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12話〜初顔合わせPart2〜

 

 12話〜初顔合わせPart2〜


 あの夜、ベンチでの会議?から数時間。翌日のお昼前になっていた。


 グループチャット「天救助隊」


 コウ「あかいくん!ランク今いくつ?」


 akai「アルテミスです」


 コウ「は?高過ぎだろ!?私を置いてったのかぁぁ!」


 akai「まあ、そのうちマスターまで落ちるんでダイヤになったらやりましょう」


 美姫「貴方達、何故グループで話すのかしら?DMでやってくれないかしら?」


 コウ「美姫ちゃんランクいくつ?そもそもやってる?」


 美姫「LLですわよね?」


 コウ「そ!」


 美姫「前に3回程カスタムに出ましたのよ。」


 akai「すご」


 コウ「ランクは!」


 美姫「最高はプラチナですわね。」


 コウ「うっわ、私と一緒!」


 美姫「あら、嬉しいですわね。」


 akai「ダイヤくらい行ってると思ってました。」


 コウ「私ダイヤ行きたーい」


 akai「そういえば天使さんってランクいくつなんですか?」


 コウ「天はアルテミスだね。アポロンも踏んだことあるらしい」


 akai「つよ」


 美姫「そう言うあかいくんはいくつですの?」


 akai「自分の最高はアポロンですね」


 akai「と言っても一番簡単なシーズンですけど」


 コウ「なんだよ自慢かぁー」


 akai「違いますよw」


 コウ「今日3人でランクやろうよ!」


 akai「いや、自分出来ないですってランク高過ぎて」


 コウ「うざ」


 コウ「じゃあ!私と美姫ちゃん2人でやろ!親交深めよ!!」


 美姫「わたくしはパスですわ」


 コウ「なんでだよーーー」


 美姫「貴方達忘れていますわよ。入学最初のテストが近いですわ。」



 〜美姫視点〜


 今回のテスト、どんな内容か分からない。ゲームかゲーム以外か?最初ならテストとして観ている側も分かりやすいゲームの可能性が高い。さらにそこから可能性があるのはやはりLL。それを予想しすでに実力のある配信者の知り合いと練習カスタムを計画済み。わたくしはゲームが上手い訳ではない。でも数字を出すには上手いに越したことは無い。努力を重ねてプラチナ、攻めてダイヤには行きたい。


「わたくしはゲームでも注目を浴びるのですわ。」



 コウ「どうせテストLLだよ。可能性高い!!」


 akai「同感です。今のうちに練習するのは良いことかと。」



 この二人も同じ事を。まあ大体の人達が予想していると言う事。それなら、



 美姫「練習カスタム、招待してもよくってよ?」


 akai「練習カスタム?」


 コウ「練習カスタム!!まさか今回は美姫ちゃんが開くの?」


 美姫「ええ、そのつもりですわ。」


 akai「カスタムのチームは本番のチーム発表後にそれを元に組むって事か?」


 美姫「ええ、しかも今日発表ですわ。」


 コウ「あれ?今日か」


 美姫「貴方は最近余裕が無かったからですわ。もうそんなに時間無いんですのよ。」


 その後数時間、配信をして時間を潰した。

 その時間が来ると、学生全員のスマホに一斉送信された。


 運営「第一回テストのお知らせ。第一回テストは「LAVLLOW」カスタム。学生達をランダムで三人一組に分けてチームを作る、そのチームで他のチームを蹴落し一位へ。」


 やはりLL。テストまで10日か。毎日カスタム、毎日練習。わたくしの目標は入学から卒業まで全て一位。妥協は許されませんのよ。



 〜akai視点〜


 通知音で目が覚めた。厨二病期間に身に付けた馬鹿技術「物音で直ぐに起きる」だ。本物の狙撃手ならこのくらい当たり前である。


「うん、痛過ぎた。恥ずかしい。」


 まあでも、俺は本物の狙撃手でも軍人でも無い。勝手に起きてしまうくらい敏感になっただけで、使う機会も無ければ、目が覚める訳ではなく起きるだけなのでクソ眠い。

 目を擦りながらスマホを確認する。


「あーやっぱLLだぁ。チームも発表あるぞ。」


 まだ眠い為ウトウトしていたが、チームを見た途端ハッとした。


 チーム13メンバー「鬱木 夢(うつぎ ゆめ)」「akai」「天使 天」


「まじかよ。」


 チームを見ていたその時、電話がかかってきた。


「はいもしもし。」


「あかいくん!!チーム13!!」


「見ました。」


「これはチャンスだよ!!偶然にも関わる機会が出来た。」


「はい。」


 讃絵さんが考えた案を実行するとして、天使さんと俺のコラボを観た奴は思うだろう。なぜ炎上中の最中、新しく関わる奴が居るのだろう?そう考えると、自然と産まれるであろう色々な考え。視聴者達はよく無い思惑だと思うに違いない。だが、このカスタムに限ってその限りではない。スト学の企画の一つとしてたまたま関わってしまったと言う事になる。例の案を実行するには最高の舞台だ。


「助けよう。あかいくん、天を!」


「はい。頑張ります。」


 大口叩いたって、調子に乗ったって、俺は大した事は出来ない。そもそも天使さんの他にもう一人メンバーがいる。初めての二人。まず会話の時点で俺からしたら大きい受難。それでもやるしかない。


「まあ、多分なる様になるでしょう。」


 と、そう呟き不安を誤魔化す。


「え?なんか言った?」


「あっ、いや、カスタム楽しみですね。」


「え?」


 と言った後、クスッと微笑を浮かべ、


「そうだね。負けないよ?」


「こちらこそ、負けません!」


 そう言って通話を閉じた。そこから一日後、カスタム練習前の顔合わせとその配信を行う事になった。この配信が波乱になる事は誰もが予想ついていた。



 配信準備を終え、配信開始まで自室のPCデスクに座ってぼーっとしていた。


「そう言えば、」


 ふと、ある思考が頭を支配した。と言うか前々から思っていた事だ。何故スト学は天使天を入学させたのか?天使天は大炎上中、この学園企画には炎上野郎は邪魔なのでは?印象も悪くなるしな。このカスタム、俺は元々天使さんに用があったから良いが、もう一人のメンバー、鬱木夢?とか言うVtuberはどう思うだろう。いやこいつだけではない、天使さんと同じチームになるだけで配信活動に支障が出る危険性だ。そんな厄災をカスタム参加にさせランダム抽選でチームを組むって。スト学運営は何考えているんだ?

 考え事をしていると案外時間の進みは早いもので、スマホのアラームが鳴り、その時間となる。

 急に鼓動が加速する。やばい、なんでこんな直前でアホ緊張してんだよ。大丈夫だ俺。役目を果たすんだ。

 震える指をもう片方の手で押さえ、通話開始ボタンを無理矢理押す。入って直ぐわかった、静かだ、この通話。


「あ、あのよろしくお願いしまーす…」


 そこから数分沈黙が続く、俺の言葉に返答なんてある筈もない。と、思っていたが。沈黙を破る様に。


「ねえ、akai?であってる?」


 と、聞き覚えの無い声が通話からする。


「はい、akaiです。」


「ふーん、あんたがお姉様と関わっている野蛮な男ね。」


「はい?」


 俺の言葉の声量に対しての返答とは思えない程の声量で急にそいつは、


「はい?じゃ無いわよ!!コウお姉様と馴れ馴れしくして!底辺の癖に!!キィーーー!!」


 あー、これ、めんどくさい人だ。今わかった。


「ちょ、ちょっと、一旦落ち着いてください?讃絵さんがお姉様?どう言う事?」


 いきなりの事で疑問ばかり浮かぶ。そんな最中でも天使さんは黙ったままだ。


「私はね、コウソラを神格化しているの!コウお姉様の輝きがあなたの邪気で汚されているの!!」


 ずっと叫んでんなこの人、めんどくせぇー。


「夢、ちゃん、そ、そ、その辺で落ち着いて……」


 凄く小さな声、上手く声が出ないと言う印象の喋り方で話す声。その声を聞いた時小さくか細い声だったが、綺麗な声だと思った。


「そっ、ソラお姉様!大丈夫です!落ち着いてます。ゆっくりで大丈夫ですから!」


「ご、ごめん、なさい。」


「良いんですよ、それにこんな野蛮な底辺ストリーマーと喋ってはお姉様の白銀の翼も汚されてしまいます!!」


 多分、俺あんまり怒らない。と言うか怒ってもそれを伝えることが出来ないと言った方が正しいが、それでも今回の俺はコミュ強と関わって変わった新しい俺だ!だから、


「おい、鬱木、お前、」


「何?その態度?」


「そんなに言わんでもよく無い?悲しいっす。」


 うん、強く言ってやろうと思ったよ俺も、うん情けない。


「え、あ、ごめん、わ、悪かったわakai。そ、そんな悲しまれるとは、えっとコミュケーションのつもりでってえ、っと、あ、どーしよ。」


 多分、このチーム、コミュニケーション弱者の集まりだ。まずい、まずい、


「あ、あの俺讃絵さんのコミュ強のお陰で喋れているだけで多分このチームだと喋れないんでよろしく。」


 すると、かなりの勢いで反応して。


「わっ、分かる!私もコウお姉様のお陰で、」


「お、おお、きょ共通点?」


「そ、そうねって、違うこいつはお姉様を。」


 

 ザックりめちゃくちゃ色々あって、一時間後。


「そんな経緯であなたなんかとお姉様が喋っているのね。」


「おい、俺なんかとって言うな、まあ事実だけど。」


「お前こそ、お姉様って、随分と二人?が好きみたいだな。」


「ええ、私はコウお姉様もソラお姉様もどっちも大好きなんだよ!」


「なんでそんな好きなんだよ。」


「は?お前なんかに教える訳無いだろ。」


「すません。」


 会話の片手間で調べていたが、どうやらブイカノのVtuberらしい。なんとなんと、コウソラの二人の後輩だ。ホームページの鬱木のとこを見ると、「鬱木 夢、三度の飯より推し活と貴方が大好き♡ヤンデレヒロインな見た目の推し活大好き女の子。最近の推しは同箱の先輩「コウソラ」の二人らしい。」って書いてあるが。LIVE2Dを見ると黒上ショートにインナーカラーが紫、フリフリレースの黒ドレスに包帯が全身に沢山。これはコテコテだが可愛いな。

 少しコミュニケーションってか、ちょいと仕掛けてみるか。


「お二人はLLのランクいくつですか?」


 すると直ぐにフッ!というバカにした様な口調で、


「直ぐランクランクって戦闘狂かよ。猿ね。」


「いいや、別に、讃絵さんが聞いて来た質問を俺も真似して二人にしてみただけだけど?」


「いや、べっつに!通りで美しい質問だと思ったわ。」


 調子いいやつだな。


「私はプラチナよ。対して強く無いわ、お前は!」


「俺はアポロン行った事あるけど、今は平均マスターだね。」


「自慢かよ!くそあかい!!」


「うっわ讃絵さんも同じ事言ってたわ。」


「え!ほんと!やった。」


 目がキラキラしてやがる。っと本題本題、少し緊張するな。


「天使さんはどうなんですか?ランク。」


 少しの沈黙、その後、


「あっ、」


 か細くそう聞こえた瞬間、


「ソラお姉様はアルテミスよ!知っておきなさいよ!そんな事くらい!」


「あ、ご、ごめんなさい。」


「すみませんお姉様、遮っちゃって。でも無理しないで、こんな野蛮な奴との会話は私がやるから。」


 なんだろう、何か思う事が出来てしまい引っかかる。


「そろそろやるわよゲーム!!あかい!!配信つけるよ!!」


「わーったよ。」


 配信は勿論大荒れだった。天使さんは配信になると、仮面をかぶる様に笑顔で話す。鬱木も思っていただろうが、話しずらい。落ち込んでいる、苦しい、なのに無理をする。貼り付けた笑顔で、無理してだした声で、だから心配になってしまうし話しずらい。コメント欄は勿論色々言われていた、いつも通りの批判コメント、性的暴言も多々ある。それは少しだがこっちにも流れて来た。うちのコメント欄は、


「なんでこいつとコラボしてんの?馬鹿やん」

「正直まぐれニキは好きじゃ無いけど天使天とは関わらない方がいいと忠告」

「厄介くさ」

「中古天使キモすぎてこっち来た、お前もキモいがね」

「カスタムランダムなのテロだろ」

「鬱木はともかくまぐれニキ可哀想」

「スト学運営頭おかしくね」

「コウ姫の次は膜割れ天使とキチガイメンヘラかよ食い散らかしすぎブイカノ」

「速報!底辺ストリーマーakaiブイカノを食い散らかすw」


 うん、久々のこんなアンチ!!これは天使さんと関わりたく無い訳だよな。おれはいいけどね。鬱木の方も観に行ったが、コメントは基本コウソラを推している事に対しての批判や気が狂っていると言うものだった。そんなコメントに一切ダメージを受けていなさそうな鬱木。このメンタルだから強気に配信していられる。これも推すと言う行為よ力?

 そんな波乱のカスタム初顔合わせ配信はまだ続く。

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