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ルナリーナの普通じゃない日常  作者: 脇野やく
第二章 覚醒の儀ともうひとりのルナ カルデア暦2378年 ミドルブルー
23/32

2-3 ルナと覚醒の儀 到着と少しの騒ぎ

時速二百キロを普通に出す車

新幹線以上の速度を普通に出す都内列車のネットワーク

亜音速で空を飛ぶ大魔天輪(バス)

千二百メートルの超巨大建物

東京の数倍の人口密度でありながらゴミなどの問題がなく、その上籠城戦を理論上永遠に続けれる都市

原爆レベルの攻撃を汚染なしでやってのける兵器

こうして羅列するとなんかもうファンタジーというよりもSFのほうがしっくり来るが、これはファンタジーです。


実際のところこれらを作るのに五百年も掛かったのだ。ファンタジー材料と魔法による維持の御蔭で列車の寿命は優に百年を超えるし、レールはメンテナンスさえちゃんとしていればほぼ永久に使える。

こんな世界だが、資源問題は地球より遥かに酷く、だから個人ではこういうものを作れない。

地球ではポンポンと地下鉄を作ってたりするが、それに対してカルデアの都内列車は短い線路一本で都市の予算一年分が全部吹っ飛ぶ。それでも作れたのはひとえに税金が地球より遥かに重いのと歴史の長さにある。

同じく資源問題が原因でそれらの交通工具を都市外で使う余裕はないので、都市間の移動は車がメインでそれもとっても高い。動力原がないからだ。


さて、余談はここまでとして、本編をどうぞ~

いつもは魔天輪で空を飛ぶルナたちにとって地面を走る共通工具の旅は意外にも面白い。


コアタワーから魔力供給を受けた場合なら魔導車は時速200キロを出せるが、覚醒の儀の日はコアタワーからの供給がない。魔石や運転手から動力を得る場合魔導車の出せる速度のばらつきが大きい。本来ならスピードに応じて車道を変えての運転となるが、今日という日に限って言えば地球でも見ないであろう千万人規模の同じ方向への大移動があるのだ。しかもそれを数時間の間に済ませなければならない。本来なら不可能のその移動が滑らかに進むキモ、それは超高密度の都市設計によって出来上がった都内魔導列車。


ルナたちはその魔導列車に乗って覚醒の儀に参加することにした。とは言え、貴族専用の車両なのでちゃんと座ってまったりと外の景色を見れる余裕がある。貴族街を通ってコアタワーへの線路は三本で、貴族かまたは大金を払うかでないと乗れない真北線だけが貴族街の中央を通っている。そのせいでミドルブルー北の部分の人の殆どは貴族街西側を通る北1号線と貴族街東側を通る北2号線を使う。

その大金と限定条件の御蔭で真北線の貴族街部分は地上二十メートルにあるレールに吊り下がり、音もなく最大速度500キロで走れるのだ。その列車の下の床は魔法で作ったガラスで、中から外を見えるが外から車内の光景は見えないように作られており、両側のガラスも暗殺に備えて同じようにできている。こうしてルナとエルは興味津々の様子で外を眺めていられるのもそれらのおかげだ。


では、何故彼女たちは魔導車ではなく列車に乗っているのでしょうか?

毎年恒例の事だが魔導車が渋滞したせいで残念無念また来年となってしまう者が多く、しかもその殆どは高いお金を払った貴族だったりする。というよりも魔導車を持っている者なら覚醒の儀の日に貴族に貸し出してひと稼ぎするのはもはや当たり前のことで、平民は魔導車を持ってもこの日は使わないのだ。

そしてその結果、個人用車は全部貴族街から出発するというなんとも言えない状況の出来上がり。なので公共交通のバスとかもかなり楽で遅刻しない。


それでも列車に乗らない者共の理由は「平民と同じ車に乗るなんてたとえ車両が違っても嫌」

というのも折角の祝日だからと真北線に乗る平民が多いからテロの防犯という意味では実のところ、それで正しかったりするのだ。

完全には否定できないのも困るものだ。

とはいえ、車の方が危険だという事は賢い者ならわかること。渋滞して止まってしまった車はそれこそいい的だ。

魔導列車の方が安全でいて速い、そうわかる者なら列車を選ぶのは当然の結果といえる。


さて、魔導列車に乗ってたった五分で終点駅、コアタワー第五階層北部にたどり着いたルナたち

現在時刻、九時零三分、儀式は朝十時からはじまるのでまだまだ余裕がある。それにそもそもの話として十時からのは主催者の有り難いお言葉であって正式に覚醒の儀がはじまるのは十時半であり、実のところコアタワーの中にさえいればどこに居ても覚醒できる。

考えても見ればわかることだが三百万人の子供に加えてその親と親戚、総数一千万に届きかねない人数を一つの階層に集めるのはどう見ても無理の話だ。主催者の有り難いお言葉は要請された貴族の一部が聞きに行くだけである。


そしてその要請される貴族の中にはマキナ家がいない、というのも要請されるのは当主だけで、その当主がいないマキナ家に用はないのであった。

それでもはやくきたのは余裕を持ちたいのと後々でここは混むからだ。

でもここにあるのは我らが主人公、主人公がいるのに問題が起こらないなんてことがあろうか?否、あろうはずもない!予定調合が如く主人公あるところに騒ぎあり、ルナたちが列車から降りて上の階層へ行こうと歩き出したまさにその時、前方で騒ぎが起きた。


「道を開け!ロランディ家が長女であられるセヴェーラ様の御通りだ!」

そう言いながら通行人たちを押し退ける傲慢で高圧的の兵士が四人。不満の表情をしながらモーゼの奇跡のように割れていく人の群れを見て満足気にニヤつく兵士たち、マジでうざい。

では、そんな四人の兵士が護衛している者とは?

彼らに囲まれているもの、それは青いロングヘアに気の弱そうな顔をした儚げな美少女であった。

兵士達の言葉を信じるなら少女の名前は『セヴェーラ・ロランディ』、そして今日の儀式をもって『セヴェーラ・B・ロランディ』となるのでしょう。


ロランディ二等貴族家は名の売れた家だ、ただし悪い意味で。傲慢キチで厭味ったらしい、高圧的でいて無能。祖先の功績を笠に着る悪い意味での典型的な貴族だ。このままなら今代で三等に墜ちるという噂が絶たず、その上黒い噂も絶たない。誰も付き合いたくない、そんな家だ。

でもどうやらセヴェーラはそんなロランディ家にそぐわない性格をしているようだ。気弱げな外表に似て、セヴェーラはあわあわと慌てている。


護衛たちの蛮行に異議を唱えたい、でもごんな場でそんなことはできない。かと言って止めないのも……それに後で言っては遅いし聞かないでしょう……どうしよう~どうしよう~どうしよう~あわわわわ

と言った事がそのままその顔に出しているセヴェーラであった。流石に明らかすぎるので、道を開けた者達も(あ、これは)と察して、だからこそ文句を飲み込めた。もしもこれが狙ってやっているのなら最強の女優の称号をあげてもいいレベルだ。


そして誠に残念なことに、ルナたちはそんな五人の通行方向にある。

衝突はすぐそこまで迫ってきた。

傲慢貴族って多いがセヴェーラのような貴族は殆ど見ないでしょう?

だから作った。

はたして彼女たちの行方はいかに?


ちなみにこの物語で名前が出るものは今後物語に関連する者が殆どです。メインであれ、サブであれ、ヴィランであれ、完全なモブではない者です。でもボツキャラの名残りで一回だけ名前があるモブもいたりするけれどね。

会話の流れで名前を入れなければおかしい場合は仕方ないので『モブA』とかそういった呼び方をする。


線路名とか地名とかを出しすぎるのも良くないので、安直の名付けにした。真北線とかもう、ね~


もし面白ければブックマークや感想、それと誤字報告、して下さると嬉しいね~

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