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ルナリーナの普通じゃない日常  作者: 脇野やく
第一章 ルナリーナ、7歳 カルデア暦2378年 ミドルブルー
14/32

1-7 真白の少女と初めての武術授業

戦いにおいて最も大事なのは何なのか、其れに対する答えはきっと人それぞれでしょう。

剣の腕がよくとも、剣がないと意味を持たない。でも剣術で育った立ち回りを用いて避ける事や先を読む事が出来るから凄腕の剣士は剣がなくとも強い。

どんな武器を使おうとも歩法や呼吸法などはある程度効くと言う意味では確かに凄いでしょう。

でももしも相手の速度が数倍早いとどうなるのか?先を読んでも体制がちゃんとしていようとも物理的に避けられない、そんな敵があれば歩法など意味ない。

人は生身で既に近距離から撃たれた後の銃弾を避けられない。避けれるとしたら其れは撃たれる前に射線から逃げた場合だ。機械による自動エイムなどで撃たれるマシンガンを正面から避けれるとしたら其れは人間じゃない。

そしてそんな人間と銃弾の差と同レベルのどうしようもない力量差はカルデアの強者と弱者の間では普通にある。

真なる化け物相手に技術など意味ない。かと言って身体能力が近いと技術が大事。

故にこそこの問題の最も正しい答えは何とも無意味なもの、即ち総てが大事と言えるかもしれない。

だが、武器すら決めていない新人にとって大事なのは勿論全てに活かせる基本、つまり体づくりと歩法、それに呼吸法などだ。

余談だが何故か今歩法をググると太極拳が殆どですが、 私はどちらかと言うと歩法と言う方がしっくりくる。何故なら歩法とは腰や重心などを含めているのに対して、足さばきと言う言葉は字面上は足に重きを置いているように聞こえるからだ。

実際は足さばきでも腰や重心が大事だが文字としては、なので個人としての習慣とも言える。


それでは、本編をどうぞ。

ミドルブルー大空洞第一訓練場の隅っこ、そこでは一人の少女が三人の男に囲まれている

こう言うと何ともヤバイ画面に聞こえるが、なんて事はない、ルナとルーペルトに護衛二人だ。

「さて、やるとは言ったもののアンタに合う訓練用武器がないからなぁ

短剣は…やっぱ持ち手も会わねえし、重心も違うからダメだな

それに子供の内に筋肉とかも付け過ぎるとダメだし、うんん」

騎士団の訓練場に子供の用のもの訓練装備があるはずもない、ルーペルトは困り顔で頭をかく。

「それならやっぱり止めましょうよ、お嬢様!」

「そうよ、怪我とかしたら危ないよ、お嬢様」

「五月蠅い、黙って」「うるせぇ!黙れ!」

想定外のルナの宣言を受けて一時固まっていた護衛二人は今になって気が付いたか、ルーペルトの言葉に乗ってやめさせようとするも一蹴された。哀れ。

…………

……

暫く考えた後、ルーペルトは「あ!っそうだ!」と何かが閃いたようだ。

「そう言えばアンタ、確かダンスを学んでたよな!」

「ん」コクリと頷くルナ

「んじゃ、今日はステップの練習をしよう!」

「?」コテンと頭を傾げるルナ

「いいか、ステップはとても大事なものだぞ!

俺たちは人間だ、そんでもって人間は脆いもんだ。

ドラゴンの様な化け物の攻撃に掠りでもすればそれだけで簡単に死んじまう

だから当たらないようにする必要がある

特に新人の内は受け流す技量など無いからな、そん時は避けるのが一番簡単だ。

そして避けるだけでもダメだ

避けたあと、ちゃんと直ぐに動けるようにする事が大事だ。そのためにゃちゃんとした技術がいる。ステップが上手いとそれだけで生き残る確率が上がるからな。

それにアンタはまだどんな武器を使うか決めていないのでどんな武器でも無駄にならない物を教えた方がいいしな。」

「ん、分かった」

「おお、ちゃんと分かったか、偉いぞ!」

「だから、早く」

「……なあ、ホントに分かったよな?」

「ん」

「はぁ…

兎も角、先ずは俺が基本の歩法を見せてやるからよく見ときな」

如何やら脳筋は教え方も脳筋のようだ。

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一通りの歩法を見せただけで直ぐにやってみろと言うルーペルトもルーペルトだが、見せられた歩法を総て完璧に繰り返して見せたルナには呆れるほかないでしょう。

「マジかよ」ルーペルトはまるで信じられないものを見たかのように口をあんぐりとした。出来ないと思っているならやらせるじゃないよ、この脳筋め!

「ん!」無表情で見つめ返すルナの顔はどことなく自慢げに見える。表情筋が死んでいなければうざいドヤ顔になっている事でしょう。いえ、可愛いのであざといドヤ顔かもしれませんね。

「俺、そこまでできるようになるのに数週間は掛かった筈だぞ

もしかしてやった事あんのか?」

「ないよ?」

「ホントに?」

「うん」

「マジかぁ…自信、無くすぞ」

「それよりも、次」

「分かった分かった、んじゃ、次はそうだなぁ

おい、そこのアンタら、俺に攻撃してみな」


「「え、ええええええええええええ?」ホン、本気ですか?」

「本気だ」

「お、俺たち2人一緒にですか?」

「そうだ」

「ぶ、武器をつかってですか?」

「そうだ」

「い、いやいや、流石に其れは俺たちを舐めすぎてないか?」

「グダグダ言わねえでさっさとやれ」

「怪、怪我をしてもし、知りませんからな」

「いいからさっさとやれ」

「ほ、ホントにやりますよ?」

「くどい」

「い、行くぞ!

「えいや!」」

2人の護衛から繰り出される攻撃は意外にもこれまでの彼らのヘタレっぷりからは想像できない程洗練されたものだった。真っ直ぐの剣筋、ちゃんとした踏み込み、両側から同時に繰り出されるそれらは明らかに練習されたことがある良い連携だった。流石に貴族の護衛なだけあってその練度は一般的な兵士よりも高い。

「お?っと、意外にもやるじゃねえか」そう言いながらも涼しい顔で避けるルーペルト、キミこそ今までの脳筋っぷりとは見間違える程の軽やかなステップではないか。

避けられた後、速やかに追撃の連携を繰り出す二人、全て躱されているのにそれらの攻撃が互いにぶつかる事も邪魔することもなく、同時攻撃や時間差をつけての誘導連携、時には互いの体重を利用しての回転攻撃を繰り出す彼ら、でもその顔にははっきりと焦りの色が浮かんでいる。

ルーペルトは別に彼らより早く動いているわけではない。その筈なのに何故か攻撃が当たらない。そしてそれが何故なのかも理解できない。両方の技量の差がはっきりと見えるやり取りだ。

一対多の立ち回りとは常に敵を盾にして同時にされないようにすること。

でも言うは易く行うは難し。それをするにはすべての敵の位置関係とその場の地形、相手のリーチなどを正しく把握する必要があるが、それを行うことは集中の分散を意味する。それだけでなく、一対一の戦闘の経験が邪魔する場合もある。と言うのも一対一の戦闘では隙を作らずに反撃するために最小限の動きで回避することが要求されるのに対して一対多の戦闘では位置の方が重要な時が多いため、一対一に慣れた者が一体多の戦闘でピンチに合うとき、躊躇な動きで不利な位置取りをする。そう言った癖を出さない為にはピンチに会わないように余裕を持つか、厳しい訓練と様々な経験を積む必要がある。

そしてルーペルトはその若さ故に経験不足が目立つのにも関わらずこうやって正しく立ち回っていられるのは無論、前者が原因だ。つまり両方の技量にはそれだけの差があると言う訳だ。

現にルーペルトは一体多の立ち回りをルナに説明しながら攻撃を躱し続けている。

まるで数瞬先の光景が見えているかのように相手が切りかかってくる時にはすでに回避が行われている光景から動きが読まれていると分かっていても、しかし二人にはどうしようもないく、只々今まで育ってきた。連携と剣術を頼りに攻撃を続ける他なかった。

やがて二人の方がの息が乱れて行き、剣のキレと連携が徐々に荒くなっていく。すると遂にはミスをして同士討ちを冒してしまった。

そこからは最早立ち直るすべなどなく、初めて二十分足らずにして場に立っているのはルーペルトのみとなった。

「まあ、意外にもいい連携だったな、正直見直したぞ」

力尽きて地面にうつ伏せているのに二人、そう言われても何の慰めにもならないでしょう。それに、そもそも彼らにそれを聞く余裕があるかすらも疑問だ。

「と、まぁ、これは歩法だけで出来るもんではないが、それでもこれで立ち回りの大事さがある程度わかるだろう?」

ルーペルトはその脳筋の性格とは違い、どちらかと言うと技術タイプの剣士で、それも先読みと流れを合わせて掌握することが得意だ。その性格とは違ってね。

そして意外にもしっかりと戦える護衛二人ですが、初めての具体的な戦闘シーンは主人公にあげると決めているので過程は略します。報われないね~南無


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