家が無くなった。
有る日、目が覚めて飯を食っていたら祖父、ジジイが
『ワシより強いヤツに会いに行くんじゃ!』と笑いながら家を飛び出して行った。
東洋の魔術士・ゴットハンド・地獄の墓掘り人、世間ではそう呼ばれているらしい66歳の男が工事に使うようなスコップを担ぎ、30㎏は入りそうな登山用のリュックを背負って失踪する、、、オヤジ曰く、『父さんが若い時は良くありました、シンイチくんは気にしないでも大丈夫です。死ぬような事にはなりませんから』
7歳のボクは、その時は(そんな物か)と納得していた。
いま考えると、結果的に今まで無事だったから死ぬような事になって無いだけで、言葉のマジック・論点のすり替えだったんだと考えている。
そんなオヤジも半年後
『シンイチくん、ボクは今日、旅にでます。
心のままに魂の欠片を“一つの破片”ONE PIECEを探す旅に』
目指すはアバロン!理想郷へ!とかなんとか。
『若い頃は色々無茶をしたもんです』
それが口癖の45歳の考古学者、地底人・血塗れのインディ〇ョーンズ・騒動の予言者。
行く場所・遺跡の全てで落雷と爆発と地震が起こる厄災の冒険野郎は、理性の眼鏡をキラッと光らせ出て行った。
そして数ヶ月後、世界が一片した。
バケモノが現われ町を歩き、恐竜と絶滅動物が河原や森で草を喰う。
機械と昆虫が人の姿で挨拶し、悪魔と呼ばれる者が道を聞いてくる。
超能力者や、[何か]と融合した二重人間[ダブルマン]
家の床から原始世界の植物が生え、巨大なトンボがネズミを補食する風景だった。
昨日までの世界とどこかの異世界、もしくは平行世界が融合した結果らしい。
けれど本当の所は誰も解らない。
けれど、政府発表でその犯人の名前は上げられていた。
曰く世界を壊した超越者達、その大罪人達の名前。
大魔導師・アレウスター・クローリー
大錬金術師・ホーエンハイム
名も無き星読みの巫女
数学の神・フォン=ノイマン
電気王・ニコラーテスラ
異星世界の語り手・ラブクラフト
鉄血にして冷血な超越者、暗闇と夜を歩く者 伯爵 ブラド=ツェペリ
ボクのような通常一般人には秘匿されていた地球上の生きた特異点達、彼らが何かすれば数千の命が失われると予想され、政府に保護されていた重要人物達。
・・・・・その中に何故かオレのオヤジとジイサンが混ざっていた。
地獄の墓掘り人!THE!アンダーテーカー 狂老、 々 勇作 のま ゆうさく
血塗れの狂ったインディージョーンス博士 地底人、 々 英次 のま えいじ
狂老とか地底人とか・・世間が着けた二つ名が怖い、家にいたら普通の?ちょっとおかしいジイサンとオヤジなんだけど。
オレは世界が一変し、その朝に装甲車と戦車のエンジン音で目覚まされ、そのまま連行された。
耳栓と猿ぐつわ・視界を隠す黒のフルフェイスのヘルメット、両手両足を拘束する厚さ25㎜位の鋼板性の拘束器具。
堅くて丈夫な合成樹脂か何かを束ねた太いロープでぐるぐる巻きにされ、審問される事半日くらい。
なにも知らないオレは、嘘発見器とビリッとする電流での拷問的物を受けた後、開放された。
『ここで何が有ったのか、誰と出会ったか、何を聞かれたか等は外部に漏らすな。
もし今日の事が外部にもれた場合、キミの命の保証は出来ない』らしい。
そう脅した男は家の近くでオレを降ろし、フルフェイスのヘルメットを外して突き飛ばすようにして開放した。
黒のサングラスと黒のマスク・黒のスーツと黒髪、日本にもMIB[メンインブラック]がいる事を始めて知った。
・・・・いや、そもそも日本人じゃないのかも知れない、髪を黒く染めて肌の色を化粧で変えている可能性もあるの?
疲れていた、本当に疲れていたんだ。だから何とか歩きながら家に向かっていたんだ。
祖も時、ボクが見たのは光る白い巨人だった。
そいつがいきなり光りと共に現われて数分間、自分でも何か起こったのかよく解らない風にキョロキョロして、頬を掻いたり頭をかしげ、上に浮かぶ雲に顔を向けて『ジュワ!』って飛んで行った。
・・・・ヤツの足元、後に大災害の一部と喚ばれる場所ににボクの家があった、在ったんだ。
足跡の踵の近くでペチャンコに潰された家、、、この時点でオレは家族と家を失ったんです。。。
第1話です。