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30 チネッタの生い立ち


「……ねむい。。。」


検証検証、また検証。面白く楽しくて止まらない。

廃ゲーマーじゃなかったが、人並みのやりこみ熱はもっていた。

自分で解くのも好きだが、どっちかというと攻略本派。

書いているパターンを試さずにいられないタイプだった。


そんなんで、土建設計(アーキテクチャ)を試していった。

家の転移には驚いた。誰かにみつかって大騒ぎになるまえに、元に帰す。

それから、小規模の検証に切り替えて、朝にいたった次第だ。

気が付けば朝。さすがにまぶたが重くて、まどろんだところだ。


ドン、と勢いよくドアが開く。


「まだ寝てるのですかルミナスさ……ほわっ、わわ、ななな、なんですかこれは?!」


一歩足を踏み入れ、ふかっとした感触に、まず驚き、目の前の状況にさらに驚く。

チネッタは、異変に気づく?気づかない? モニ〇リングか。すぐ気づいたし。


「ノックくらいしてください、チネッタ」

「しましたよ。さんざん。そ、そ、それよりなんですか!」

「ん? 模様替えですが、なにか?」

「模様替えぇ? これはリフォームと呼ばれるものです」


土建設計(アーキテクチャ)は、建築物に関するあらゆることができると分かった。

冷蔵庫やテレビなどのように、文明の追い付かない代物は不可。

だが、たとえば室内ならば間取りは言うまでもなく、インテリアっぽいのもできる。


ただのタンスを、ウォークインクローゼットにしたのを筆頭として。

天井の天使を、布織のタペストリーに。

床はふかふか絨毯だ。材料の出所はわからん。

天井からクモ糸ロープを垂らし、同じくクモ糸で編んだハンモックにゆらゆらしてる。


この場合でも、”作りつけ家具”っていうのだろうか。


ところでスキルは回数制。

寝なきゃ全回復しない悠長さはない。1時間で元にもどるサービスぶり。

使えば使うほど、分母はふえていき、関連スキルを覚えていく。

すごいことに回数は親子関係の総計だ。


例えば【世界マップ】の移動は(5/5)となってる。

5回しかできなく思えるが、じつは回数は、他のスキルから拝借できる。

大元である、土建設計(アーキテクチャ)数”389”は全スキル回数の総計。

この回数が尽きない限り、どのスキルも使いまくりなのだ。



土建設計(アーキテクチャ)(387/389)


 【設計】

  線・円・角度・移動・複写・配置

  削除

  非表示


 【世界マップ】 行ったことのある場所を記録・表示(215/215)

  移動(5/5)

  転移(5/5)

  位置交換(5/5)

  距離測定(50/50)

  拡大(50/50)

  縮小(50/50)

  監視(50/50)


 【基本家屋】(23/24)

  基礎(1/1)

  床(1/1)

  柱(1/1)

  外壁(4/4)

  屋根(2/2)

  窓(5/5)

  扉(5/5)

  天井(4/5)


 【ルーム】(9/9)

  キッチン(1/1)

  リビング(1/1)

  地下室(1/1)

  寝室(1/1)

  貯蔵室(1/1)

  安置室(1/1)

  収納庫(1/1)

  癒し室(1/1)

  治療室(1/1)


 【作り付け】(35/36)

  クローゼット(4/5)

  タンス(5/5)

  棚(5/5)

  椅子(7/7)

  テーブル(7/7)

  ベッド(7/7)


 【インテリア】(54/55)

  カーテン(5/5)

  カーペット(4/5)

  壁紙(5/5)

  床材(5/5)

  照明器具(5/5)

  人形(5/5)

  ぬいぐるみ(5/5)

  ピアノ(5/5)

  カレンダー(5/5)

  ホワイトボード(5/5)

  時計(5/5)


 【エクステリア】(35/35)

  門扉・門柱(5/5)

  フェンス(5/5)

  通路(5/5)

  テラス(5/5)

  ガレージ(5/5)

  植栽(5/5)

  照明(5/5)


 【コロボックル】(15/15)

  腕(5/5)

  足(5/5)

  頭(5/5)



ありがたいことに、【設計】には制限がない。

設計では、いくら線を引いても丸を描いてもいい。

納得いくデザインが仕上がるまで、無限に試せる。


回数限度があるのは、完成品のリアル配置だ。

造った物を配置したり、移動や複写について、おのおの1回とカウントされる。

”削除”は、回数にはいらないので、造ったものは自由に消せる。


思わず手を叩いくほどの優れものが”非表示”だ。

設計したのを配置してからでも、出す出さないが自由。

まさに、設計や画像ソフトの”レイヤー”構想を目の実現。

こうなると、”削除”は、いらなくなるかも。

スキルの枠を超えてしまってる。感動に打ち震える!!


ひとつ謎なのがコロボックル。

なんか、暴走スキルのような気がして、弄ってない。





俺は、ベッド枠として配置したハンモックを”非常時”にする。

床に足をつけると、部屋に配置したほかの物も一挙に”非表示”。

元からあった、”ルミナスの部屋”に戻った。


「スキル……ですね。噂には聞いてましたがこれほどとは」


トレイを抱えて固まったメイドが、正気に返って、俺をみつめる。


トレイには食事。こんな幼児に部屋食とは、ホテル並みのおもてなしぶり。

疲れてるんだろうと、気を回してくれてる空気を感じる。

この頃は、あの母さえ、抱きつきを制限してるし。

ついつい、徹夜におよんだのも、家族たちの優しさに乗じた甘えである。

ひとの好意には有効に依存すべし。


「チネッタ。今度こそ、教えてくれますね?」


開いた心の隙間には、つけこむべし!


「ご想像のとおり。私のスキル【迷子の赤犬(マーキング)】は迷いの森で得たものです」

「とうぜん文字も読める。そうですよね?」


うーんと、メイドらしならぬ唸りの息をつく。

どこまで話そうか、頭を巡らしてるのか。

たいした話ではないのですがと、前置きして、淡々と言葉を紡ぎはじめた。


「私は、マウイシタデルの貴族の末裔です。文字は隠れて教えられました。父は、幼い私を担いで迷いの森を逃げまわったそうです。覚えてませんが、スキルはその時ですね。魔物は倒していませんよ」

「マウイシタデル? なんですそれ」


魔王の聞き間違いか。”マオイの丘”なら知ってるが。


「知らなくてあたりまえですね。いえ、こんなお話を正面から受け止められる5歳児ルミナスさまのほうが変わってると思いますが、まあ、いまさらです」


そこはあれだ。

深くツッコまないでもらいたいと、天井を仰ぐ。

あれってなんだ?


で?


「40年前に、最後にレブンが戦かったシタデルがマオイです。その戦いは演習の基礎になってるそうですが。戦いに敗れて、隷属された人々がいます。その子孫が私ということですね」


シタデルは戦ってる。戦うからには、勝敗がうまれる。

勝ったシタデルは負けたシタデルを、隷属化。人間は労働者としてこき使う。


あっちの世界でも普通に在った話だな。教科書じゃ、ゆるーく表現されてたが、古代ローマから近世まで、あらゆる時代で起こっていた歴史だ。エイブラハム・リンカーンが奴隷解放を宣言するまで、奴隷はあたりまえの資産だったという。


植民地化した国から、奴隷を買い集め、死ぬまで使いつぶす。

遠くに連れてこられた奴隷はわが身の不運を呪い、わずかな持ち物から故郷をしのぶ。

子は、奴隷として生まれ奴隷として生き、親世代にあった故郷というアイデンティティさえ奪われる。不幸すぎるな。


ね?たいした話でなかったでしょうと。チネッタが付け足す。

たいした話だろうが。


「でも父は、レブンのほうが、マウイよりも良いシタデルと言ってます」

「マウイよりも?」


隷属には期限があるのだという。

レブンならば、15年で、解放され普通の市民になるのだと。

俺のいた世界よりも先進的だな。おい。

マウイは100年と? それが普通だと? 期限つきで解放されるだけスゲー。


チネッタは、村の娘として暮らしていた。

機転が利く娘がいると評判が立って、サンガリがメイドに雇ったのだと。

下級でも貴族のメイドは人気職種だそぷだ。

グルーム家行きが決まると、まわりから、うらやまれるやら恨まれるやら、大変だったそうだ。

給金みたいのはないが、衣食住完備。

食がカツカツなシタデルでは、贅沢なことだという。


話は前後したが、チネッテとスキルがはっきりしてスッキリした。

気になることを最後に、聞いてみた。


「敗れたシタデルはどうなるんです?」

「勝ったほうに吸収されますが」


ああ。人間が隷属だからな。

誰もいなくなるシタデルは、解体して燃料とか材料にでもするのか。

執事セバサも、シタデルは1000あったって、いってたし。


「勝ったシタデルのほうへ、融けかけた氷がくっつくように融合。そうして、ダンジョンがより大きくなるのです」

「はっはっは。チネッタはジョーダンが上手いですね」


そんなこと、単細胞のアメーバじゃあるまいし。どこの金属生物だ。


「うふふふ」

「はっはっは」

「うふふふ」

「はっはっは」


まぢなのかよ。





ストックが、ゼロになりましたとさ。

ざんねんですが毎日投稿は、できなくなります……


がんばります

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