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異世界転生者と人喰いの物語  作者: 闇緑 茶園
1/5

最高で最悪な一日

高校2年の2月14日、学校からの帰り道、久留木 颯太(くるき そうた)は、幸せの絶頂にいた。

何故なら学校一の美少女である伊吹 桜(いぶき さくら)からチョコを渡されたのだ。

しかも本命チョコの可能性が高い!!


颯太(そうた)はチョコを受け取った時の事を思い出していた。


図書委員をやっていた颯太(そうた)は放課後の図書室を片付けていた。

片付けといっても数冊の本を棚に戻すだけだ。

片付けが終わった頃、同じ図書委員の(さくら)が話しかけてきた。


「ねえ、チョコはもらった?」

「いや全然、義理チョコすらないよ。」

颯太(そうた)は苦笑いしながら答えた。


「そっか、じゃあこれあげる。」

(さくら)はかわいく包装された小箱を颯太(そうた)に渡した。

「バレンタインだから、チョコだよ。」


チョコを受け取った颯太(そうた)は完全にパニックに陥った。

普通なら義理チョコぐらいにしか思わないだろう。

しかし、(さくら)は確かに先週こう言っていた。

「私は義理チョコなんて配らないんだ。好きな人、つまり本命チョコしか渡さないんだ。」


(何で俺がチョコを???(さくら)からだよな???本命にしか渡さないんだよな???学校一の美少女だよな???俺ってモテる奴じゃないよな???)


完全に固まっている颯太(そうた)(さくら)が話かける。

「ねえねえ、なんか言ってよ。」


「お、おう、ありがとう。」

颯太(そうた)は何とか声を出して答えた。


期待していた返事と違ったのだろう、(さくら)はちょっとだけムっとした表情をした。


「そのチョコの意味分かるよね?ちゃんと返事してよね?ホワイトデーまでは待つから。」

そう言い残すと(さくら)は図書室から小走りで出て行った。


その姿を見て颯太(そうた)はしばらく立ちすくんでいた。


学校からの帰り道の足取りがとても軽い。

颯太(そうた)は思い出す度に笑みがこぼれていた。


(あの(さくら)だぞ?

こんな事ってあるのか!?

幸せ過ぎてもう死んでも構わない!!)


颯太(そうた)がそう思った瞬間だった。

突然、空が真っ黒になった。

何事かと思い颯太(そうた)は立ち止まり空を見上げた。


すると、真っ黒な空に巨大な穴が生まれた。

そして颯太(そうた)をゆっくりと吸い上げ始めた。


(な・・・なんなんだこれは!!)

颯太(そうた)は必死でもがいた。

しかし、それでも吸い上げられていく。


(死んでもいいとか思ったからか? ならあれは取り消す!! というかウソだ!! 降ろしてくれ!!)

颯太(そうた)はもがいた、もがき続けた。

しかし、必死の抵抗も意味をなさず、とうとう穴に飲まれてしまった。


気づいた時、颯太(そうた)はうつ伏せで倒れていた。

穴に飲まれてから長い時間がたったのか、それとも一瞬のことなのかよく分からなかった。

颯太(そうた)は首だけ持ち上げて辺りを見回した。


どうやらどこかの小屋の中のようだ。

木造の小屋の中に藁だけが積まれている。


何やら外は騒がしい。

大勢の人が叫んでいる声がする。


バタン!!

突然、大きな音が鳴り響き扉が開いた。

そして二人の男が入ってきた。

外国人のようだ。


一人は大柄な男でこん棒を持っている。

もう一人はそれほど大きくは無いが剣を持っている。

雰囲気は良くない、悪人のそれだ。

颯太(そうた)は急いで立ち上がった。


(中世ヨーロッパの野盗って感じだな・・・コスプレかな?)


「こんなとこにもいたぜ。」

「早く連れて帰ろう。」


そんな会話をすると二人は颯太(そうた)に近づいてきた。


「あ、あなた方は誰ですか?」

颯太(そうた)は後ずさりしながら聞いた。


しかし、二人は構わず近づいてくる。

颯太(そうた)が別の質問をしようと口を開いた瞬間だった。


ゴン!!

大柄な男がこん棒で颯太(そうた)を殴りつけた。

颯太(そうた)はそのまま気を失ってしまった。

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