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今日、世界が終わるとしたら

作者: 藍川秀一

今日、世界が終わるとしたら

藍川秀一


 もし、今日世界が滅びるのだとしたら、僕はどうやって一日という時間を過ごすだろうか。誰かに思いを寄せているわけでも、自分より大切だと思える人がいるわけでもない。もともと思い残すことなど何一つない僕にとって、最後の一日というものは価値のあるものとして残るのだろうか。

 今の僕には、死ぬのが怖いというという感情はどこにもなかった。いつこの世から去ったとしても、何一つ残ることなく消えてなくなるだけだ。無数に存在している人の中で僕が一人、静かに消えたところで、世界にはなんの影響もない。

 考えれば考えるほどに、僕は世界の終わりを告げらえたとしても、何もしないように思える。今までとなんら変わらない日々を送り、死を待つことだろう。

 座して死を待つとは情けないことではあるが、それは僕自身の本質なのかもsしれない。

 昔の僕はもう少し、生きることに必死だった。常に一人で生きてきて、誰にも頼らず、すがりつくこともなく、自分の力で歩いてきた。物心ついた時から、僕はたった一人で生きていくしかなかった。


 いつからだろうか?


 生きていく、ということに興味をなくし、怠惰な日々を送るようになったのは。


 いつからだろうか?


 自分が生きていることになんの意味もないと考えるようになったのは。


 僕は生きることだけに必死過ぎて、自分が何もしてこなかったことを知った。人生という限りある時間を消費して、手に入れたものは一つしかなかった。


 もし本当に世界が終わるのだとしたら、僕は甘んじてその現実を受け入れるだろう。

 むしろこのまま、何もかも綺麗に消えて無くなってしまえば、美しく終わりを迎えることができる。

 そんなことを考えてしまう僕は、やっぱりどこかおかしいのかもしれない。


〈了〉


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