0-0 空白の三ヶ月
初めまして、脇野やくです。
初めのページでこういうのもなんですが、1-6.5までの文章はクオリティが低いのでいずれ書き直します。初めての方は1-7から1-10までを見ていただいてから続きを読むかを判断してくださると嬉しいです。
先ずはプロローグ、多分今後もこう言ったダークな話が多少でるので、嫌いでしたらスキップするか、閉じてください。
ダークな世界でも暖かいことがある、そんな物語を目指しています。
今回は物語前の話です。見たほうが物語を理解しやすくなりますが、飛んでもある程度読めます。
カルデア暦2370年11月、天龍帝国においてたった数人の子供しか生まれなかった。
どう見ても異常な事態、しかし政府は前以ってこう宣告した:
『今月生まれる筈の子供は来月になってから産気つきます。
これは想定された事態です。
ご心配入りません。勇者の誕生の準備は着々と進んでおります。
天龍帝国政府は妊娠した方々に約束通りの褒美を与えます。
出産予定期が今月、来月及び再来月の妊婦は予定された時間、政府病院へ来てください
此度勇者生誕の儀による治療は天龍帝国政府によって提供いたします
また、褒美は子供の生まれに伴ってお渡しします』
この宣告こそ、空白の三ヶ月の始まり。
その後三ヶ月間、天龍帝国において生きて産まれた子供はたった76人
これが新たな戦争の始まりであり、乱世の始まりである
ーー《第二次大陸戦争について》より
----------------------------------------------------------------------------------
2370年1月、天龍帝国政府による知らせは世界にショックを与えた。
曰く、2月から4月で妊娠し、規定された時間で薬を飲むと、その者一族の五年の税金を免除し、褒美を与え、もし産んだ子供が勇者だったらその一族を五等貴族とする
曰く、三等並び以下の適齢の既婚貴族はその要求に応える義務があり、妊娠しなかったら応えるために動いた証拠を提供しなければならない
曰く、町や村にも人数によって決められた評価があり、妊娠の比率が多ければ今後数年政府による優待がある
曰く、要求された時期でもしも薬を飲まずに子供を産むと、産んだ子供は国民として認められない
曰く、これは正義のための行いであり、異世界から勇者を呼ぶために必要なこと
曰く、勇者は国に多大なる利益をもたらす
曰く、…………
いかにも裏があるお知らせ
それだけなら恐らく数百万人しか従わなかったでしょう
けれどもそうはならなかった
民にとって最も大きな理由、それは五年間の税金の引き上げ。
『適齢にも拘らずそれ従わなかった場合、人頭税が三倍になる』
恐怖、パニック……平民にその様な税金を払えるはずもなく、故に2月から4月の間妊娠したものの数、一億を超える。
そして……その一億を超える子供のうち、生きて産まれたのはたった73人、そのうち32人が12月生まれで勇者として扱われ、他44人は11月と翌年一月生まれで、44人のうち41人が3歳になる前にこの世から去った。
十二年後、勇者29人のうち、17人が様々な死に方を遂げてしまい、たった12人しか成年まで生き残れた。
結果として2370年11月から翌年1月までの間、天龍帝国で産まれて成年した者はたった15人、それを空白の三ヶ月と呼ぶ。
ーー《空白の三ヶ月・あらすじ》より
----------------------------------------------------------------------------------
蠱毒と言うものをご存知でしょうか?
空白の三ヶ月と呼ばれる事件は正に歴史上最大な蠱毒です。
一億を超える胎児を対象として呪いをかけて
毎日異界の扉を開くまで産まれようとする赤ん坊から生命力を、魔力を、魂を、そして何よりも、呪いを吸い集め、扉が開いた後は呪いによって生き残った赤ん坊の見えざる命の争い…
それにより、毎日最も勇者にふさわしい肉体のみ生き残り、そこに異界からの魂をねじ込んで縛り付けることによって強靭な器と特別な魂を併せ持つ傑作が出来上がるのです。
でも勝者が蠱毒を生き残ったものの、癒しきれなかった傷によって死ぬと言うのもまた一般的なことです。
勇者のうち三人はそれによって死んだ。
また、30日目の争いは最も激しかったせいか、三十人目の勇者が現れませんでしたが、天龍帝国の魔法使いは最後の二つの器が相打ちしたせいと判断した。
まあ、真実は闇の中、もしかしたら三十人目は隷属から逃れたかもしれませんね。
いずれにせよ、ああああ!恐ろしい!恐ろしい!人とは何と罪深い生き物よ!だからこそ見ていて飽きることが無いさ。
ーー《物語で分かる邪法の歴史・蠱毒の巻》より
倫理とはとても難しい問題です。日本ってとっても幸せですよ~
日本のブラック企業のブラックさなどアフリカの鉱夫の足元にも及びません。
世界規模の戦争が一触即発な世界において人権とは実に無意味なものです。
だからこそ主人公が生まれるのです。