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4話〜デュオゲーム(1)〜

 4話〜デュオゲーム〜


 打ち上げまでまだ4時間以上もあるのか。MMO買いに電気屋に行くか?それともLAVLLOWの練習しようかな?


 ※ LAVLLOWとは、大人気FPSゲームのこと。この間の大型大会でakai達がチームを組みやっていたゲーム。複数のキャラから3体を選択しパーティを組んで相手と撃ち合う。キャラそれぞれに固有能力があり、その要素から奥の深いゲームとなっている。※


 いいや、外でんのめんどいさい。練習しよ。打ち上げの帰りにでもゲーム屋行くかあ。

 そう思い早速PCの電源を付ける。俺のPCはあまり性能が良くない、だから起動がそこそこ時間かかる。


「MMO買うより、良い性能のキーマウとPC買った方が良いのかな?でもスト学に行けば最新鋭の高性能PCや無線のゲーミングキーマウで出来るんだから一旦いいよな。」


 そう言っている内にゲームが立ち上がり、早速射撃訓練場に入る。


「んん、調子はまあまあだな。」


 botを無心で撃ち続ける。バリバリと弾の当たる音の途中にアーマーを破る音が入る。マウスが手から滑る感じもない、良い感じな気がする。


「ランクマいくかぁ。」※ランクマッチの略※


 ランクマに潜り始める。キャラピック画面に入ると野良の味方二人がキャラを選ぶ。


「レイとダックか、相性を考えるとメディとかをピックしても良いな。どーしよ、いや蜘蛛でいいや。」


 ※レイとはアサシンという役割を持つキャラの一人、詰める動きが強い。※

 ※ダックとはブラッティドックの略、サーチャーという役割を持つキャラの一人、索敵が強い。※

 ※メディとはメディシラーの略、ヒーラーという役割を持つキャラの一人、回復が強い。※

 ※蜘蛛とはスパイダーフックの略、アサシンという役割を持つキャラの一人、糸を駆使してスパイダーの様な動きで敵を翻弄する。※


 ジャンプマスターが野良の人だった。マッチが始まってすぐ激戦区に野良がジャンプする。


「激戦区降りかあ、頑張るかぁ。」


 降りてすぐに武器を取る。デザートイーグルか、威力は高いけど当てるのが難しい。降りる時に後ろと右に敵が降りたのを見ていた俺は、建物の隅に隠れる。するとすぐに銃声が聞こえる。あの敵二人は俺を倒しにきたのだろう、だが俺が隠れた為鉢合わせて撃ち合っている。


「狙い通り、チャンスだい。」


 敵二人が撃ち合っている所を漁夫乗りして、ディーグルで頭に一発ずつ当てる。撃ち合って疲弊していた為、敵二人とも頭一発で死んでくれた。すぐにその場から離れる。系を使って横の建物の屋上に逃げる。カバーに来た敵を横の建物の上から撃ち下ろす。するとワンダウンをとってから野良二人が俺の方に来る。

 カバー来た、俺回復したいしナイスやん。

 ミニシールドを巻きながら周りを警戒する。回復している間に味方がワンダウンをとってくれていた。


「ナイス味方。あと一人だし、俺は漁るかな。」


 あと一人の敵も味方が倒してくれるだろうと思い、少し周囲を漁る。手に取ったのはスナイパー、まだスコープが無いがそのうち出るだろう。俺は常にスナイパーを持つ、あれば必ず何を差し置いても持つ程のスナイパーOTPである。


 ※OTPとは特定のキャラや武器にのみ特化してプレイするプレイヤーのことを指すゲーム用語。※

 

 すると味方が敵の位置を記すピンを押してくる。


「ん?あ、敵あと一人だから逃げてるのか。味方は位置的に追えないのね。」


 俺はすぐさま糸を使って先程いた建物の上へと戻る。敵ピンの方向に砂を構える。


「んん、100メートルくらいか。逃げるのうまくねあいつ。」


 アイアンサイトで当てるのは至難だが、追ってもあまりアドバンテージがない場面。ワンチャンにかけてアイアンサイトで撃つ。瞳孔を開き粒の様な敵を見る。


「当たれ…」


 撃った弾は敵の肩を掠める。敵の体力が少なかったおかげか、肩に当たってダメージの出なかった攻撃だが、敵は死亡した。


「ラッキー。これで2キル。味方のアシも含めると3ポイント、順調。」


 ※アシとはアシストポイントの略。※


 そんな感じで順調に初動戦闘、中盤戦闘、終盤戦闘を終え、最終盤。


「んん、位置悪いし、回復ないし、やっぱりメディで来るべきだった。」


 現在の状況は、岩場での戦闘、こっちのパーティは一人ダウンで味方のレイと蜘蛛の俺。相手はフルで生きていて、レイ、ネクロ、メディの3人。俺らは崖下で小さな岩に隠れて被弾を抑えている。相手は崖上から余裕の撃ち下ろし。


 ※ネクロとはネクロフィアの略、アビリティーラーと言う役割を持つキャラの一人、味方の素性や特殊能力での攻撃が得意。※


 するとレイが能力の瞬間移動をして詰めてくる。そのまま至近距離でサブマシンガンを擦り付けるられる。そのままあっけなくダウンしてしまう俺。


「ソーリー、どーしよ。」


 俺がダウンしたと同時にメディとネクロがこっちのパーティのレイを集中砲火。


「うわあ、綺麗な連携だな。絶対意思疎通取れてる、フルパだ。」


 相手パーティの勝利の文字を見て、少し考える。

 んん、この3キャラの構成は世界大会でも流行ってるしな。まず俺が蜘蛛使うのが悪いか?今逆風だしな蜘蛛。この間までただの素性マンだったのに、ネクロ超強化ずるい。


「俺もネクロやろうかなぁ。ってあれ、なんか居る。」


 ロビー画面に入ると俺のキャラの横にもう一人キャラがいる。


「讃絵さん?だよな、PN「TT.Kou」って書いてあるし。」


 すぐに通話アプリのチャットを開く。

 うわ、戦闘に夢中で気づかなかった。コチャで来てる。


 コウ「akaiさんご一緒していいですか?」


 んん、どーしよ。讃絵さんってこれ打ち上げまで一緒にやりませんってことだよな。ってそうなるよな。二人かな?rigるさん入るのかな?まだ来てないだけ?どうなんだろう。あぁぁぁぁ、どーしよ。女の子と二人じゃないよな、この後会うってのに緊張する。オフ緊張するってのにその前にデュオゲームまじか!

 そう考えていると数分が経っていた。


「やべ、既読無視してる。失礼だよな。」


 即座に返信する、焦って言葉が思いつかないので安定の、


 akai「了解です。」


 と返す。その後、讃絵さんからの連絡を待っていると。


 コウ「雑談鯖行きません?」


 akai「通話ですよね。了解です。」


 そうして雑談鯖に行き、通話を開く。

 緊張する。二人っきりとか喋った事ないし。てか配信外だよなこれ?

 すると声が聞こえる。


「あ、お疲れ様です。久々ですねakaiさん。」


「ど、どうもです。お久しぶりです讃絵さん。」


 すると讃絵さんはくすくすと笑いニヤッとした声を出しながら。


「もー、硬いですよ!チームメイトだったんですから崩して喋って大丈夫ですw」


「そ、うっすか。すみません讃絵さん、慣れなくて。」


「女性と喋るの自体って感じですか?」


「はい、ていうか、そのー、人とゲームやるのがあんまりなくて。」


「じゃあ、慣れていきましょう。」


「あ、お手柔らかに。」


「私akaiさんに教えて欲しいことあって。」


「教えて欲しいことですか?」


「はい!そのどーやってあのプレイをしているんですか?」


「あのプレイとは?」


「大会の時の、rigるさんと一緒に撃ち合って、それで私のカバーもしたりして。ファーストダウンが無いじゃ無いですか。色々やってるのに死なずにうまく全員をサポートしてるプレイ。あれどうやってるんですか?」


 あー、なるほど大会の時のムーブか。でもなぁ、あれは正直無理して無理矢理やっていたプレイだったからなぁ。

 俺は基本ソロだ。大会に誘われたりする今回の様な機会がないと絶対と言って良いほど人とやらない。ソロプレイの染みついた俺は、常に一人で死なないムーブをする。ソロは言えばカバーが来る訳でも、味方の要望に合わせてプレイする事も、意思疎通だって出来ない。だから常に一人で戦っていると考えて動く。周囲の音をよく聴き、索敵を怠らず、常に3対1の用なプレイングじゃどうにもならない状況を回避しながら、うまく敵を倒す。時には隠れ、囮を使い、利用する。ソロでポイントを稼ぎ上位に行くにはこうするしかない。例外は居るけど。身に付き洗練された技術は主に索敵、ハイド、逃走、位置取り、そして、最もソロにとって効率のいいポイントの取り方、近づかないから危険は無い、でも高火力で敵を殺す方法。長距離射撃による漁夫乗りだ。そして好都合、俺の得意な武器はスナイパー。そんな完全ソロ特化マンになってしまった。

 今回の大会だって、ソロで磨いたスキルの索敵と少しの逃走技術を使って、無理矢理死なない様にしながら、rigるさんと讃絵さんの間で動いただけ。俺なりの精一杯の人に合わせたチームプレイだ。

 だから教えられるよーなムーブでは無い、誤魔化しムーブなんだよなぁ。どーしよ。


「そんな上手いカバーでは無いですよ。たまたま上手く噛み合っていただけで、讃絵さんに教える様なことでは。」


「んん、そっかぁ、ならどうすれば上手くなると思いますか?」


 そんなこんなで始まった讃絵さんとのデュオ。この後は打ち上げがあるって言うのに。デュオゲームは始まったばかりだ。


 はぁ、不安だ。

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