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2話〜ストリーマー学園〜

2話〜ストリーマー学園〜


 なんだかんだでカスタム本番の日の18時だ。今日は17時集合、通話アプリでメンバーの2人と話し初めて1時間が経っている。


「akaiくんのカバーまじでやりやすわ。」


「讃絵さんのウルトで球も回復も補充できるんで詰めやすいだけですよ。近距離苦手なんで。」


「確かにスナイパーとかアサルトとかの方が得意ですよねakaiさん。」


 俺はショットガンやサブマシンガンでの近距離の撃ち合いが苦手だ。だからウルトや能力でのバフがある時しか前に詰めていかない。

 だが遠距離、スナイパーには自信がある。400メートルロングショットを決めた事もあるほどには上手い、そこらのやつよりは上手いと自負している。


 〜数時間後〜


「ごめん、俺ダウンした。」


「私もです。」


「ラストakaiくんファイト!!」


 今、俺の武器はスナイパーとハンドガン。相手は残り2人、高所にはいるけど、安置の関係上ここだといずれダメージをくらう。


「降りるの怖えぇ。」


「あ、私の死骸に即時回復薬残ってます!一本!!」


 ハンドガンで撃ち合うだけ撃ち合って、回復取ればギリいけるけど、最初にハンドガンで1人は持ってかないと。俺ハンドガンのエイム自信ないんだよなぁ。まあ行くしかない。

 着地した瞬間相手2人からエイムを向けられる。なんとかハンドガンで1人持って行き、回復を取りに走る。


「まず、案外体力無い。」


 これじゃ走って取りに行くまでに追いエイムで殺される。

 ッ!相手リロード入った。アサルトのリロードの時間は僅か1秒、終わったら殺される。もう、無理か。

 いや!いちがばちか!!


「当たれぇ!!」


 とっさに武器チェンジして撃ったスナイパー。玉は1発の大口径。とっさのフリック腰撃ちは奇跡的に敵の頭を貫いた。

 静まり返るボイスチャット、画面に出る勝利の文字を感じた瞬間。


「ウオォーアカイーーーー!!」


「すごい神ショット!!」


 ボイスチャットが盛り上がる。パーティの2人が賞賛の声を上げてくれる。

 ふと見るとコメント欄がすごい速さで動いていた。


「うおおおおおお」

「神」

「888888888」

「まぐれ乙」

「クリップやん」

「神ショ」

「gg」

「しね」

「こう姫かわ」


 と、様々なコメントが流れる、目で追うのが厳しいほどの流れる速度。

 同接は過去最高の400人overを記録した。


 〜讃絵コウ視点〜


 あまりの衝撃のあまり大声を上げてしまった。喜びから飛び上がる気持ちを横に、すぐ同接とコメ欄を確認する。


「すご」

「まぐれもまぐれ」

「偶然とはいえこれはやばいやろw」

「こいつうまいやん」

「gg」

「こうちゃんもgg」

「俺でも決めれたねこの場面」

「チーター」

「wwwwwwwww」

「ないすかばー」


 コメントはものすごく盛り上がっている。同接も3万人overだ。職業病と言うべきか、私はコメントもそうだが何より先に同時接続数を確認してしまう。

 ファンにはよく、「本気で配信を楽しんでいる感じが良い。」「どんな配信、どんな同接、どんなコメントだとしても毎回全力神対応。」などと言ってくれているが、私も一配信者で配信は仕事。結局は数字ジャンキーで数値を見る癖の付いたVtuberだ。

 だからこそ優勝の喜びよりも、配信での盛り上がりを作ってくれたことに喜んでしまう。akaiさんと組んで良かった。

 スーパーチャットもかなり飛ぶが、私がラストの神プレイを決めた訳では無いためものすごく大量では無い。

 と、一旦数字は飲み込んで、


「akaiさんナイス!akaiさんと組んでよかったぁ。」


「でしょお?やっぱ僕の招待したメンバーに狂いは無かった。」


 その後勝利の熱の余韻で胸がジンジンしながら、雑談を交わしその日は配信を閉じた。


「今度akaiさんとrigるさんでお疲れ会でもやろうかなぁ。誘っちゃお。」


 〜rigる視点〜


 大会が終わり数時間、俺はつい先程までやっていた大会のリザルトを見ていた。


「奮った力はそこそこってところかな。それでも素晴らしいプレイング。これでメインムーブじゃ無いとは。」


 口角が上がり、薄暗い部屋でニヤリと微笑む。


「招待しよう、スト学へ。」


 〜akai視点〜


 あの激熱の大会を終え次の日の朝。と言っても俺らの朝は遅い。


「12時かあ。まあ早く起きた方かなぁ。」


 音のない静かな部屋に瞬間音が走る。


「起きて早々腹の虫がうるさいでございますね。」


 確かうちには何にも飯がないぞ。外に行くのはなぁ、でもこの空腹をどーしよ。


「スーパー行くかぁ。」


 そう呟き家から出ようとするとポストに何かがあるのに気づく。


「なんこれ?封筒?」


 入念にノリで止めてある袋をこじ開けビリビリにする。


「開けんの苦手だぁ、なんこれ?」


 中身は一枚の青い紙、その紙の中心に大きく書いてある文字。


「招待状、ストリーマー学園に招待されました。」


 ストリーマー学園への招待状?何ストリーマー学園って。ブルロの強化選抜みたいな紙だな。その後ご飯を買ってきて食べた。

 改めて招待状を確認すると、書いてあることはこうだ。

 ストリーマー学園。個人ストリーマー、企業Vtuber、個人Vtuber、プロゲーマー、などが集まり一つの施設で生活をする企画。ゲームを混ぜた数々の試練、チームを結成しての対戦、ゲームや様々な授業、そんな環境で暮らすストリーマーたちを見ることができるエンターテインメントらしい。入れば企画終了まで学園を出れないという。


「なんだよこれ。」


 宛先はrigるさんだった。何に巻き込ませる気だよ。


「正直、大型金儲け配信に参加する気はない。でもここで勝てば名が広まるかも。チャンスと捉えるべきか?」


 俺は有名になって叶えたいことがある。

 結局迷いは晴れず、惰性でゲームを始める。無心でプレイをする。敵を撃ち抜き、チャットでファックをもらい、それでも撃ち抜く。打つたびに、スナイパーを打った瞬間の反動が現実にも来るようにてが反応する。


「なんか迷い晴れた。」


 ゲーム内のスナイパーを見て思う。


「こいつがあれば俺はどれだけでも上に行ける。」


 まあ、行ってみるかスト学。それと、スト学の設備は最新鋭らしいからな、いいマウスでスナ打ちたい。

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