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魔眼姫戦記 -Record of JewelEyesPrincesses War-  作者: ひろすけほー
独立編
33/337

第二十四話「最嘉と紅の射手」(再改訂版)

挿絵(By みてみん)


 第二十四話「最嘉(さいか)紅の射手クリムゾン・シューター


 「南阿(なんあ)の軍は続々と小幅轟(おのごう)島周辺の海域に集結しつつある様ですが……」


 報告を兼ねて俺の部屋を訪れたショートカットの美少女は――


 「本当にあの蟹甲楼(かいこうろう)なんて凶悪な要塞を正面から陥落(おと)せるのですか?」


 紅茶にひと口だけ口をつけてから俺に問いかけてきた。


 「そうだな、確かに……」


 俺も一口、彼女の入れてくれた紅茶で喉を潤してから答えることにする。


 「あれは立地条件といい要塞の構造といい、解りやすいくらいの難攻不落物件だな」


 テーブルを挟んで向かい合った鈴原 最嘉(オレ)鈴原(すずはら) 真琴(まこと)は、そんな風に雑談を交わしていた。



 場所は堂上(どのうえ)城に用意された俺の部屋……


 時間は既に夜の十一時をまわっていた。



 「ですよね、危険が大きすぎるかと思いますが……」


 忙しい仕事の合間の小休止だ。


 「まぁな、だが約束は約束だしな」


 とはいっても――


 俺と真琴(まこと)では、いつもこんな感じで仕事のような話になってしまうのだったが……


 「ならば臨海軍(われわれ)も支援攻撃を行う事になりますが、やはり小幅轟(おのごう)島周辺には近寄らない方が無難ですね。()くまで私達が請け負ったのは天都原(あまつはら)軍の補給を断つ事ですから」


 ニッコリと微笑んで紅茶を飲む美少女は中々に曲者だった。


 ――さすが俺の腹心、俺の考えは大体把握してくれている


 「ああ、契約条件はそれだけ、それ以上の仕事は受けていない」


 「ふふ……」


 気持ち良く頷く俺をなんだか嬉しそうに見つめる真琴(まこと)


 「どうかしたか?真琴(まこと)


 「いえ、なんだか昔のようだと……少し感慨にふけっていました」


 ――昔?


 ――あぁ、そうか、”俺達”は元々そうだったな



 臨海(りんかい)領の鈴原(すずはら)は代々傭兵家業で領土の生計を立ててきた。


 様々な国々から依頼を受けて、それを(こな)して代価としての金品を受け取る……


 祖父の代で天都原(あまつはら)という大国に組み込まれた後は、暫くそういうことは無くなったていたが、俺が領主を継ぐ前後は盟主国の天都原(あまつはら)に隠れて”ちょくちょく”小遣い稼ぎに精を出したものだった。



 「俺も色々と小賢しいことをしたものだったな、真琴(まこと)たちには苦労の賭け通しだ」


 悪びれない俺の応えにまたも真琴(まこと)はフフッと笑う。


 「でも、そのおかげで臨海(りんかい)は実際の領土以上の豊かさを手に入れましたし、だからこそ今日(こんにち)臨海(りんかい)があります。最嘉(さいか)さま以外にそれは成せなかったことです」


 なんとも気持ちの良い笑顔、眩しいくらいだ。


 「まぁな、今回も上手く立ち回るさ」


 俺にとってはそれが日常、戦国での立ち回り方なのだ。


 「はい……もちろん、最嘉(さいか)さまを信じています。ですが、南阿(なんあ)蟹甲楼(かいこうろう)攻略はどうでしょうか?あの国がどうなろうと関係ありませんが、臨海(りんかい)にとばっちりが来るのは頂けませんし、なにせあの要塞は……」


 真琴(まこと)が必要以上に警戒するのも無理は無い。


 それほどまでにあの要塞は不用意に手を出すべき代物ではないからだ。


 「そうだな……けど、(はる)はやってのけたんだったな」


 ――っ!


 無意識に零れてしまった俺の言葉に真琴(まこと)の視線が一転して鋭くなった。


 「あれは……最嘉(さいか)さま達を囮に……相変わらず卑劣な女です」


 ――不味(まず)った!


 つい無防備に心の内を零してしまったけど……


 京極(きょうごく) 陽子(はるこ)の事は真琴(まこと)の前では禁句だ。


 ()してや親しげに”(はる)”なんて呼ぶのは以ての外だった。


 「お、おう……そうだな、えっと」


 焦った俺が言葉に詰まった時だった……


 コンコンッ


 「食器をお下げに参りましたが、宜しかったでしょうか?」


 ドアの外から女性の声が聞こえる。


 ――ナイスだ俺っ!


 (あらかじ)めこの時間に片付けに来て貰うよう、頼んでおいたのだった。


 「あぁ、お願いします、七山(ななやま)さん」


 俺の許可を聞いてからドアが静かに開き、ペコリと頭を下げた若い女性の給仕さんが入ってくる。


  古風(クラシカル)なシルエットのロングスカートワンピースにエプロン姿、頭にはレースのヘッドドレスという、伝統的(オーソドックス)給仕(メイド)


 彼女の名は”七山(ななやま) 奈々子(ななこ)


 もともと那知(なち)城の給仕長だったのだが、中々に優秀なので我々臨海(りんかい)軍本隊に同行して堂上(どのうえ)城まで来てもらった。


 「……」


 「……」


 てきぱきと見る間にテーブル上を片付けてゆく彼女。


 俺と真琴(まこと)が先ほどまでの話題を忘れ、思わず見入ってしまうほどの手際の良さだ。


 「では、私はこれで」


 何となく彼女を見ていた俺達に、綺麗なお辞儀をして去って行く七山(ななやま) 奈々子(ななこ)……



 「日乃(ひの)で一番の逸材だな」


 俺は真琴(まこと)に断言する。


 「はい、”草加 勘重郎(あごひげ)”よりも断然使えます」


 そして意味は同じだが……割と失礼な言い方をする真琴(まこと)であった。


 ――

 ―



 それから小一時間。


 真琴(まこと)が部屋を出た後も俺は少しだけ残った雑務を(こな)していた。


 「もうこんな時間か、さすがにそろそろ寝るか」


 伊馬狩 春親(あのバカ)のせいで仕事が殺人的に増えた。


 ――くそ、ほんと迷惑な奴だったな!


 ふと確認した時計の針は既に日付が変わってから四分の一ほど進んでいた。


 「……ふぅ」


 着替えて、灯りを消し……ベッドに潜る。


 「……」


 ――明日は早朝から出兵する軍の編成を……あふぅ


 「……」


 ――それか……ら……


 「…………」


 ――



 …………ストン


 「……」


 チャ!



 「…………格闘訓練は明日にしてくれないか?疲れているんだよ」


 暗闇の中、針が落ちる音さえさせずに屋根裏から侵入し武器を向ける不穏人物に、布団の中から面倒くさげに俺は言った。


 「…………」


 返事は無い。


 ――駄目か?


 ――仕方ないな、じゃ……


 ばふっ!


 勢いよく身体(からだ)に掛けてあったシーツを捲って枕元の相手に被せる!


 スッ――トン、トン


 そして俺はその間にベッドから飛び降りて、後方に数歩……


 バシュッ!


 「っ!」


 刹那、頬を通り抜ける一筋のなにか!?


 ――あつい……な


 直後、熱を帯びた俺の頬には一筋の鮮血が滴っていた。


 「投擲武器……ナイフか?いや、これは」


 数メートル離れた場所で、黒マントを頭から深く被った人物は”すぅっ”と弓を構える。


 「……」


 ――見覚えあるような(あか)い弓……


 俺は素手の拳を堅く握って身体(からだ)を低く構え、向けられた闇に鈍く光る矢尻を睨んでいた。


 ――凄腕だ。これは死んで”いた”な……


 「……」


 無言で二射目を用意する相手に――


 ――すぅぅぅぅっ


 息を思い切り吸い込んだ俺は……


 「助けてぇぇぇっ!!(ゆき)ちぁぁんっ!!」


 恥も外聞も無く、情けない声で叫んで助けを呼んでいた。


 「っ!」


 黒マントの刺客は一瞬たじろいだが、直ぐに(くれない)の凶器を引き絞る!


 ギギギィ!


 引き絞られる弦、(しな)る紅の弓……


 ――――――シュバッ!


 そして(それ)は放たれる!!


 「……」


 この間合い!


 (そもそ)も助けなど間に合うはずが無いのだ!


 ――――――――――――――キィン!!


 ()(あら)ず。


 刺客の予想に反して真っ二つになって転がる矢。


 ヒュ――――オォン!


 「っ!?」


 そして間を置かずに距離を詰め、謎の射手を薙ぎ払う白刃の軌跡!!


 バッ!バッ!――シュタ!


 刺客は薄暗い部屋で黒マントの裾を靡かせながら後方宙返りを二度ほどし、それを(かわ)す!


 こっちも中々の手練れだ。


 「……」


 距離を取って再び対峙して……


 シュバッ!


 シュバッ!


 刺客はほぼ同時に放たれたかと錯覚するほどの矢の連射を披露する!


 キィ!――ギィィン!!


 しかし受け手の方が一枚上手であった。


 ほぼ同時に放たれた矢は対象(ターゲット)の首と太ももを精密に捕捉(とら)えていた……が!!


 凄腕の射手が二人いるとしか思えないほどの連射で上下に撃ち分けて敵の回避を不可能にする絶技を!だがそれを!!


 ”ほぼ”どころか、一振りとしか思えない軌跡で斬り落とす、神がかり的な剣技……


 「……」


 「……」


 卓越した”武”でお互いを示し合い、弓士(シューター)剣士(ソルジャー)は再び対峙していた。



 「……ふぅ」


 ――ほんと、凄腕の刺客だ。これは死んで”いた”なぁ……


 先程の攻防を目の当たりにして俺はつくづく思う。


 死んでいた。そう、現実には死んでいない。


 ――(あらかじ)め用意万端、備えていなかったらな


 俺は対峙する二人のうち、剣士の方……


 敵を前に俺に背中を向けてかばうように剣を構えた少女に声をかける。


 「雪白(ゆきしろ)、助かったよ。けど、もういいぞ、奴もこれ以上は無意味だと理解しているだろうし」


 そうして雪白(ゆきしろ)越しに、未だ(あか)い弓を構えたままの黒マントに右手を挙げた。


 「久しぶりだなぁ、弥代(やしろ)。暗殺者ごっこはもういいだろ?」


 「……」


 黒マントは未だ弓を構えたままだ。


 「さいか……」


 緊張感が収まらない中、雪白(ゆきしろ)が背中の俺に確認するように目配せをしてくる。


 「大丈夫だ」


 俺はそうとだけ応えると雪白(ゆきしろ)の前に出た。


 「さいっ!?」


 「!?」


 俺の大胆な行動に驚く剣士と弓士……



 「いつまで”荊軻(けいか)”気取りしてんだ?弥代(やしろ)?これ以上、悪ふざけを続けるんだったら、こっちもお前に要求するのは二つだ。降伏か死か」


 「…………………………ふぅ」


 黒マントは少し間を置いてから小さく息を吐き出す。


 そして構えていた弓を下ろし、顔を覆っていたマントのフードを取った。


 「死というのは勘弁願えるかしらぁ、サイカくん。降伏もしないけどぉ」


 気怠(けだる)そうに髪をかき上げ、緊張感無く勝手なことを(ほざ)く見知った女。


 「君主暗殺未遂は斬首の上で晒し首か磔の刑と相場は決まっているが?」


 俺は凄んでその台詞を言ってはいない。


 しかしそれがまるっきり冗談というわけでは無い事は戦国に生きる戦士、宮郷(みやごう)領主代理たる宮郷(みやざと) 弥代(やしろ)ならば理解しているだろう。


 「……」


 「そうか」


 また黙ったままの弥代(やしろ)の態度を確認し、俺は軽く後ろの雪白(ゆきしろ)に目配せした。


 コクリ


 頷いた白金(プラチナ)の姫騎士は抜き身のままの剣を構えて一歩前に……


 「紫梗宮(しきょうのみや)京極(きょうごく) 陽子(はるこ)……彼女から最嘉(あなた)への使者として来たわ」


 唐突に弥代(やしろ)が発したその言葉。


 それに俺は……


 「……」


 無言を返す。


 「……さいか?」


 だが、雪白(ゆきしろ)はその名を聞いて行動を躊躇したようだ。


 剣を構え佇んだまま、不安そうに俺の方を伺っている。


 「…………はぁぁぁ」


 俺は――


 肺の中の空気を、先ほどまでの緊張感と”その名”に対する鬱積した想いと纏めて一緒に吐き出していた。


 「わかった。話は聞こう」



 ――紫梗宮(しきょうのみや)京極(きょうごく) 陽子(はるこ)……


 大国である天都原(あまつはら)王弟(おうてい)京極(きょうごく) 隆章(たかあき)の第三子であり、若干、十七歳にして天都原(あまつはら)国軍総司令部参謀長を勤める才女、さらに天都原(あまつはら)にあって王位継承第六位の王族だ。


 そしてその才女は……


 ”ちょっと”した、俺の昔馴染みでもあった。


 ――



 夜中に謁見の間へと移動するガウン姿の俺と、軽装鎧姿の雪白(ゆきしろ)、そして黒いマント姿の弥代(やしろ)……


 「そうよぉ、恋人からのぉ、話にはぁ、ちゃんと耳を傾けるのが良い男の条件よぉ」


 「……う!」


 黙ってついてくれば良いものを……余計な一言を零す毎日(エブリデイ)気怠(けだる)げ女”


 「…………」


 ――って!?しかもそこから後は黙るんかいっ!


 俺は最後尾から注がれる白金(しろ)い美少女剣士の微妙な視線に晒されて歩く。


 「くっ……」


 ――まあな……


 雪白(ゆきしろ)とは言い訳するような間柄で無し、ここで何かコメントするのもおかしい……


 ――よな?



 「サイカくんの方から声をかけてぇ、それで付き合っちゃおうか?って感じでぇ、結構ラブラブだったってぇ……」


 「ってぇ!なに在ること無いことベラベラ喋ってんだぁっ!ゴルラァァ!!」


 本当に余計な一言、いや!二言、三言をを零す、毎日(エブリデイ)気怠(けだる)げ女”!!


 「在ること……あること……」


 そして何故か雪白(ゆきしろ)が後ろで念仏のように呟いていた。


 「うっ……いや、在ること無いこと……デスヨ?」


 何故か弱々しく訂正する俺。


 「でも、あるんだね」


 白金(しろ)い美少女はいつも通りの無表情で、いつも通りで無い殺気を放ちつつ俺を見ていた。


 ――うう……なんだって言うんだ、いったい!?


 この状況は……


 「や、弥代(やしろ)、お前は天都原(あまつはら)の使者かもしれんが今のところ話の内容次第では捕虜的な立場にもなり得るんだぞ?だから少しは私語を控え……」


 「…………」


 ――ってぇぇ!やっぱりそこからは黙るんかいっ!!


 ――くそっ!


 俺の周辺(まわ)りの女は、見てくれだけで中身がおかしな奴らばかりなのか??


 「…………」


 涼しい表情(かお)で歩く宮郷(みやざと) 弥代(やしろ)……


 多分、南阿(なんあ)戦の撤退時に日限(ひぎり)熊谷(くまがや) 住吉(すみよし)だけに全てを話したのが気にくわないのだろうが……


 仕方ないだろう?小国群連合の大将格が何人も抜けたら怪しまれるだろうが!!


 それにこんな博打的(リスキー)な戦略に、考えなしで勢い重視の住吉(すみよし)ならともかく、宮郷(みやごう)は乗ってこないだろうに……



 「…………」


 ――ちっ、いいだろう!!


 ならこっちも粛粛と事務的に、あくまで冷徹に処理するまでだ!


 覚悟しろよ、弥代(やしろ)、暗殺者として徹底的に絞り上げてやる!!


 ――


 その後しばらく歩いて謁見の間の前まで到達すると、そこには黒髪ショートカットの少女が待っていた。


 「あっ、最嘉(さいか)さま、既に報告は受けています。謁見の間の用意も出来ておりますので」


 そう言って俺を迎えた少女の身なりは既に一度は就寝していたとは思えない、きちんと正した身なりだった。


 ――相変わらず性格が出ているな真琴(まこと)は……


 ガウン姿とスリッパ履きで城内をペタペタ歩き回る男とは大違いだ。


 「では、こちらへ」


 俺の後ろで雪白(ゆきしろ)に監視されるように歩いてきた弥代(やしろ)をひと睨みした真琴(まこと)は入室を促す。


 ――よぉぉしっ!見てろよ弥代(やしろ)め!存分に話をしてやろうじゃ無いか!


 「じゃあ、入れよ」


 気合い十分の俺は後ろの毎日(エブリデイ)気怠(けだる)げ女を睨んで促す。


 「サイカくん、いくら久しぶりの恋人からの伝言だからってぇ、そんなにせっかちにならずに落ち着いた方が良いとおもうわぁ」


 「あること……あること」


 「こい……びと!」


 白金(プラチナ)姫の厳しい瞳が俺に向き、ショートカット少女の大きめな瞳が不機嫌に細められる。


 「だぁーかぁーらぁー!!なんでいらんことを言うっ!この女はぁっ!」


 俺は思わず叫んでいた。


 ――いや……叫ぶだろ?もう!……う、うわぁぁんっ!!


 否、泣き叫んでいた。



 「……最嘉(さいか)さま」


 真琴(まこと)の鋭い視線の先は……今は俺だ。


 「あること……あること……」


 雪白(ゆきしろ)がボソボソと呟く。


 「う……うぅ」


 ――か、勘弁してくれ、弥代(やしろ)……俺が悪かった


 俺はもうただ、降参だという負け犬の顔で弥代(やしろ)を見ていたのだった。



 「サイカくんの方から声をかけてぇ、それで付き合っちゃおうか?って感じでぇ、結構ラブラブだったってぇ……」


 「ってぇぇっ!!そこから喋るんかいっ!!嫌なループしてるぞっ!!」


 宮郷(みやざと) 弥代(やしろ)は容赦が無かった。



 「さ、最嘉(さいか)さま。とりあえず謁見の間(なか)へ、それから……」


 真琴(まこと)が俺を見る。


 雪白(ゆきしろ)も……


 「そ、そうだな……天都原(あまつはら)の本意を探るために話を……」


 「はいっ!存分に話をしましょうっ!!」


 「あること、あること……話」


 真琴(まこと)雪白(ゆきしろ)の顔は必要以上に気合いが入っていた!


 「……う」


 何故か俺の方へ向けて……


 「…………」


 そして当の弥代(やしろ)はもう関係ないというしれっとした表情(かお)で髪を指でクルクルとしていた。


 「最嘉(さいか)さま!」


 涙目でぼぅっと立ち尽くす俺を促す真琴(まこと)


 「そうだな……存分に……」


 そして俺は項垂れ部屋に入ったのだった。


 第二十四話「最嘉(さいか)紅の射手クリムゾン・シューター」END

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