美女と筋肉。
筋肉の塊!分厚い皮のブーツを履いた巨大な筋肉の塊が!!
2m以上の大男が鋼鉄の筋肉を纏い、黒皮のジャケットと黒皮のズボン、目を隠すサングラスで表情を隠し口元を締めた顎と太い首・・・この男は!?
イレイザーとかコマンドーとかそんな感じの・・シュワルツェ〇ッガーさん?
「この時代で最も強そうな男をトレースした、姿が似てるのはその為だ」
渋い!、玄田てっしょうさんの声まで再現してるのか!?無敵かよ!
「この声はこの姿に最適化した声だ、
問おう・・お前はジョンか?」
残念、ボクはコナーじゃ無かった。
「お・・・ボクは」
サングラスの戦士の問いに躊躇いながら口を開くシンイチ、その一呼吸の間を狙った様に
ドカッ!
もう一つの木棺が現われた!
「マジか?!」
この感じなら次ぎはランボー的な筋肉男?それともワイルドスピード的筋肉か?
更にもう一つ!ドカッ!
三つの木棺が揃い、二つ目の棺から・・・無表情の美人?
そろえた前髪で左目を隠し、つぶった右目を囲むように五芒星の印、細い肩とわずかに膨らんだ胸、スラッとした細すぎない右足で棺の扉を蹴り開けて美女が出て来た。
(どう言う組み合わせだよ?)
それは三つ目の木棺が開けば解!?
「やらせん![石礫 嵐!]」ベルが叫ぶ!
車椅子の周囲に落ちていた無数の石が浮き上がり、三つ目の棺を破壊!
なにをやってんです?
『くっくっくっ、流石黒井ベル先生ですねぇ・・3体目は無理でしたか。
ですがこの2人の事はご存じでしょう?』
「1人は最も筋肉な男[アーノルド=シュワ]だがその姿は・・あのアンドロイドか?」
未来から送られて来た人類抹殺兵器の一体、プログラムを組み変えジョンを守るように命令を受けた感じの・・
「そこの・・?生命体?か、オレはアンドロイドでは無い!
IP850、iPho訳してアイホーだ!」
アーノルドっぽい男がベルに顔を向け、強い口調で声を上げる。
『ふふふっ、驚いたかいシンイチ。
誕生日プレゼントに用意したんだよ、未来の技術と科学で作り上げたiPho。
ジョブズが夢みてイーロンが提唱した、人間と共にある為の未来のスマートフォン!
ボディガードは勿論、執事もシェフもドライバーも出来る人型携帯さ!
小学生にスマホは早いとは思ったんだけど、いつも用意出来るとは限らないから先に用意して置いたんだ。
ギガなんてセコい通信縛りなんて無しだよ、通信量使い放題!受電不要!
超光速通信で未来のウイルスバスターインストール済み!
ファミリー割引、学生割引、長期使用特約で月額5890円さ!10年先までは払ってるから、その先はバイトして頑張ってね。振り込み口座は・・・・・』
・・・・ボクの知ってるiPhoneじゃない、iPho?どこの世界の携帯端末?
人型携帯ってなんだよ、それは最早携帯じゃ無いじゃないか!!!
という事はこっちの美人のお姉ぇさんもiPho?男性型と女性型?
「ガキ、そいつから離れろ。。。そいつは・・・」
機械が苦手なのか、悪魔女は髪をザワザワとうねらして警戒していた。
『ふふふ、やはり私の思ったとおりね・・シンイチくんも男、ワシの誕生日プレゼントの方に興味津々じゃろ?流石は爺ちゃん、孫の事をよくわかっ取る』
半分婆さんで半分爺ちゃんの声だ。
爺ちゃん、声真似忘れてるぞ。
『英次よ、男と言う生き物は何歳でも女性に興味を持つもんじゃ。
じゃろ?なので爺ちゃんからの誕生日プレゼントはそこにいる!
何とワシと英次が封印された地下神殿で交渉して捕えた悪魔じゃ!』
?~~~~?ん?
爺ちゃん、孫が女の子に興味あったらなんで悪魔を捕えてくる?
ボクに3つの願いでもしろって事ですか?
あと『ワシの勝ち~ワシの勝ち~ワシの勝ちじゃ~~』とか聞こえてるからね。
父さんを煽らないでね、後が怖いから。
(じゃあ壊された棺桶には何が入って・・・・!!?)
見なかった事にしよう。
「お久しぶり?ですか・・ベルフェ・・」
「今の私は黒井ベルと名乗ってるんだ古い同胞、そして私が面倒くさいからなにも言わず、魔界に還ってはくれないだろうか?五芒星の悪魔」
シンイチが3つ目の木棺の中を覗いていたその背後で、黒い圧力が膨れ上がる。
「え?なに?」
何が起こったんだ?
ベルの前に立ちガードを固めるナナさん、その背後で暗闇の渦を作り出すベル、なにこれ?なんの対立だよ!
「[黒晶嵐]!」
風と魔力で巻き上げた瓦礫を魔力で圧縮!
黒くコーティングされた鋭い瓦礫が舞い上がり、目の前の敵を切り刻む!
「魔力開放、[水流壁]」
五芒星の悪魔と呼ばれた女性が息を吸い込み、強く息を吹いた!
口の前に五芒星の法陣が浮かび、息が大量の水となって瓦礫を押し流す!
「・・・水の無い所でこのレベルの水の術を・・やはり貴様は」
「そちらこそ、怠惰の悪魔と呼ばれたアナタがこれほど好戦的とは思いませんでした」
邪悪な顔で笑うベルと、ベルの気勢を無表情で受け流す悪魔、なんか盛上がってる。
「何が『なんか盛上がってる』だガキ!お前のオヤジが持ち込んだ厄介事だろ!
お前は当事者なんだからな!」
「しょ・・しょんなこと言われたって・・しょうがないじゃないか」
「てめぇ!こんな時にえなりの真似とかすんな!ぶん殴るぞ!」
悪魔と向かい合いながら拳を振り上げるベル、渾身のモノマネだったのに。。。?
「少年、私は少し面白かったですよ?」悪魔の方は少し笑った。
「アホか!悪魔を楽しませてどうするんだよ!
いいかよく聞け、こいつは見た目はアレだが中身は本物の悪魔だ、それも歴史書に乗るほどの魔神なんだよ!
こっちに定着させたら不味いバケモノなんだよ!」
「・・・」(^_^)
心無しか少し嬉しそうな悪魔、悪魔的には恐れられる事は気分の良い事なのだろうか?
「お前も喜ぶな!いいかガキ、人間が悪魔に取り憑かれて良い事なんて何も無いんだ、、、チッ!忌々しいがコイツを祓う知識を与えてやる。
よく聞けガキ、お前も見た事があるだろ!『父と子と精霊の名において』ってヤツだ」
苦々しい顔で怒鳴るベル、確かに悪魔に取り憑かれるのは怖い、でも・・・
「なに、それ?」多神教の国・日本、そして殆どの人間は無信心者なのです。
なので「オヤジがどうかしたのか?」オレは何もしてないぞ?
ベルの言っている事が理解できなかった8歳の夏。