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プロローグ やらかした大人達。

 暗く湿った穴の中を私達は進んでいる。

 何百年・何千年もの間、光りを閉ざされた世界で視力を失った不気味な蟲共と、それを喰う目を失った不気味な捕食者達。


 彼らは光りを奪われ、外界の空気を得る事すら出来ず暗闇の地底に適応・進化した生き物だ。

故に探索者達の持つわずかな明かりにさえ怯え、私達の懐中電灯にすら背を向けて逃げ出していく。

 ここにいる生き物は太古の昔、地上から引き離され、地下という閉ざされた空間に隔離された者達の末裔。


 地下の限られた湿気・水分から光合成とは違う方法で酸素を吐き出す苔と菌類は、蟲と捕食者の死体を苔で覆い、獲物が触れると茶色い胞子を飛ばし獲物の身体に菌糸を伸ばす。


 蒸し暑く息苦しい世界だ、それにここが地の底だからだろうか身体が圧迫されるような感覚。

 私達は大地の威圧感を強く感じ、息苦しい中を先に進んでいる。


・・・・身体が震える、大地の圧力など私の魂の振るえが掻き消してしまう程の興奮だ!


「やはりそうだ!私が調べた通りだったぞ!」


 洞窟の奥、壁の岩に同化するかのように斜めに埋った鳥居、そしてその奥に眠る黒く重い石の棺。

 何トンもありそうな巨大な岩の天板が、棺の中の者を封印するように被さっていたのだろう、石の棺桶も床の岩に埋り一つの地層になり始めていた。


「太古の昔に建てられた祭壇だぞキミ!

 大昔、地殻変動で海に沈んだ事で当時の支配者達からの破壊を免れ埋もれた・・・現在の人の歴史の中にすら残されなかった古代の神の社だ!」解るかね!この意味が!


 地中海で生まれた古代文明、シュメール・メソポタミア・海の民からもたらされたと言われる鉄の文明。

 拝火教と呼ばれるゾロアスター教がなぜ炎を善として崇め、闇を悪としたか。


 炎は鉄を金属を作り、自然を切り開き人々に文明を与える物だったからだ。

 自然を斬り裂く炎、森を焼き大地を削る鉄の文化だ。

 自然とは・夜の闇とは、人類が手にした炎とは・鉄文明とは対極の物。

 そしてゾロアスターの神が人々に受け入れられる為に、自然神を闇夜の神、

 すなわち邪神・悪神にする必要があったのだ!


 たしかに海の民・炎の文明・麦の農耕、それらを考えると矛盾が生じる。

 夜の海を、星を頼りに海を渡る海の民、シュメール人が鉄を伝えたとするならば、鉄を作る為の炎はどこから持って来たと思う?

 

 海には鉄の鉱脈も、それを鉄器に加工する燃料も無いというのに。


 そして最古の農業には鉄器は無かった。

 土器と石器で十分だったのだ。

 私にはそこに文明の矛盾を感じたのだよ!

 まるで[鉄器を使う文化を持つ何かがいて] それを1度捨て[石器時代に戻った]ような違和感だ。


 鉄器を持つ国家・文明が他を支配せず、鉄の文明を白紙に戻したような。

 鉄→石→鉄のような文明の不合理だ。


 古代の鉄は戦う為の武器だ、敵の石器を砕き、皮で出来た鎧や木の盾を貫く鉄の矢じり・鉄の剣、獣を狩るだけなら石器で十分な所に現われたオーバーウエポンの存在だ。


 失われた鉄の文明、それが先人類史に埋もれ隠れていると言うのが現代史の常識だろう。

 それがメソポタミアの鉄・ナクソス島の短剣と呼ばれている物だ。


 だがそれ以前、ペトラロナ人の時代・前期旧石器時代においても地中海世界では発展した文明は有ったのだ。

 紀元前1200に存在し失われたミケーネ文明、紀元前4000年・代のイラク南部に存在したバビロニア文明、彼らは文字を使い交易まで行っていた証拠まである。

 

 現代の文明の起源が0年からだとしても、今は高々2000年だ。彼ら古代文明の半分にも満たない年月に過ぎないのだよ。

 

 発掘された資料でも、古代シュメール文明の存在は明らかにされている。

 古代ウルク第一王朝の王、ギルガメッシュ。かれは王ルガルバンダ王を父に女神マト・ニンスンの間に産まれたと言われている。

 

 かれは2/3が神で1/3が人、その力は魔獣フンババを討伐し天の牡牛を倒したとされている。


 多くの世界・多くの神話の中で語られる[神が人間を・神が神の子を]作ったとされる神話だ。


「つまり、太古の昔・進化の途中だった猿と人間の中間人類が、草原で立ち上がり足掻いていた頃、その大地には神に等しい者達がいたと私は考えたのだ!」


 鉄・・・金属を使い、人に火を与え建築を与え言葉を与えた者は、すでにそこにいた自然の神を駆逐するために人・・・人間を作り、鉄を与え、自然と神の領域を破壊させたのだ。


 狩猟と採取の文化から、栽培と畜産の文化に移り変わらせ、人間から自然の驚異・神への信仰を薄れさせた者達!

 知識と文化を与えた新たな神達の存在だよ!!


 岩の洞穴に住み、寒さと飢えに怯えていた原始の人類達からすれば、食料の安定確保と暖を取る為の家の存在はどれだけ素晴らしい物だっただろうか。


 神と呼ばれた者達は季節を理解し・雨期乾期を的確に予言し、農耕技術を授け、薬草や抜歯等の医療も伝えたアステカのような文明も知られている。


「つまり、原始人類の時代に、その当時ではあり得ない技術と技能・知識を持つ者達がいた。。。

現われた、そう考えて推理すれば・・・」


[類人猿に知恵と文化を与えた存在]が証明されるのだ。

そして[そんな彼らすら、神という存在を認めて]という仮説だ。

 

 古代の神・自然に近いよりも、人間に近い神が現われ、人に文明を与えた。


「地上絵・ピラミット、まるで星空に願いと祈りを捧げているような遺跡群。

 どのような古代王朝にも存在した天を・空を崇める神官達。

 当時の世界では彼ら神官達は、王の権威に勝るとも劣らない物だったとされる。

 それはつまり、神の存在を・・・新しい神の存在を、当時の人間達は[知っていた]からだ」


 世界を作った霧の巨人ユーミル、大地と大気の神・エアとガイア。

ギリシャの神を産んだ大地の女神。

 彼らは本来、名の無い自然神だったとすれば。

 彼らに名を付け、支配した者、彼らを打ち破り支配した新しい神!

 もともと存在した大きな存在、星に降り立ち、彼らを打ち破った者!

 自然とは異なる新たに産まれ・現われた、最初にして唯一の神!

 後に現われた者が、すべての自然に形を与え、神に作りなおしたのだ。

 

「それからは、神が最初に天使を作ったとされる聖書の記述とほぼ同じだ。

 神は神の代行者を作り、彼らにこの星を開拓・管理させ、後に今の人類に引き継がせた」


・・・・

「そりゃぁ最初に作られた者・・天使とか神は怒ったはずだ、

『なぜ自分達が造った世界を、我々の世界をより愚かで脆弱な人間になど渡すのか』と。

 それが天使達の反乱・そして多くの神話に語られる巨人・古き神と新しいとの戦い。

 巨大な怪物が人の世界を襲う理由だ」


『自分達が造った自分達の世界、1度は敗北したとは言え、調子にのるなよ!』

 怪物達の行う破壊は、傲慢な神に対する・・原始的な怒りの現われなのかもしれない。


「多くの神話で語られる巨大な獣や怪物達、それらも神が作ったのだと仮定した場合、そう推測できるだろう・・・つまり全ては、神と呼ばれる存在の肯定を意味するのだ」


[神は存在する]

 現実主義者である私は遺跡を探索し・資料を積み重ね・束ね確かめ研究した結果 

 [神の存在]を失われて行った歴史の中で発見するに到った。


「だが彼らは忽然と歴史の中から消え去った、神も怪物も神の御使いも!

 全てが!そう世界中の全ての神が!

 人の目から隠されるように、歴史の彼方に消えたのだ」


「彼らはどこへ行ったのか、何故消えたのか・・・その答えがここにある、ある筈なのだ!」


 私は地の底で石を掘り、岩を駆け上がり、祭壇を目指す。

 石棺を守っていた何十もの鳥居が崩れ、大地の圧力が天板を塞いでいる。


 神が消えたその時、何が起こったのか。

 勝利した側の神・絶対神の姿すら現代に残されていない理由が!


 その中に答えがある、地上から切り離され、地の底で時が止ったこの遺跡のなかに、失われた神の真実が・真実の欠片でもいい、私のこの年老いた手に、爪に求めていた答えが届くのであれば。。。


世界史とか、突っ込まれてもよく解りません、なので流し読みでおねがいします。


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