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ルナリーナの普通じゃない日常  作者: 脇野やく
第二章 覚醒の儀ともうひとりのルナ カルデア暦2378年 ミドルブルー
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2-10 ベルダの先行投資

良い物は必ずしも売れるとは限らない。良すぎるほど売りづらくなる場合もある。

ベルダはまさにそれだ。

とはいえ、彼女しか作れない魔道具もあるので彼女が食っていけるのはそのお蔭だったりする。

貴族の特別依頼と先行投資した冒険者によって彼女が数千着もの売れない魔道具を作れるのだ。

四百年近く生きたベルダの目はかなりのものです、そんな彼女がルナ達の将来を見込んで先行投資するのもまた普通と言えるでしょうーーその内容を考えなければ、ね

「おっと、そういえば我が盟友よ、そちらにあるのはもしかしてお主の連れか?」

「ん、リンナお母様とエルお姉さま、それと友達のセラとメイドのティナにアンナ」

「おお!これはこれは失礼しました!」

(チラリ…ジロリ)

「おや、おやおや!これはこれは珍しいメンツだな!特異魔法の使い手にユニーク種の魔物、それと変異種の混血…それに覚醒していない二人の嬢ちゃんも才能を感じる!

何より容姿も実に素晴らしい!

いいな!今日は実に最高の日だ!

さっさ!アンタらも来なさい!良い物をあげる!

あああ、いい材料で作らなかった事が悔やまれる!だが財力は普通でもこの偉大なる魔導技師ベルダ様の腕で作った一級品だ!材料が普通でもスーパーでクールな傑作だとその身に刻むが良い!」


そんなの店にある服装を見ればわかる。ルナが得たばかりの服は間違いなく一級品であるだけでなく、それだけでなく店にあるすべての服がそれに並ぶレベル。流石に子供に合う服は結構少ないが、それを量産して作り置きにできることからもベルダが超一流である事がわかる。

それによく見るとそれらは意外にもレベルの低い(腕に比べて低いだけで十分に高い材料です)物だ。一般的子供に悪影響を与えないレベルの魔道具に使われる材料の百分の一にも及ばない値段で買える材料でそれらをたやすく超えるレベルの魔道具を作る、それはつまり人格はともかくベルダの腕は間違いなく異常レベルである最たる証拠だ。

確かに普通なら材料が劣ると性能が同じでも値段が下がる。でもそれはある程度の範囲内の場合に限る。これほどの差が出ると逆に芸術品としての価値が上がる、ましてやそれがデザインなどで値段が激しく変わる服ともなれば尚更だ。

果たしてこれらがどれほどの価値を持つか、恐らくはそれなりの都市一つをまるごと買える程の物だ。


「あの~流石にお支払いが~」

「うん?ああ、いいのいいの、先行投資さ。この子達は間違いなく偉くなるからな!それに作ったはいいが似合う子がいなくて灰をかぶっている物だから心配するな。

流石に材料代と最低限の加工代は頂くが、それぐらいならお主らにとって別に大した額ではないでしょう?」

よく考えると子供用に高い魔道具の服を買うのはそれこそ一級貴族と王族だけだ、そして彼らは御用の職人を持つからオーダーメイドでそれらを買う。そもそもの話としてこういうのは作り置きにしないものというのが相場だ。

ベルダの作品は、それはまさに良いものが必ずしも売れるとは限らない、その一例と言える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

たった数分後、店の中には可愛らしい魔女っ娘コスチュームを着たエルと綺麗な水色のワンピースを着たセラ、そして新しいメイド服を得たアンナとティナがいた。

残念ながらリンナの服は最初から高い魔道具だったので変えなかった。


魔女っ娘コスチュームと水色ワンピースからは強い魔力が感じられる。魔力だけを見ればルナのよりも強いでしょう。

でも最も異常なのは言うまでもなくそこいらの貴族以上の作りのメイド服でしょう。

ベルダは「戦うメイドはロマンだ!ハァハァ」とか言っているが、そんなもん誰も買わん。

もう一度言うがベルダの作品には漏れなく芸術としての価値がつく、しもべにこんなに高い服を買うものはそれこそ王族とかだし、彼らは御用のsy(以下略)

ちなみに、意外にもこれを買ったという物好きがあったのは秘密です。

でも、そんな物好きよりも真にヤバイのは戦うメイド服シリーズを十歳から成人用まで、様々な体型に合うように、そして色違いもそれぞれつくってと百着ぐらい作ったベルダだろう。

白と深い紫色ベースのティナの服とミルク色に黒ベースのアンナの服、それぞれの設計が違う上ピッタリと似合う様に微調整されたそれらからは執念めいた物が感じられる。

そしてそのすべてが騎士団が提供した防具よりも強いのだからベルダの才能の無駄使いがわかるものだ。

それを買い与えたリンナもリンナだが、彼女からすると今日で問題が起こると知った以上、ティナとアンナが戦えるように準備を整える事で我が子を守れるなら安いものだ。

流石に銀行カードの残高が寂しくなってちょっとしょんぼりしたのはここだけの内緒だ


「一応だがこれらの装備には杖としての機能をつけてあるから全身のどこからでも魔法を使えるようにアシストできるだろう。とはいえ、転換率などは最低限の物だから期待しすぎるなよ。

もしも戦ったり、成長とかしたらまた来なさい、調整するからな」

この一言でこれらの装備の価値がまた一桁違うのはもはや考えないことにしよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「「「ありがとうございました」」」」

「うむ!また来るが良い!我が盟友達よ!

こまめに写真をとって送ってくるのを忘れるなよ!」

「「「またね~(きます)」」」

新しい服装を着て一気に存在感が上がった一行は周りの視線を釘付けにしながら別れを告げる。

ちゃっかり記録用魔道具とそれに使う魔結晶を上げて写真を要求する当たり、ベルダは実にいい趣味をしている。


時間は十時十九分、覚醒の儀まであと十一分。

運命の時はもうすぐだ。

セーブポイントは残念ながらありません。

でも装備は整えた。

ならあとはイベント戦に挑むしかあるまい!

明日で覚醒の儀の始まりまで上げます。

その後は少しだけ時間を置いて金曜日の夜と土曜日で数話を新作として連続投稿して、その後は毎日更新です。その時こっちでリンクを貼りますので、ぜひ見てくださいね~


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