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ルナリーナの普通じゃない日常  作者: 脇野やく
第一章 ルナリーナ、7歳 カルデア暦2378年 ミドルブルー
17/32

1-10 真白の少女と初めての模擬戦 2

いなしても無理をされて怪我することはないと確信したルーペルト、彼は本来のスタイルをもって応戦することにした。

その若さで騎士になった彼の実力は確かなもの。

そんな彼に勝てない戦いを挑むルナ、彼女はどんな形で負けるのでしょうか?

まだまだファンタジーな能力が殆どない戦いなので華麗さは期待しないでくださいね


それでは本編をどうぞ

二度目の仕切り直しによって本気モードに入ったルナとルーペルト、二人は同時に踏み出した。

ルナの倍にあるルーペルトの速度、それに対して怯まずに挑むルナ。

ルーペルトの間合いに入ろうとした瞬間、ルナは左に回り込もうとする

でもそれを読んでいたルーペルトは合わせて右へ軌跡を変えた。

足元へ振るわれる剣を悪手と分かっていながらも今度は大胆に上へ飛んで回避するルナ。体を回転させて慣性をつけて、メイスを容赦なくルーペルトの頭へ振るう。

今回はルーペルトもある程度本気を出すと決めていたからか、その一撃は引き返された剣によって勢いを殺されずにいなされた。回転を抑えきれず、半空でバランスを失いかけたルナはそれをどうにか下からの振り上げに繋げて牽制して着地する。

もしもこれが実戦だったら今ので間違いなく負けたであろうことはルナとてわかっている。それでも諦めたくないのか、体制を立て直した彼女はまたメイスを構え直す。

これで諦める訳がないことぐらい、ルーペルトもわかっているので、彼もまた言葉もなく構え直した。

どうやらルナは馬鹿な真似をして怪我することはないと確信したルーペルトはその本来のスタイルでルナと戦う様になったみたい。


今回はゆっくりと、少しずつルーペルトに近寄って行くルナ。

間合いまで半歩の時、今度は急いでバックステップで距離を取る。次の瞬間彼女のいた場所をルーペルトの剣が通った。

それに合わせてルナは一歩踏み出したばかりのルーペルトへ突撃する。

今度は突き出されるメイス。でもルーペルトは右足を半歩下がらせて回避した。

左前方へ廻るルナ、更に右足を左後方へ下がらせるルーペルト

至近距離で回っている二人はまるでダンスを踊っているかの様に見える。

ルーペルトはルナに攻めさせない様に合わせている、それに対してルナは時々リズムを変える事によってルーペルトに隙を作ろうとして攻めあぐねている。

そうして数週回って先に痺れを切らしたのはやっぱりルナ。

左前方へ回りながら逆方向に体を回転させてメイスを振るったものの、やっぱりルーペルトにいなされて体制を崩される。


二回目の敗北。そこからルナが学んだことは大振りの攻撃ではルーペルトに簡単に崩されること。

まだまだいなされない様にする技量を得ていないルナに遺された選択肢はいなされても負けない様にすること、又はいなす余裕を与えない様に隙をつくことだ。

そうして彼女の考えた攻略法とはスキの少ない攻撃を連撃するという簡単なもの。

しかしそんな彼女の考えは漏れ漏れだったりする。

計略や騙し討などを言葉として学んでいても精神的に幼すぎる彼女はそれらを思考回路に取り組んでおらず、故にその考えや行動はある程度慣れると読みやすい。良くも悪くも赤ん坊のように素直な彼女に内心もし訳なさを感じているルーペルトだ。


少し息が乱れているルナ

今度もやっぱり彼女の方から仕掛けていく。

小振りでスキの少ない攻撃を意識しての軽い連撃を繰り出して行く。突き、振り上げ、振り上げ、更に突き。それに合わせてルーペルトは小さく剣を走らせて合わせていなしていく。

ルーペルトの剣とルナのメイスが接触する際、金属がぶつかり合う声は聞こえない。それは接触する瞬間、両者の速度が殆ど同じであることを示している。それを見ればいかにルーペルトの技量が高いのかが分かる。

かと言ってルナもその接触の瞬間を狙って力の入れ方を変えるつもりはない。そんなことをすれば自分だけ怪我するという結末が待っているとちゃんと理解しているからだ。


連撃とはいなされることや避けられることを想定してのもの。頚動脈を切れば殆どの生き物は即死の戦闘でちゃんと命中すれば連撃も何もない故に連撃を出す必要性とはそういうものだ。

そしてそれに必要なのものは意外にも多い。スキの少ない動き、立て直しの速さ、避けたあとの相手を捉える能力、選べる動きのバリエーション、即時の判断力……連撃の極みとは一撃必殺とはまた別の可能性、それにも無限の


初撃がいなされ、まだ二撃目の準備すら整えていない自分と既に二撃目を今か今かと待ち構えているルーペルトを見てで連撃の技量の差を理解してしまった。それでも諦めないのはルナの良い所と言えるでしょう。

続く連撃、その尽くがより早い連撃によって容易くいなされる。いなされた次の瞬間には剣を引き返さずとも既に次に備えるルーペルト、いなされたあと硬直して、更にはメイスを引き戻さないと次に繋げないルナ。数回のやり取りで簡単に分かる、こと連撃においてルナが殆ど全てにおいて劣っている


ルナの息が少しずつ荒くなる、でもその攻撃のリズムは乱れない。

それどころか彼女の攻撃は少しづつだが確実に早く、鋭く、それでいてスキが少なくなっていく。

始めから一人前のメイス捌きをしてみせたルナだか忘れてはいけない、彼女は初めてメイスを使う初心者だ。そしてそんな彼女の技量は初めての実践を通して着実に高くなっていく。ルーペルトの身のこなしを盗んでいるのだ。それに気づいているルーペルトもその技術を惜しみ無く見せている。

常に自分より早い剣、それを見てルナは迷いなく自分の物にする。

得意分野であるが故にスピードをルナと同レベルに落としてもなお圧倒できるルーペルト、圧倒されていながらも目をキラキラさせて戦うルナ。

二人のやり取りは十分も続いたあと、ルナがゆっくりペースを落とすことによって幕を閉じて行こうとした。ルナの体力切れだ。

とはいえ、それでもまだ続くルナ。体力切れによって無駄が大きくなって更に体力を消耗する者が多いと言われているが、ルナはどうやらその逆のようだ。


無心になって行くルナの攻撃はそのスピードと鋭さを保っている。本能と勘によって効率的な行動をとる彼女は何処と無く虚ろな目をしている。

流石にこれを続くのはヤバイと思ってルナを止めようとルーペルトが思った時、ルナは一瞬動きを止めたあと、そのスキをついて今までのどの攻撃よりも鋭い一撃を唐突に放った。

前の一撃がいなされたばかりで手が前方に伸ばしきっていた筈のルナの手はまるで最近から引き返されていたかの様に体の右前方から前方へ突き出され、その身体能力ではありえない音速以上のスピードで突き出されるメイス。

それに対してルーペルトは驚きながらも躊躇に青い闘気を放ち、手で優しくその一撃を止めた。

遅れて聞こえるパンという音の壁が突き破られる声

静止する二人。

数秒後、ルナの目に光が戻ったのを見てルーペルトがメイスから手を離した。


静まり返る場、それを破ったのはダフネの拍手。

それに続く観衆の騎士たちの拍手とルナを褒め称える声を背景に、ダフネがルナを近くにあるベンチまで支えて行く。


たった二十分足らずの模擬戦、その短時間でルナは一流の戦士のみ得られるとされた奥義、戦技を手に入れて見せたことで幕を下ろす。


ルナの初めての戦技、覚醒の儀を持って『瞬突き・零』と名付かれるその戦技は

如何なる体制からでも瞬時に強力な一突きを繰り出せるその戦技は必殺技としては威力も速度も弱いもののそれでも戦技足り得るものであり、尚且戦技に有るまじきスキのなさと殆ど体力を使わずに連発出来ることから途轍もなく使い勝手が良いものだ。

後になって訓練によって『瞬撃・零』に進化して瞬時に全ての種類の基本攻撃動作を出せる様になるぶっ壊れたチート戦技、その原型。

如何なる体制からでも繰り出せる攻撃の全てが戦技、というヤバイ戦い方をするルナのスタイルの原点となる技だ

因みに戦技とは軌跡シリーズのCP100消耗のあれに相当する必殺技です。ルナが最後に使ったあれです。

この世界では戦技は必ずしも闘気や魔力を使わずに魂の力で現実を書き換える現象の一種を指す。それに闘気や魔力を加えると掛け算方式で増幅されて恐ろしい力となる。

ではどうやって判別するかというと答えはなんとなくとしか言えない。異世界の法則によって戦技とは戦技であると決められている、それ以上でもそれ以下でもない。

そんな戦技は騎士団でも使えるものはそういない。メタいことを言うとゲームでは主要キャラしか必殺技を持たないのと同じですね。

因みに戦技以外のそういったものはギフトとか理とかですが、ここではグダグダ言いません。


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