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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

海老仙高校のバレンタイン

作者: Luoi-z-iouR(涙洲 硫黄)

クソSSです。バレンタインでチョコをあげる相手ももらう相手もいないからむしゃくしゃしてやったアレです。リア充、いやリア獣は鼻血をまき散らして爆散すればいいのに……。

 バレンタイン。調べてみると古代ローマ時代に起源が遡るとされるが今回はそんなことは一切関係ない。2020年のオリンピックイヤーと世間が騒いでいるのか騒いでいないのかよく分からない空気感の中でも2月14日という日は来る。バレンタインまであと1ヶ月だ。


赤飯「……バレンタインねぇ」


 ここは県立海老仙高校。普通科の高校だ。ブレザータイプの学生服の上からワインレッドのジャケットを着て今にも雪が降りそうな教室の外を見る男子高校生。俺だ。俺の名は赤飯五目(あかめし いつめ)、2年生。赤飯なのかチャーハンなのか、ごはんなのか人間なのかよく分からない名前のせいで常にいじられキャラを演じている。俺には何人か頼れる友がいる。そんな友が今日も今日とてつるんでくる。


罌粟角「赤飯、今年も非リアのキモヲタ共はリアルチョコ0は確定事項だ。自分で買って食え」

池地「ばかやろぉ!ママから貰えるだろうが!」

罌粟角「そうじゃねぇよ、貰うなら嫁から貰うんだよ」

池地「おめーの嫁は画面の中じゃねぇか」


 頼れる友とはこの2人、ガリガリメガネは罌粟角陰太郎(けしずみ いんたろう)。典型的なヲタク学生。本人曰くこれからはインターネットの時代になるからと付けられた名前らしいが、中学生の時に『陰金太郎』とあだ名を付けられて酷いいじめにあっていたらしく、その時にヲタクになったとか。


 もう1人の方、罌粟角とは真逆の100キロ越えの体型で常に油汗を垂れ流しているのは池地豊(ちち ゆたか)。重度のマザコン。マザコンではあるが実際は母性溢れる女性が好きらしい。見た目と行動が相まって多くの人から気持ち悪がられている。名前のせいで中学生の時に『関取』ならぬ『乳取』と呼ばれていたとか。


罌粟角「いくら俺たちの中で赤飯が1番のイケメンだとしてもヤツには絶対勝てない、つまりお零れどころかチョコの臭いすら流れて来ることはない!」

池地「あの3年生は絶対的な王者だ。イタリア系イギリス人のハーフで、家は多くの野菜を育てる農家で金持ち、本人は高身長イケメン野菜王としてメディアに引っ張りだこな相手に勝てるわけがねぇ」

???「それは誰のことだい?」


赤飯「その声は……!」

「「「剛田・G・イアン!」」」

剛田「やぁ、人参食べる?」

罌粟角「この爽やかに意味わかんねぇこと言ってんのにそのイケメンフェイスが全ての免罪符になるとんでもねぇ野郎だ!」


 剛田・G・イアン。こいつは海老仙高校始まって以来の秀才であり、全女子生徒どころか全女性教員までもメロメロにし続けてきた男だ。男子はコイツの事が憎くて仕方がない。海老仙高校にいるのなら、コイツが居なくならない限り普通の恋愛は出来ない。女子がコイツしか見てないのだからどんなにアプローチしようとも女子が振り向くことは無い。それは俺も例外ではない。ちなみに某ネコ型ロボットのマンガに登場するガキ大将とは全く関係ない。


池地「野郎どもはてめぇを目の敵にしてんだよ!オレが好きだった女の子だってお前のせいで見向きもしねぇ!」

罌粟角「いや、お前がデブだからだろ」

剛田「まぁそんなことは水に流しなよ。僕は3年生なんだから大人の魅力にやられちゃったんじゃないかな?」

罌粟角「ひとつしか歳の差ねぇだろ」


 意味不明な会話を残し、『アデュー』とキザに手を振ってその場を立ち去る剛田。嵐のような男だ。


罌粟角「ケッ、また今年もあの野郎の一人勝ちだ」

赤飯「そうとも限らねぇぞ。ヤツは3年だ。3年生は自由登校だからココにいるとは限らねぇ。あれだけの人気なんだから海老仙以外の女子からも一目置かれるのもおかしな話じゃない。さらにヤツはあれだけ女がいることに胡座をかいてか彼女がいないんだ」

池地「つまり?」

赤飯「来年なら勝てる」

罌粟角「おせーよ」

池地「しかも来年でも貰える保証ないだろうが」

赤飯「そうじゃねぇ、ヤツには彼女かいないことがポイントなんだ。許嫁がいるって噂もあるがどの道ヤツは不特定多数の女を誑かしてるってことだ。そこでだ、今年チョコが欲しいなら俺達でヤツの欠点を掻き出して人気を落とし、かつ俺らの人気を集めるんだ」

池地「なるほど!そうすればみんなワンチャンあるってことか」

罌粟角「そんな上手くいくのかぁ?」

赤飯「とにかくやるしかねぇ!早速やるぞ!」



 そう意気込んだのは良かったものの、この1ヶ月でヤツの欠点は何一つ見つからなかった。3人交代でヤツの監視を行い、SNSもサブ垢で潜り込んだ。そしてヤツの振る舞いを細かく記録した。それを広める計画も立てていたが欠点が全くなかった、もしくは欠点がいいアクセントになりイケメンポイントになっている。最悪だ。何も出来ない。そうして時間が過ぎてゆき……



 2月14日 朝

赤飯「結局なにも出来なかった……」

 文字通りになにも出来なかった。成果0。当然チョコも成果0。凹みながら校舎へ向かっているといつもの2人と合流し、いつもと変わらない毎日になる。

罌粟角「少し考えれば分かったんじゃね?」

池地「完全に作戦ミスだな。ちなみにオレは今日出会い系に登録して37歳のママに童貞をあげてチョコを貰うんだ」

罌粟角「高校生が出会い系……?ちなみにオレはいろんなソシャゲの嫁からチョコをもらうぞ。チョコ0はお前だけだな赤飯」

赤飯「お前らそれでいいのか……?」


 通常運転のふたりに呆れる俺。でも俺にはこの2人にすら秘密を抱えている。同じクラスのマイペースな子、平平夏織(ひらたいら かおり)ちゃんだ。この子は剛田の影響力が比較的少ないらしく、かつ俺とそれなりに仲良くしている。そんな芯を持った彼女に惹かれて行った。

 俺が1人になったタイミングでちょっとしたお菓子を交換したり雑談したり、たまに野郎2人がいない時は弁当のおかずをねだったりしてくる。人懐っこい面もあって、俺は彼女に密かな恋心を抱いている。

 まぁ今更抵抗するものバカバカしくなっていると昇降口に着く。いつも通りに下駄箱を開けると手紙とチョコチップクッキーが入っていた。


赤飯「………………!!?」

 俺は脳がショートするのが分かった。本当に全く理解出来なくなるものなんだ。特に心拍数が上がる系は物理的にも脳に大量の血が一気に流れるため本当によろしくない。

池地「お?どうした?」

赤飯「なんでもない!なんでもないぃぃ!!」

罌粟角「……なんだ?う○こか?」


 俺は急いでトイレに駆け込む。一瞬女子トイレに入りかけるが直前で方向転換して男子トイレに逃げる。で、トイレでチョコチップクッキーと手紙を見る。まだ脳とか心臓とか痛いがとりあえず確認しないことには何も始まらない。俺は可愛らしい封筒を震える手で開ける。少し封筒の端が切れてしまうが中身は無事だ。内容に目を通すといかにもな丸文字でこう書かれていた。


『赤飯五目くんへ

 いつもかっこいい赤飯くん!

 ずーっとあなたのことを見ていました。最近だと持久走で走る赤飯くんがキラキラしてて、すれ違った時の香りで昇天するかと思いました。

今日の放課後にいつも赤飯くんがいる中庭に来てください。


 あなたのことが好きで好きでたまらない誰かより』


 ……マジ?いや、マジ?剛田の影響力を受けてないヤツで俺に関心こあるヤツ?心当たりがあるのは平平だけ。いくら剛田の影響力が少ないとはいえこんなことがあるのか!?絶対王者剛田・G・イアンに一矢報いることができるのか!?しかもただの一矢じゃない、老○龍を屠る時とかに使うレベルの巨大な矢だ!これは罌粟角にも池地にも言えねぇ!シークレットミッション!真正面からやってやる!



 放課後、中庭

 以外にもいつもの2人はあっさり帰っていった。罌粟角はソシャゲを回ってチョコを嫁から回収する為に、池地は出会い系で知り合ったママに会うために帰った。シークレットミッションはかなり簡単になった。だが今日はやけに静かだ。去年はムクドリの群れよりもうるさい騒ぎ声が校内から溢れ出ていたのだが、今年はそんなことは全くない。まぁきっと学校の外でやってるんだろう。

 あとは平平を待つだけ。平平の昼の様子はいつも通り。強いて言えばチョコを授業中につまんで怒られたことくらい。


赤飯「……もう15分くらい待ったな。もしかして忘れてる?」

剛田「そんなことないよ!」

 後ろから剛田の大きな声が聞こえる。急に大きな声を出すものだから俺は反射的に荒ぶる鷹のポーズを取って牽制する。

赤飯「!!……剛田?何してんの?」

剛田「え?手紙読んでくれたでしょ?」

赤飯「手紙?……うん。え、でもあれって平平のじゃないの?」

剛田「平平……君のクラスの女子だね。それはどうでもいいでしょ?」

赤飯「は?」


 意味がわからない。あの手紙って平平じゃないの?え?ちがうの?ちょっと待って?おかしくない?この流れじゃ剛田が手紙を出したってことになるじゃん?でもコイツは女に困ることは無い。……うん、余計にわからん。


剛田「僕は君のことが好きで仕方ないんだ」

赤飯「……は?」

剛田「だから付き合ってね」

赤飯「お断りします」

剛田「なんで!?」

赤飯「当然だよ!?お前女に困ってないだろ!?」

剛田「男に困ってるんだよ!あの子が僕の赤飯くんに近づくのが許せないんだ!」

赤飯「俺はお前の彼氏でも彼女でもねぇ!!俺はノンケだ!帰る!!」

剛田「逃がさない……」

赤飯「え、あっ、ちょ!なんでそんな足速いんだよ!?怖い怖い怖い!!!」



 なぜ剛田・G・イアンが女を作らなかったのか。それは至極簡単な話だった。男好きだったからだ。俺はその後彼の身体能力の高さと自分の運動不足をこれでもかと思い知らされる。押し倒され、ワインレッドのコートを剥がされ、制服なんてお構い無しに引きちぎる。

赤飯「ぎゃああああ!!なにしやがる!!離せ!!!」

剛田「君は僕のものだよ。他の女が近くに行かないように僕が注目の的になっていたんだ。なのにあの女は君に色目を使った。許されない。それに君は鼻の下を伸ばして、あわよくば今日にでもラブホでヤるつもりだったんでしょう?許されない。罰として僕と結婚しなさい」

赤飯「ふざけんな!マジでシャレになんねー!あっ、ちょ、そこひやあぁぁあっ!!ケツ……アーッ♂!!」


 それから数年後、俺の名前は剛田五目。テンプレかよってくらい雑に掘られた。童貞だけど男の方が良くなってしまった。毎晩彼氏が激しいからケツ穴がガバガバ。他の人が見たらドン引きすること間違いなし。

ちなみに親友だった罌粟角はあのバレンタインの日、何十人もいる嫁がみんな一斉に実は男の娘だったと告白され画面の中の男が好きになり、池地はママがニューハーフだったせいで自身もニューハーフになった。

平平は後に剛田に群がる女の子達が好きだったことが分かり、当時から剛田が俺に一目置いていたことで生態調査をしていたらしい。誰にも好意は持っていなかったと本人談。


……今振り返るとなんか何もかもが上手くいかなかった気がする。みんなはいいバレンタイン、いい人生にしような!


海老仙高校のバレンタイン




読む価値ないクソSSですまんかったです。反省はしている。後悔はしていない。

宣伝です。普段はなろうの中で『ベテラン勇者のおつかい』という異世界転生物を執筆しております。今結構いいところなので読んでみてください。下記URL、またはなろう内の検索機能で『ベテラン勇者のおつかい』で調べてみてください。

https://ncode.syosetu.com/n4768fk/

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