1-6 真白の少女の日常 ミドルブルー・コアタワー・地下37階・護衛騎士団地下支部
自分でも分かるほど、1-6.5までの文章はクオリティが低いのでいずれ書き直します。それまでの文章は殆ど日常だから飛んで問題ありませんので、初めての方は1-7から1-10までを見ていただいてから続きを読むかを判断してくださると嬉しいです。
カルデアはファンタジー世界なだけあって「都市が魔物に包囲される」と言ったシチュエーションが多い。そんな世界の超巨大都市は地球よりも戦を想定しているのも別におかしくないでしょう?
現代の大都市は包囲された場合、とっても弱い。
その中でも最も大きな問題は物資の問題です。
食料や水、それに燃料
それにも備える事が出来るミドルブルーは実際のところ、私なりに考えた「籠城戦可能な数千万人クラスの大都市」の一つの形です。物資を運びこめないなら籠城しても総ての物資を賄えるようにすれば良いのです。簡単でしょう?
それでは、本編をどうぞ
ミドルブルー・コアタワー・地下37階 通称『大空洞』
そこは地下でありながら太陽が浮び、風が吹く特別な空間。地下深く故にミドルブルー地下全体を納め、更に空間魔法によって拡張されたその異界の半径は100キロメートル、面積にして三万平方キロメートル以上。
戦略級魔法『レーヴァテイン』の運用によってソラの柱から引いて来た光は紛れもなく太陽の光、極大魔法によって制御された天候はその時の都合によって調整され、ダンジョンに繋がる抜け道から何時でも魔物を引き出せる。
この空間こそがミドルブルー護衛騎士団第六大隊・独立機動隊『ペガサス』の管理する訓練場にして屯所、否、異界と言った方がいいかもしれない。
その存在目的は訓練場と籠城戦の準備。
平常時は様々な環境をシミュレートできる騎士団や帝国軍の訓練場。総ての地形、総ての気候での作戦訓練を行えるからこそ騎士団と帝国軍はその強さを保てるのだ。
でも、もしもミドルブルーが敵軍に囲まれてしまい、外からの物資が断たれた場合、ダンジョンとの連結を開けてそこから物資を得られる訳だ。
因みに、余りのコストによって大空洞を持つのは帝国でも天楽城とミドルブルーだけ。その為毎日、全国から訓練の為にかなりの数の軍人が派遣されてくる
そんな大空洞の中央にある建物たちは騎士団と軍人たちが訓練する際に使う拠点。その中央にある最も大きな建物こそ騎士たちの方が訓練を行うための拠点、ミドルブルー護衛騎士団地下支部だ。ジークフリードはその支部長にして騎士団の副団長を勤めている。
そしてその隣には大空洞第一訓練場、騎士たちの訓練場だ。
さて、そんなミドルブルー護衛騎士団地下支部にある来客用エレベーターから一人の少女と二人の男が降りてきた。ルナとその護衛だ。
ルナは迷いなく先頭を歩いている。軍事施設を我が物顔で歩く幼女、そしてそんなルナに笑いながらため口で挨拶を交わす軍人たち。それでいいのか帝国軍?
とは言え、実は彼女のこの態度こそが彼女がここの軍人たちに受け入れられるきっかけだったりするが、その話はまたの機会としよう。
それに対して護衛の二人、ルナがここに通い初めて数ヶ月にもなって未だ緊張している。七歳児よりも度胸がないだなんてダサい。
そして今はルナ以外まだ誰も知らない事だが、この2人、精神だけでなく物理的にも自分の護衛対象よりも弱い。情けない。
さて、そんな彼女たちは今、とこへ向かっているのでしょう?
歩くにつれて、少しずつ騒ぐ声が聞こえて来る。
打撃音、叫び声、爆発の声、何かが風を切る声……それらの声が徐々に大きく聞こえてきて、そしてそれに伴い、物々しい雰囲気になっていく。
やがて開きっぱなしの大きな扉が見えてきた。そこから迷いなく外に出るルナ、彼女の先にあるのは数十人の青をベースにして武装した者たちと一平方キロメートル以上はあるフィールド。訓練している騎士たちだ。
騎士たちの武装はメインカラーこそ統一されているものの、そのパーツに統一性が殆どない。様々な長さや種類の武器、全く違う鎧や服、中にはビキニのようなデザインの超軽装の女性もいる。性別、身長、体重、人種など総てバラバラの彼ら彼女らは軍隊と言うよりもコスプレの集会のほうがしっくりくる。でもその雰囲気や存在感はやはり軍人のそれで、ちょっぴりシュール。でもこれも仕方のないことかもしれません。騎士団に入るには天の儀で合格する必要があるが、それには個人としての力。選考制度がそれである以上、彼ら彼女らは統一した武器を持たない。逆にもしも武器や装備を無理やり統一すると、その力が発揮できないからだ。騎士団とはエリートであり、だからこそ統一するよりもバラバラの方が様々な対応が可能。この世界では一騎当千の個と超大規模の群れが戦の場で有利であり、騎士団とはその前者である。
「よう、ルナちゃん、今日はいつもより早いな?授業はどうした?」
「ん、もう教えることがないと言われた」
丁度休んでいるのか、建物の影にある休憩用のベンチから一人の紫髪の男が声をかけてきた。彼の名前はルーペルトと言う。腕のいい新人騎士であり、今は騎士団でルナと最も仲が良い奴。
「それってまさか、あの厳しさで有名なファビエンヌ女史が!?」
「人間違いじゃ?ファビエンヌ先生は優しいよ」
「え、ぇ?そ、そうかもな……(でも副団長が雇ったのって確かにあのファビエンヌ女史な筈じゃ?)」
人の評価はやっぱり人それぞれのようだ。
「ま、まあ、それはともかくとして。今日もやっぱりいつもと同じく見学か?よくもまあ見飽きねえもんだな」
「んん、違う、今日は私もやってみたい」
「……それってやっぱり剣の事か?」
「ん」と頷くルナ
「……」
「……(じー)」
「はあ、そちらさんの執事からこうなるとは聞いたが、やっぱり本気か」
「ん」
「どうせ言っても聞かねえだろ?」
「うん!」
「わかったわかった、でも俺の言うこと、ちゃんと聞けよ、でなけりゃ無理やりにでも家に送り返すぞ」
「うん!」
「んじゃ、ついてこいよ!」
「うん」
「つうかお前、うん以外の返事ねえのか?」
「ん……っん!?う、いえ?」
「……やれやれだぜ」心の中の微かな不安を抑えて、今度こそルーペルトは歩き出した。如何やら彼はまだまだ苦労するようだ。
本来、騎士とは言えルナにため口はダメですが、本人が気にしていない以上、私的な会話では問題ない。
でもパーティーとかだったら流石に敬語を使わないとダメです。
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