先輩と後輩の場合
これで完結です。
「うへぇ・・・。先輩見て下さいよ・・・。マジでキモくないですか?」
「コラコラ、そんな言い方をしたら勇者殿に失礼でしょ?」
「はーい。すいませーん」
「勇者殿が居なければ私達は滅ぶしか無いのだから」
「もう、とっくに手遅れだと思いますけどね」
「それでもよ。勇者殿が身を捧げてくれるおかげで人類の寿命が少しだけでも延びるのだから」
「まぁ、そうですね。身体中、管に繋がれて意識もないまま精子工場になってくれてるんですもんね」
「はぁ・・・、言い方よ」
「だって私だったらあんなの耐えられないですもん。あ、意識も無いのに腰振ってるキモーい」
佐藤海はこの世界に召喚され、意識が無いままに拘束され、魔法による強制睡眠を定期的に掛けられ眠り続けていた。
この世界に生存する男は佐藤海のみである。
数百年前、とある青年が大学の研究室で染色体を強制的に書き換える物質を発見し、それが事故により世界中に広まるまでは世界の約半数は男だったのだが。
その後、幾度かの戦争により文明も衰退したが、染色体異常を起こした事による効果なのか魔法というそれまでには実在しなかった概念も誕生していた。
特効薬なる物は発明されず。現在に置いてもこの世界には染色体を強制的に書き換える物質が飛散しており佐藤海の余命は数年程しかなかった。
なのでこの国では定期的に異世界から男を召喚しなんとか生き存えている状態であった。
夢の中では理想のハーレム生活を送っており。
佐藤海は今日もだらしない笑顔をしていた。
お読み頂きありがとうございました。
ちょっと重たい内容でしたがいかがでしたでしょうか?
気分転換に、ほのぼのまったり系だと自分では思ってるんですが連載中の「テンプレ異世界転生も意外と大変」もよろしくお願いします。