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祖父ちゃんだか祖母ちゃんだか、大蛇〇?

 赤錆びた鋼鉄の扉、そこに着けられた取っ手の役目を果す鉄の輪を掴むボク。


「取っ手だけでも十分重いんだけど」

「いいからやれ!肩関節が外れても引っ張り続けろ!」


・・・・・子供だぞボクは。

 反論しようにも目を鋭くして見下ろしてくるベル。

 アイツはダメだ、ちょっと美人だからって性格が悪すぎるよ。


「うぐぐぐぐ!!!!」


 カッチカチで動かない鋼鉄の扉は、コンクリート填め込まれているように微動だにしなかった。


「やっぱり無理だって、こんなのどうやっても・・・!」

鋼鉄の扉が内側から少しだけ開く。


『じっ・・・』

 無機質でガラス細工のような目、それがまばたきもせずシンイチを写しゆっくりと扉を・・閉め始める?


「ガキ!そいつを逃がすな!」

「え?あ?」反射的に開いた隙間にゆびを突っ込んだ!

 

 ガブッ!突っ込んだ指が噛まれた!なんだこいつ!


 一列に並んだ鋭い針で上下から挟まれたような痛み!

 引っこ抜いたら黒髪の変なヌイグルミがオレの指を噛んでいた。


「うぉ!離せ!何だコイツ!」人形の身体を掴んで引く!

 にゅる?そんな感じで人形の口から飛び出す人形、悪意のあるマトリョーシカ?!


『DNA解析完了、声帯認証確認、網膜認証成功、顔認証照合・・本人確立94%・・・咒印精製開始・・・』


 いま何か不穏事言わなかった?

「なあお前、いま咒」「うるさいぞガキ、その人形が鍵だ、壊すなよ」


・・・・・・

『シンイチ、私がお前に発見されたと言う事は、私はすでに死んでいるのだろう』

 おばあちゃんのような声を出す人形、私ってだれだよ?


「・・・」

 『私じゃワシ!爺ちゃんだ!ちょっとしたジョークじゃよ!』

 手足をバタバタさせる人形、声も爺ちゃんの声に。


「じいちゃん?なんでそんな姿に」

 それに死んだって・・・爺ちゃんって殺したって死ぬような人間じゃ無いだろ?


『この人形はただの案内じゃよ、っていうか多分死んでるって話しで、ワシ生きてるかも知れんから・・・とまぁそう言う事情じゃよシンイチくん』


 急に祖母ちゃん声になる変な人形。

 爺ちゃんだか祖母ちゃんだか解んねぇから!何がシンイチくんだよ!


 このふざけた感じ、間違い無く爺ちゃんだ。どうなってるんだよ?


『シンイチくん、この扉を開くのであれば一切の希望を捨てるのだ・・・』

「じゃ」


『じゃあ、いらないって、そんな冷たいこと言わんとってなぁ爺ちゃん泣いちゃうよ?我が孫。年寄りの面倒くさい泣声を延々と聞かせちゃうよ?』


・・・すげぇ面倒くさい、やっぱり爺ちゃんだ、しかも絶対面倒くさい事を企んでる時の感じの。


『だめですよ父さん、シンイチはそう言う面倒くさい前置きなんかしたらすぐにそっぽ向くタイプなんですから。

 あーあー聞こえてるかいシンイチ、父さんだよ』


「聞こえてるよオヤジ、今どっかに隠れてるんだろ、早く出て来てみんなに謝れ、日本中・・・世界中無茶苦茶だよ、マジでなにしたのさ?」

 通信機か?それともこの人形に小型カメラが仕込まれて・・・


『ひっくり返しても何も見付からないぞシンイチ、あとこの人形は股間部分を突くと5秒で爆発するように作ってるからな』


・・・・・人形をひっくり返して、背中とか頭をつついていた手が止る。

 オヤジは出来ない事は決して言わない、けど『やる』と言ったら絶対にやる人間だった。


『ちなみに半径3mは吹き飛ばす量の爆薬と耐火樹脂性のベアリングを仕込んである、周囲6~10mの人間は殺傷可能だ』

 

 オレの背後でベルの車椅子が距離をとる気配、『じりっ』って聞こえました。


 ジイサンとは別の悪意、計算ずくで計画的な上、他人を巻込んでも気にしない性格。

 間違い無くボクのオヤジだ。

 眼鏡をキラッ!と光らせて悪い笑顔で口元を上げてる顔が思い浮かぶ。


(けど殆どはハッタリなんだよなぁ・・・黙っとくけど)


『シンイチ、この人形に話し掛けても無駄だよ、ボク達の思考を機械的に反映させて答えているだけなんだ。つまりこの人形が目覚めていると言う事は・・・恥ずかしながら父さんとボクはそこにいないって事だよ』


・・・・怪しい、怪しいけど家が踏み潰されて、その土台に埋ってた扉から出て来た

人形、コイツがオヤジ達の思考を反映しているってのは何となく解った。


『くくくっ、シンイチくん、状況は理解出来たかしら。

 この扉を開いたと言う事は、あなた力が欲しいのでしょう?』

 爺ちゃんの声真似、多分アレな感じの大蛇〇だ。


「それで、爺ちゃん的には『この扉の先に力があるから入って来い』って事でいいんだね」

 希望を捨てろとかも多分いつもの冗談だろう、爺ちゃんは色々と変な所でこだわるから。


『・・・この状況でそんな冷静な反応出来るなんて、流石はシンイチくんね。床板が引っ剥がされているっていうのにね』大蛇〇声で冷静な突っ込み。


 忘れてた、オレ、今日から家無き子だった! 


「爺ちゃんが力をくれるってなら日が暮れる前にくれ、っていうか下さい」

『正直ねシンイチくん、さあ扉に私を置いて扉に手を置いてみて。

 あと私、危険を感じると自爆するから』


・・・・嫌な人形だ、自爆したらオレが巻込まれるじゃん!

 孫だよオレ![爺ちゃんの孫]だからね!


「けけけっガキ!お前、死んだら流行りの異世界転生でもするんじゃね?」

「それが力をくれた事になるなら、化けて出てやるからな!」


 人間は死んだら死体になるだけだ、[死人に口無し]ジジイの置き土産で爆死させられてたまるか!


 扉に置いた黒髪が長い人形、シンイチは手の平を鉄扉に置く。

 ?!噛まれた指先の血が鉄の扉に落ち、手が扉に触れた場所に円環の法陣が。


『くくくっ、シンイチくん、よくやったわ、コレこそ日の本崩しの本命よ』

 低いガラガラ声が邪悪に笑う。


?「やっ止めろ!」

「『おや・・そこにいるの黒井さんですか?お久しぶりです』

 ですがもう手遅れよ」

オヤジの声を大蛇〇の声を混ぜるな!危険!


“目覚めなさい従僕達『傀儡転生!』”

 バキッ!!!鋼鉄の扉が真上に吹き飛んだ!?


「・・・・・」2mを超える巨大な木棺が鋼鉄の扉を破壊して現われ、、、、

 太い腕、ゴツゴツした手が内側から棺の上蓋をこじ開ける!


・・・・・現われた物、それは結果的に言えばガンコンの方がマシだった。

 

なにが出るかな、何がでるかな?

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