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離島民のつぶやき

作者: 鶴源

 離島での暮らしについて、ちょっとだけ書いてみたくなり。

 

 興味のある方だけ読んで頂くようお願いします。



 都会のように遊ぶ場所があるわけじゃないのに、意外に「行ってみたい」なんて言われることもある離島。


 ドラマや映画の舞台になったりして、ちょっとした話題になるものの、あっという間に忘れられてしまう離島。


 現実は映画やドラマのような場所ではないワケで。


『離島って、実際はどんな感じ?』『離島での生活がほんのり気になる』と思っている方は、島民による独断と偏見にしばしお付き合い下さい。


 私の知る島限定の話であり、全ての離島に当てはまるワケではないのであしからず。

 取材や綿密なデータに裏付けされたモノではなく、あくまで体感、体験、私見によるものになります。




 離島にも色々あって、何万人もの島民が住む大きな離島もあれば、数十人しか住んでいないような島もある。


 住んだことのある離島は2つ。どちらもまぁまぁ規模が大きい方だと思う。人生の半分以上は離島暮らし。


 上陸したことがある離島も含めると、知っている離島は6つ。うち、二次離島が3つ。それぞれ特色があって面白い。


 その中でも、住んでいた2つの離島での生活体験を元に書きたいと思う。


 離島なので、本土からの交通手段は船と飛行機。島民であれば割引がきいたりして、かなり安く移動できる。結構な特典。


 漁業が盛んで、海産物を前面に押し出している。海に囲まれているから当然で、スーパーに並ぶ魚は種類も多くて本当に美味しい。


 そして、島民は魚の味にうるさい。


「此処の魚が1番美味いだろ?」「都会には負けない」と自信満々。

 本土の魚の味を知っているので、紛れもない事実だけれど、「そうでもない」と言える雰囲気ではない。


 答えは「はい」か「イエス」


 褒めると、とても喜んでくれる。


 島は平地が少なく、農業に向いているとは言い難い。農家はいても、地産地消は難しい規模。


 芋掘り遠足は楽しい思い出。遠足はかなりの距離を歩く。


 観光にも力を入れていて、名所もちらほら。ただし、悲惨な歴史を刻む場所だったりする。思わず魅入ってしまうような名所はない。


 歴史好きな方は楽しめるかと。


 自然豊かなので、地形を活かした名所も多数存在する。どう見てもただの岩なのに、〇〇岩と見た目のこじつけもあったりするのが面白い。


 そう見えなかったとしても、「なるほどね」で終わらせるのがスマート。


 過去にはゲームセンターやボウリング場、映画館なんかの娯楽施設があったりもしたけれど、今は無くなってしまった。

 新しいアミューズメント施設が続々作られる都会と違って、減少する一方。


『もしかしたら〇〇ができるかも』…という噂の伝播は信じられないほど速く、驚くほど信憑性が低い。


 一喜一憂して、騙されたこと数知れず。


 建築中の建物を見ると「なにができるんだろう?」と予想し、「コンビニができるかもしれない」が大きな話題になる。老若男女、誰だってCMで見たパンやスイーツを食べてみたい。


 島に初めてコンビニができたときは驚いた。でも、聞いたこともないマイナーなコンビニで、ちょっとガッカリした記憶がある。


 しかも、24時間営業ではなかった。コンビニと言っていいのか微妙だったけれど、後に24時間営業にランクアップ。


 それまでは、夜中に開いている店といえば飲み屋くらいで、早朝に開いている店もなく、学生は通学中にパンや飲み物を買えるようになった。


 コンビニの出現で、島民の生活は変わった。今では普通になったけれど、思い返すと衝撃的な出来事。


 離島の中でも『街』と『田舎』が存在し、コンビニやドラッグストアは街にある。大きな病院もホームセンターもだ。田舎には自然以外なにもなくて、高齢者ばかりの地区も多い。


 因みに、島の年配者は『部落』という言葉を平然と使うけれど、『集落』や『地区』という意味であり、決して差別的な意味ではない。

 都会から来た者が「最初は驚きました」と言っていたけれど、通例なのだと説明すると理解してもらえた。


 世間の非常識は、離島では常識だったりする。


 そんな離島は島民の高齢化が進んでいて、衰退するという表現が正しいのかわからないけれど、人口は減少の一途を辿っている。


 就職や進学で島を出て、帰島しない者が多いから必然的にそうなる。


 島には働き口が多くあるわけでもない。


 便利で楽しい生活を味わうと、田舎には戻りたくない。


 様々な理由があるとしても、そもそも『高校卒業と同時に島から出る』というのは既定路線で、なんの疑問も持っていなかった。早い者は、高校進学の時点で島外に出る。


 高校では進学か就職かで別れ、ほとんどの同級生が卒業と同時に島を出た。

 就職して島に残るという選択をした者もいたけれど、条件の良い就職先は少ないし、大学に行くなら島を出るのがマスト。


 やっぱり大多数が島を離れることになる。何年後かに戻ってくる者もいたりするけれど、多くはない。


 島を離れるといえば、友人や家族が島を離れるときの船の別れが辛い。


 電車や飛行機と違い、フェリーは思った以上にゆっくり動き、見送る者も見送られる者もしばらく姿が見えているので、いつまでも悲しい。


 汽笛の音が、また泣ける。


 人離れが深刻な離島で、一時的に人口が増えるのが帰省シーズンのお盆や正月。ただ、個人的にはお盆だけのイメージ。


 学生は夏休みの方が長いのと、墓参りといえば正月よりお盆。島を出て初めて帰省する者は、髪を染め、派手な格好で帰ってくることも多い。


 あれは島外デビュー…?


 まるで別人で、見送りで泣いてしまったことすら忘れてしまいそうになる衝撃を受ける。


 垢抜けるって凄いことだ。


 田舎のお盆はやることが山積みで、家を手伝うために帰省する者も多いけど、正月は寒いし、北風が強く吹いて海も荒れる。フェリーは揺れるし、飛行機は上空待機して降りれなかったりもする。


 挙げ句、出発地の空港に引き返して、その日以降は満席で予約を取り直すこともできず、結局は帰れなかったなんて経験も。


 とにかく、帰省や旅行で離島に行くときは、天候が重要。天気予報はしっかり確認するべきで、風の強さ、風向きと波高は要チェック。

 時化の日にフェリーに乗るのは地獄。過去にはフェリーが航行不能になって、しばらく海を漂った事件もあったり。


 よほど船酔いに強くないと寝ることなどできず、トイレの番人と化してしまうので注意。


 船で本を読んだり、携帯に集中すると酔う…なんて言うけれど、本当に波が酷いときは寝ていたはずなのに吐き気で目を覚ましたり。横になっていても振動で身体が跳ねたりする。

 そんな時は、島に着いても数日間船に乗っているかのような感覚に陥って、三半規管がやられているのか、目を瞑ると目が回ってしまう。


 離島出身だからといって、船酔いに強いわけではない。酔うものは酔うし、酔い止めだって飲む。


 苦労して辿り着いた離島では、初詣に行ってもおみくじすら置いてない神社が多数。


 朽ちかけたおみくじの自動販売機が置かれているだけ。


 使えると勘違いして、何度かお布施している。


 おみくじを引くために、信号もない道を家から車で片道1時間20分。


 小吉や末吉が出ると、若干納得いかない。


 それでも行きたい年に一度の初詣。数少ないイベントだから。


 長距離ドライブを兼ねて…と言えば格好いいけれど、車がなければ生きていけないのが離島。


 陸路を移動する交通機関は、バスかタクシー。学校に通学するにもバス。空港に行くにもバス。


 どこも道が狭いのにバス、たまに大型トラック。


 遭遇するタイミングが悪いと離合が大変。蓋のない側溝が落ち葉で埋もれていたりして、道路の境界線がわからない。


 たまに溝にタイヤが落ちたまま放置されている軽トラを見かける。軽トラ率の高さも離島ならでは。


 車といえば、輸送コストがかかる離島ではガソリンが高い。リッター200円近い価格まで上がる。


 不思議なのは、大抵のガソリンスタンドは同じ価格設定で、どこで給油してもほぼ変わらないということ。

 セルフや特定日の割引など若干の違いはあるものの、基本的に同じ値段。


 離島では、ガソリン価格で他を出し抜くことは許されない……のだろうか。


 


 色々と書きたいけれど、一旦ここまで。


 続きは、また時間のあるときに。


 読んで頂き、ありがとうございます。

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