自称英雄の誕生
「はぁ、はぁ…」
結局ゴブリンとの戦いは夜になるまで続いた。
重い瞼を必死に開きながら自分の泊まる宿を探しに行くのだった。
そして鈴木にいかにも転生者らしいイベントが舞い降りるのだった。
路地裏のような場所で女の子が襲われそうになってるではありませんか。
(そうそう!異世界転生と言ったら美少女ヒロインだよな!)そう思いながらウキウキで助けに行く。
「おい、お前女の子に向かって何してるんだ!」
迫真の演技で語ったが女の子を襲おうとしてるチンピラの手は止まらなかった。
流石に無視されて凹んだ鈴木は
「おい!」と言いながら肩に手を置く。すると…
「鬱陶しいんだよこのクズが。邪魔すんじゃねぇ、殺すぞ?」と禍々しいオーラを纏いて言ってきたのだ。
その女の子は必死に抵抗しているようだった。
全身を縛り上げられ恐らく長かったであろう黒色の髪を乱暴に切った後があり、んー!んんー!と叫んでいる。
口に紐を結びつけられ声が出せないようだった。
「どっちがクズだ…お前の方がクズだr…」そう言っている最中に
「いい加減にしろ」と怒った様子でチンピラが言い放った。すると背中から骨のような触手が10本ぐらい飛び出てきた。
「呪術か…!この街の中では使用禁止のはずだろ!」
「知ったこっちゃねぇなぁ…目撃者全員殺せばいいだろ?」
「何を言って…!」
「くだらねぇ自己正義感晒し出して何になる?何もねぇだろ?!異論はあるか?ねぇだろ?クズ野郎?!」
図星だった。何も言い返せない。だってまさに本当に自分がやっていることとドンピシャだったから。
「生憎、君と戦うつもりはないからね。」
そう言い放ちその少女を掴みサタンの力で羽を作り、空を飛ぶ。
制御こそまだだがスピードだったらあの触手より速かった。
「大丈夫かい?」
そう声をかけながら縛り付けられた縄をほどく。
「ありがとう…ございます。」
「君が無事ならなんでもいいよ。それより怪我は?」
「特には…彼は商品だから傷つけられないとか言ってました。」
恐らく彼は奴隷商か何かなのだろう。
なら尚更なぜあんな路地裏でそんな行為をしたのだろうか。
「あ、あの…もしよかったらついていってもよろしいですか…?」
き、きたああああ!そう心の中で雄叫びをあげながら了承する。
(こ、これはもしや…ベッドインするタイプなのでは?!いや、そうだ!絶対そうだ!!)
そして適当な宿に2人で入ることになった。
「シャワー…浴びてきますね。」
「お、おう…」
本当に可愛らしい可憐な子と言う印象だった。
髪を無理やり切られたがまだ肩までは髪が残っていたので割と女の子らしい風格を残していた。
顔はまつ毛が長く、うすい唇にはとても品を感じた。
「そんな子を抱けるのか…」そう期待を胸に待っていると
「準備…整いました。」
心拍数が上がるのを感じる。
「失礼します」
そういい俺と同じベッドに入り込む。
「そ、そういや名前を名乗ってなかったな。俺の名前は鈴木雄也。お前は?」
「僭越ながら奴隷という身分に名前はありません。
ご自由にお呼びください。」
「うーん、ならお前は静音だ!」
「静音…とてもいい名前ですね。ではこれからは静音とお呼びください。」
笑顔でそう語る静音はやはり、なんというか品があった。美しかった。
そして熱い夜を過ごすのだった。
どういう風にくるしめようかな




