の街並に興奮する。
どこまでも広がる海をひつじ雲を突き抜けて渡った。
めっちゃ爽快じゃ。
だんだん自然豊かな島が見えてきた。
速度がゆるまりわしは浜辺に降ろされる。
きれいな浜辺じゃ。ゴミひとつ落ちてない。
ここは天国か。
遠くの浜辺に人影が見える。
警戒しながら近づいた。
近づくとよく知った顔じゃ。
「パパ!」
「あなた!」
「国王様!」
家族と側近じゃ。
家族と抱き合う。
愛息子をなでる。
「おーよしよし。いい夢じゃ」
「これ夢なのかしら?ほっぺをつねってもぜんぜん目覚めないわ」
「わしの夢じゃからな」
わしが目覚めればみんな消滅する。
現実も夢の世界もわし中心じゃ。
さあこれからみんなで海で泳ごう。
「夢じゃねーぜ。現実さ」
振り返ると草で編んだ腰巻きひとつの人相の悪い男がおった。
よく日に焼けて手には釣り竿を持っている。原住民か?
「どういうことじゃ?」
「あんたらブロックされたんだよ。国民全員に」
ひげもじゃ男は腰巻きの中からスマホを取り出す。
「新しく追加されたブロックアプリは嫌いな人間をブロックすることができる。
ブロックされたら相手に触れないし見ることもできない。
店主にブロックされたらその店に入ることもできなくなる。
国王にブロックされたら国から追放だ」
言ってることは理解できるが、まったく飲み込めぬ。
「そんなバカな。それはもう科学ではなく魔法の領域ではないか」
「天才JKが開発したらしいぜ」
「わしは国王じゃ!わしを出禁にはできん!」
「国王が国民の過半数からブロックされるとネット選挙が行われる。
その選挙で選出された新しい国王がおまえさんたちをブロックしたのさ。
さらに外国の国王たちもみんなおまえさんたちをブロックした。
ここは嫌われもんの流刑地だ」
「選挙などクソ喰らえじゃ!」
独裁国家生まれ独裁国家育ちのわしは民主主義と選挙という言葉を聞くとじんましんがでる。
「我が国の国民は貧しくだれもスマホなんぞ持っておらんはずじゃが?」
「外国から潜入しただれかが国民に渡して使いかたを説明したんだろう」
「我が国にはだれも入れん!」
「ブロック機能で兵士をブロックしてから侵入すればいい。
職種項目をチェックすればまとめてブロックできる。
兵士には見えないし触れない。自由に動ける」
信じられぬが腑に落ちた。
国民は消えたのではなく見えなくなっただけじゃ。
「この島はだれのもんでもない。この島で嫌われたら生きていけねーぜ」
立ち去ろうとするひげもじゃ男の背中に問いかける。
「スマホはどこで入手できる?」
「いずれ届くさ。1人一台配布される」
ひげもじゃ男は振り返りもせず答えた。
その晩はみんなで身を寄せあって浜辺で野宿する。
起きるとすぐ近くに家族分のスマホが置かれていた。
だれかがこっそり届けてくれたようじゃ。
ブロックと言うアプリがあるので開いてみる。
世界中の人間が登録されておった。
その人物が何をしてきたのかも羅列されておる。
犯罪歴もしっかりわかる。
危ない人間は即ブロックできると言うわけじゃ。
「ボクたちみんなに嫌われてたんだねパパ」
「そのようじゃ」
うそはつけん。
ついてもすぐばれる。
この島は我が国と違いネットを遮断してないからの。
情けなくて泣きそうじゃ。
あたりを見渡すが側近の姿は見えん。
早速わしをブロックしたようじゃな。
わしの部下でおるのがそんなにいやか?
「これからはみんなに好かれるように生きるのじゃ」
わしの言葉に妻子は涙を流す。
昨日のひげもじゃ男を探し頭を下げてサバイバルの知識をわけてもらった。
お礼に釣った魚を献上する。
ギブアンドテイクじゃ。
いままでのわしは奪ってばかりで与えることはなかった。
猛省じゃ。
この島で生きるには誠実な人間関係を築かねばならん。
島を散策すると親友の独裁者も来ておった。
抱き合って互いの無事を喜ぶ。
しかしこやつは島内での評判が悪くて数日後にせいさんなリンチを受けて死んでしもうた
独裁者時代のくせで新米の立場をわきまえずえらそうなふるまいを改めなかったせいじゃ。
何も与えずなんでもタダでわけてもらおうとする態度が古参連中の怒りを買った。
独裁者の末路じゃな。
死体を海に流し手を合わせた。
この島は老若男女凶悪犯が多い。
だれからも相手にされない人間の集まりじゃ。
徒党を組んで群れておる者が多いが、他者をブロックして1人でサバイバルしておる強者もおる。
よっぽど孤独が好きなんじゃな。
ひげもじゃ男は家族を築き多くの住人と友好関係を築いておった。
手本にせねばならん。
わしはまじめに心おだやかに働いた。
つねに笑顔で困っておる住人にはやさしくする。
地道に信用を積み重ねるのじゃ。
得た知識や食料をみんなでわけあう。
有益な情報も共有する。
嫌な顔ひとつせずみんなのために一生懸命働いた。
やつれるほどに働いて一年経った頃には多くの住人がわしをしたってくれるようになる。
独裁者からブッダに生まれ変わったのじゃ。
ある日の晩、わしはなんとなく興味本位でブロックアプリの開発者について調べた。
プロフィール写真に載っておるフラクマモリという名の美少女はベロを出しておでこにピースサインをそえとる。
ぬばたまの黒髪、大きな黒眼、月のようにまっ白な肌。
独裁者時代ならそっこうで妾にしておったな。
インタビュー記事を読む。
「開発の動機?
テレビに嫌いな芸能人が多すぎてテレビが観られなくなったことだね。
ブロックできたらいいのになぁって。
嫌いな芸能人が見えなくなればテレビが観られるわけだし。
嫌いな芸能人だけじゃなくていじめっ子も悪い政治家もぜんぶブロックできたら最高じゃん?
嫌いな人をブロックできるアプリを開発してノーベル平和賞を頂いちゃお♩って思ったの。
仕組みとしてはすべての物体に記号をつけてブロックされたら磁石みたいに反発するようにしただけだよ。
粒子を利用してるの。
うちは先祖代々発明家で特許とりまくって荒稼ぎしてたから潤沢な資金があったんだぁ。
ご先祖様にまじ感謝!」
こやつのせいでわしは独裁者の座を失った。
不幸のどん底につき落とされた。どうせむりじゃが復讐してやりたいのぉ。
浜辺に寝転がり満天の星を眺める。
わしはこの島に放り込まれてから、どうにか再び独裁者の座に返り咲けぬかずっと考えておった。
好々爺を演じておるが、わしの中の支配欲は消えておらん。
それどころかメラメラと燃え上がり勢いを増すばかりじゃ。
他人を屈服させたい。
服従させたい。
これは人間の本能なのじゃ。
島に来て2年が経過した頃、わしはみんなに選挙を提案する。
いまのところこの島はだれのもんでもない。
一度も選挙が行われておらんからの。
ブロックアプリの中にある六法全書のような規約を読んでおると運営に選挙の開催を申し込めばネット選挙が開催できることがわかった。
選挙の開催には住民の3分の2の賛成がいる。
元凶悪犯たちがはだれの下にもつきたくない我が強い連中ばかりじゃ。
選挙の開催にふつうなら同意せんじゃろう。
早朝、わしはみなを集めて説得した。
わしを嫌っておる者やソロプレイが好きな者は放置じゃ。
「じつは先日、とある国の王がお忍びでこの島に来ておってな。
生まれ変わったわしの働きぶりにいたく感動してわしがこの島の王なら国交を結んでもいいという。
みんなわしを王にしてくれぬか?もう一度、しゃばの空気を吸いとうないか?」
この島に来てからは一度もウソをついてない正直じいさんの言うことをみんな簡単に信用してくれた。
多くの住人は外の世界に行きたいという欲が強い。
みな文明的な暮らしがしたいんじゃ。
じゃから欲に目がくらんで怪しい話にコロっとだまされる。
すぐに選挙は開催された。
立候補者はわし1人じゃ。
その夜、わしはネット選挙で国王に選出された。
拍手万来じゃ。
壇上に上がったわしは無能な民衆をあざ笑う。
「バカめ!これで国王権限でこの島の住人を誰でも好きに国外追放できる!
みんなからブロックされておるキサマらは宇宙に飛ばされる仕組みじゃ!
宇宙に飛ばされたくなければ全員わしに従え!」
全員あっけにとられておる。
マヌケヅラじゃ。
平和ボケしおってからに。
ひげもじゃ男は怒りをあらわにした。
「ふざけやがってくそじじい!」
大股で近づいてくるが3人の大男が割って入る。
目つきの悪い大男たちは槍を手にしていた。
「わしの部下じゃ。わしからスマホを奪いたくばこやつらを先に倒せ!
そのすきに宇宙に飛ばしてやるわい!」
スマホを操作する間は無防備じゃからな。
島内でもとびっきり悪そうなやつを仲間に引き入れておいた。
わしが王になれば独裁政権を樹立しておぬしらにも好き放題させてやると言ったら話に乗ってきた。
長年独裁者をやってきたから悪の素質を見抜くのは大得意じゃ。
いつも根っからの悪を幹部に登用して成功してきたからのぉ。
やつらは人の心がないのか他人を痛めつけ尊厳を奪う行為を平気で行った。
今回、手下にしたこやつらも同等かそれ以上の働きをしてくれるじゃろう。
3本の槍を突きつけられたひげもじゃ男は唇を噛む。
ほかの住人もなすすべなしといった感じじゃ。
ブロックアプリを確認して住人リストからひげもじゃ男にチェックした。
住人に恐怖を植え付けるには最初がまず肝心じゃ。
「ブロックを実行しますか?イエス/ノー」という画面が出現する。
イエスイエスイエスじゃ!
「キサマはわしより人望があってずっと目障りじゃった!
宇宙の果てまで飛んでゆけ~~~~~い!」
ポチッとな。
やった!
やったったぞ!
快感に打ち震え拳を握りしめてガッツポーズした瞬間、わしの体はすごい勢いで天空に発射された。
まるでロケット花火になったようじゃ!
「ひょええええええええ~~~~~~~~~~~っ!」
絶叫が星空に響き渡る。
なぜこうなった?
大気圏に突入しながら推理する。
もしかするとわしの行動はずっと観られておったのではないか?
寝とる間にスマホをこっそり届けてくれたのはおそらくブロックアプリの社員じゃ。
その後も姿を消したまま島の監視を続け怪しい動きをする者に注意を払っておったに違いない。
凶悪犯だらけの島で事件が起こらぬように透明人間になり巡回しておったのじゃ。
そいつは本部に逐一状況を報告して本部のプログラマーがプログラムを書き換えおったな。
わしが島の住人をブロックしたら逆にわしが追放されるように。
ぜんぶお見通し!というメッセージか?
運営の権限でわしを宇宙に飛ばすこともできたはずじゃがなぜそうせんかった?
わしはふと思い出す。
日本では死刑執行ボタンが3つあり3人の刑務官が同時に押す。
だれのボタンで死刑が執行されたかわからぬようにするためじゃ。
刑務官の精神的負担をやわらげるために。
自分の手で人の命を断つのはだれしも嫌なもんじゃ。
今回も似たようなケースで精神的負担を負うのがイヤでわしみずからに死刑執行ボタンを押させたか。
してやられたわい。
わしは満月に照らされながら、いぬかきで星の海を泳ぐ。
ムダなあがきじゃ。
力尽き息絶えるのを待っておると3人の大男まで宇宙に飛んできた。
3人とも平泳ぎ、背泳ぎ、クロールで窮地を脱しようとしておる。
死ぬ間際に笑わせるな。どあほうめ。
わしがおらんくなったあと、みんな大男たちをすぐブロックしたはずじゃ。
危害を加えられんようにの。
国王が宇宙に飛ばされておらんくなればすぐに次のネット選挙が行われる。
そこで新国王に進出されたひげもじゃ男が3人の大男をブロックして国外追放したんじゃろう。
今ごろみんなで祝杯をあげておるはずじゃ。
ふだんは姿を消しておる住人も全員うたげに参加してる様子が目に浮かぶわい。
ちょうくやちい!
このあと、地獄の獄卒にたっぷり拷問を受けるのはまた別の話じゃ。
トホホ。もうおしまいじゃ!




