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ルナリーナの普通じゃない日常  作者: 脇野やく
第一章 ルナリーナ、7歳 カルデア暦2378年 ミドルブルー
18/32

1-11 模擬戦の後

悪目立ちという言葉があるが

ルナのやったこととは正にそれだろう。

力だけで世界が回る訳ではない、だからそんなルナを受け入れないものも当然ある。

そしてプライドや嫉妬などもね。

それでも大きな問題にはならないのはある程度交流を深めた後だからだ。

もしもこれがルナが来た初日で行われたら最早誰も彼女を受け入れない。

ある意味、これは初日冒険者ギルドに行ってテンプレの模擬戦をすると何故か熱く歓迎されるそういった小説へのアンチとも言えるし、外表とか生まれとかで差別する奴は友達にする価値もない系学園ものへのアンチとも言える。

それについては短編エッセイとして書くつもりです。

善人と悪人は見方次第。でもそれを上手く伝える技量を私は持っていないし、もしも誰も簡単に出来たら世界中皆大作家でしょう。それでも蛇足とわかっていながらこんなシリアスを挟むのは単純に自我満足です。


では、本編をどうぞ

疲れ切ったルナは今、ベンチで休んでいる

ちょっとあかく火照る体は幼いゆえにまだまだ色気を感じさせないものの、いつもの彼女とはまた異なる可愛らしさがある。でもその目はキラキラと目の前を食い入る様に見ている。

彼女の前では自分との模擬戦を終えてからちょっとだけ休んだ後すぐに訓練に精を出すルーペルトがいる。どうやらリベンジのために技術を盗んでいるようだ。

その隣ではダフネが彼女の汗を拭いてたり、水を飲ませたりと世話している。その目は何処と無く妖しく光っており、どう見てもホの字です、有難うございます。


今、ルーペルトは同期の見習い騎士たちと組手を行っている。相対する相手は三人、包囲されながらもしかし余裕の顔を崩さないルーペルト。

一瞬だけの時間差を挟む様に続けられる三人の交代攻撃をまるで柳の様に剣で滑らせるルーペルト。ルナ相手の丁寧ないなし方ではなく相手の攻撃に合わせながらも離れる瞬間だけ力を入れて負担を掛けるそのやり方は場合によってそれだけで手首などを壊しかねないエグい技だ。

そんな彼らの戦いだが、その一撃一撃のスピードやパワーはルナとの戦い方の十倍以上。闘気によって強化されたルーペルトとモブ騎士たちは四人とも音速に達するスピードでその武器を振るう。

闘牛の様にいなされた騎士たちが闘牛など目じゃないスピードから空気を蹴ってまたルーペルトに向かうその光景だけを見るとさっきルナたちの模擬戦など子供のおままごとのように見えるでしょうーー但しそれは現象としての話だ。


相手側の三人は確かにルナより遥かに早い連撃を繋げている。でも彼らの剣を振るう速度がルナの二十倍ぐらいなのに対して、その連撃のペースはルナが最後に見せたもののたった五倍。無論それを単純に計算するのは良くない話だが、それでも事実として彼らは連撃の技量という面においてルナに超えられてしまったのだ。

よく見ると彼ら三人は焦っている。それはルナという七歳児に超えられた事への焦りか、はたまたはルナを見て来る戦争への想像によるものか?恐らくは両方でしょう。


訓練場を見回すと焦っているのは彼ら三人だけではないことに気付く。彼らと戦っているルーペルトにも、ルナの隣で看護しているダフネにも、それだけでなく先程のルナの活躍を見たすべての者に焦りを感じる。

あるものは嫉妬した、あるものは絶望した、あるものは頑張ろうと思った、あるものは逆恨みした、あるものは未来に慄いた、あるものは恐怖した、あるものは諦めた……ルナは子供らしく人の感情には敏感だが人を理解することは全く持ってダメダメだった。故にこそかもしれないが、彼女はやりすぎてしまった。

すべてのものに受け入れられるというのは殆ど不可能のことだ。やらかす前でもそれなりの者はルナをよく思ってはいなかった。それが蓋を開けてみればどうだ?自分達の努力を、プライドを、すべてをグチャグチャにしたのだ。不満が脅威という確かなものとして固定されて、やがては騎士団の中でルナを受け入れるものとそうでないものに分かれるでしょう。

とはいえ、受け入れられなくともルナの実力は確かなもの、その父の地位もまたそうである以上、これは不和の元にはなれど実際の問題にはならない。この問題が実際に衝突となるのはまだまだ先の話だし、その時にはルナが簡単に彼ら全員を捻り潰せるため、脅威たり得ないでしょう。


実はルーペルトもかなり嫉妬した。何せ彼が戦技を得たのは十三歳、卒業寸前の頃ダンジョンでピンチに合った時だ。それがルナはたった一日、否、たった半時間でその域に達した。嫉妬しない筈がない。それでも彼はそんなルナを受け入れるのは彼がルナをすでに知っているからだ。性格の問題で済ませるものではなく、知り合っているからだと言うのがみそ。彼は聖人ではない。初日にルナに絡むことからも分かるように彼の器も別に広くないことが分かる、結果としては受け入れた、ただそれだけ。

そう、人の良いやつであっても知らないが故によく思わないのは当たり前なこと。別にルナを受け入れない、嫉妬するから悪い奴だと判断してはならないしルナを受け入れたからいいヤツだと決め付けてはいけない。


ルナはまだ人との付き合い方を知らない。でもダフネが、家族と僕達が、将来得るであろう新しい出会いが、そして来週の覚醒の儀にてルナの中に蘇るもう一つの彼女が、導くでしょうーー故にこのやらかしの結末はそう酷いものともならない、そしてそのルナを受け入れない良いヤツたちもそうひどい目には合わないでしょう。


こうしてルナの初めての模擬戦は騎士団の訓練に火をつけ、新しい武器、新しい技術、そして敗北と少しのしこりとなって終わった。十全十美とは行かないのもまた世の常、確かな収穫があれば一応はそれを目出度い事としましょう。

そして観戦してさらに技術を盗んだルナは疲れて寝てしまい、それをダフネが魔天輪で家まで送ったとさ。

めでたしめでたし




「ぅぅあ

あれ?ここは?

「ぅぅうん?あれ」

ちょ、お嬢様はどこに」

ああ、そういえば護衛の二人は伸びたまま送られたね、

「バカモン共、今は何時だとおもっとる!

!@#$%^&…………

*()%$#@…………

今月の給料は罰として抜きだ!それとルナお嬢様の護衛も他に変えるから今後の給料も半分になるとしれ!

分かったらさっさとそのだらしのない面を洗ってこい!」

うん、まあ、給料一ヶ月分と降職で済んて良かったね。正直、心底から同情します。

でももう騎士団支部とかへ行かなくとも済むのですからもしかすると彼らにとっては幸運だったり?

「な、そ、そんな殺生な!給料半減だなんて、彼女に振られる、ど、どうかそれだけはお辞めください」

「い、いや、それだけは!そんな事になったら女房に殺されちまう!!ど、どうかご再考を!」

うん、やっぱりそうでもないようだ。南無南無

締まらない終わり、でもそれでシリアスを見た後の気持ちをある程度戻せたらと思ってこんな終わり方にしました。

ネット小説はやっぱりストレスを発散するために読むものが多いので、こういうバランスを取らないとダメだよな~


もし面白ければブックマークや感想、それと誤字報告、して下さると嬉しいね~

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