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藤吉郎におまかせあれ  作者: ヤブ医者
信長 尾張の小大名時代編
8/35

転機

第1章ねね


「ねね…」

俺は固まっていた。

森を散歩していたらかつての幼馴染みに出会ったからだ。

そしてその女性は…

「藤吉郎よねっ!ねっ!」

ねねは興奮していた。

「何であんた生きてんのよ?いやそんなことよりここは?」

ねね、澤山ねね、俺の幼馴染みだった女だ歳は同い年いや今は俺が歳上か、気が強くどんなものにも恐れずに立ち向かっていく。

顔やスタイルはいわゆるロリ系だ。

「お前なんでここに?」

俺は呟く様に聞いた。

ねねは

「何でってわかんない…、ねぇっここはどこ?何であんたは着物何かきてるの?何で刀さしてるの?もうわかんない…」

本人も薄々きずいているのだろう。

だがここで話すのはまずい。

たしか近くに小屋があったなそこで話そう。

俺はねねの肩を引っ張り

「とりあえずこっちに」

そう言ってねねを引っ張りながら小屋に向かった。


清洲城下 森の中の小屋


俺はそこで全てを話した。

ねねはまだ信じられないという様子で

「つまりここは戦国時代で信長の領地清洲城下んで私はそこにタイムスリップした?」

「うん、そういう事」

「まさかぁそんな話信じろって?」

「別に信じなくても良いよでも事実だから」

俺のその真剣な眼差しにねねも段々と危機感を感じ始めた。

「え、本当なの?」

「そうだよさっきから言ってるだろ」

「戻る方法は?」

「無い…」

「うそ…でしょ…」

ねねの体から力が抜けた。

ねねはペタンとすわった。

「どうすれば良いのよぉ」

ねねは嘆いた。

俺はそんなねねの肩を叩き。

「まぁなんとかなるよ俺だってタイムスリップしたのは5年前だかさ」

ねねは俺を見上げ。

「あんたどうやって生活してたのよ?」

「ん、あぁ信長に仕えてた」

「信長にっ!?」

ねね勢い良く立ち上がった。

「そっそうだけど」

「あんたそれなんて名前で仕えてんの?」

「名前?そのままだけど」

「同姓同名は?」

「いない」

ねねは突然俺に質問してきた。

「うそ、じゃあまさか…いやまさか…」

ねねはぶつぶつ言い始めた。

俺はねねに

「どうした?」

ねねは勢い良くこちらを向くと

「信長に何て呼ばれてるの?」

「えぇ、猿だけど」

ねねは絶句した。

ねねは小さく囁く様に

「あんた豊臣秀吉よ」

「は?」

「だから豊臣秀吉は何度か名前を変えててその最初の名前が木下藤吉郎なのっ!そして秀吉は信長に猿って呼ばれてたの!」

「うそ、うそだろ~~っ!」

俺は思わず叫んでしまった。


清洲城 信長の部屋


結局あの後色々話し合い信長の元において貰おうという話になり信長にたのみに向かった。

「誰だ?その妙な者は」

信長は眉間にしわを寄せねねをまじまじと見た。

「えっと…昔俺と同じ所で働いてて…えっと、そこから逃げて来たらしいんです」

「逃げて来たってお主昔何してたんだ?」

あ、いきなりボロが出た。

俺は必死に

「色々あったんですよっ!」

と声を荒げた。

信長は疑いながらも

「で、そいつを家でかくまえと」

「まぁ、はい」

信長はねねに向き直り。

ねねに

「お主何ができる?」

ねねはビクッとしたが恐る恐る

「りょっ、料理とか…」

と静かに答えた。

信長はその答えに豪快に笑うと

「良かったな良い嫁が出来たぞ」

と俺に言った。

俺は頭を掻きながら

「いや別に嫁何て」

「分かっているまぁ良いぞただし猿と同居だ」

「えっ!俺と同居ですか?ただでさえ狭いのに…」

俺は清洲城の足軽兵舎に住んでいた。

玄関と六畳間の1DKだ、一人なら丁度良いが二人となると狭い。

信長は不満そうに

「当たり前だろこの城の空き部屋が少ないんだからそれにお主が連れて来たんだお主がしっかり面倒をみろ」

「まじかよぅ…」

俺はうなだれた。

その時襖が開いた。

「殿、お暇ですか?」

それは濃姫だった。

濃姫は俺たちをみて驚いている。

「藤吉郎殿その方は?」

「え、あぁ俺の…」

「許嫁だ」

信長が割り込んだ。

信長はイタズラっぽい笑みを浮かべた。

「ちがっ違いますよ!」

俺は必死に否定した。

相変わらずねねは固まっている。

濃姫は笑いながら。

「分かっています。殿、藤吉郎殿を困らせてはいけませんよ」

信長は豪快に笑いながら。

「すまんすまんからかったのだ」

「ははっははははっ」

俺は苦笑いした。

さらにそこに

どたどたどた

「兄上ー」

少女が駆け込んできた。

少女は信長に飛び付き

「兄上ーわらわと遊んで下さりませー」

と騒ぎ始めた。

信長は

「ちょ、市!俺は今…」

「忙しいのですか?」

「忙しくは無い…」

「ならば遊びましょう!」

さすがは市様だな見事に信長を困らせてる。

お市の方、信長の妹、戦国史上一の美女と言われる。政略結婚で浅井長政に嫁いだがその結婚生活は仲睦まじかったと言う。茶々、お初、お江を産む。

1557年現在10歳

信長は

「ほらっ後ろに客がいるだろう」

市はようやくこちらに気がついた。

市は

「猿と妙な身なりの者」

と呟くとこちらに歩み寄り

「猿その者は誰じゃ?」

と質問してきた。

「え、あぁこいつは俺の…」

「許嫁じゃw」

信長はまた割り込んできた。

「だからぁ、違うって言ってるじゃないですか!」

信長は笑っている。

今度は濃姫もクスクスと笑っている。

市は

「許嫁かっ猿っ!良かったのぅ」

くそっガキにからかわれるなんて。

その後は狭い部屋で子供を交えどんちゃん騒ぎとなった。

ねねはそのテンションについていけず終始固まっていた。


清洲城廊下


俺はねねと二人信長の部屋を後にして足軽兵舎に向かっていた。

二人はしばらく黙っていたが突然口を開いた。

「藤吉郎随分長い時間こっちにいたんだね」

その声はどことなく悲しかった。

「どうした?」

「私はあのテンションについていけなかったそれどころか目の前には歴史上とても有名な人だよそんな人たちに臆することなく喋れるなんて…藤吉郎は知らないうちに凄い人になったんだね…」

ねねは頷いた。

俺はねねに

「すぐ慣れるよ…俺はこっちに来てから嫌と言う程現実を見てきた人の本能や人の闇を…それを思うと俺がどれ程平和な所にいたか良く分かる…でももう戻れそうに無いからせめて束の間の平和は噛み締めておかないと、それに皆いい人だしね」

「藤吉郎…」

俺は歩みを止めてねねに向き直った。

「だからねね、お前は俺に平和な時間を作ってくれ俺は戦国武将として生きるお前そんな俺を癒してくれ」

ねねはにたっと笑い

「告ってんの?」

と聞いた。

俺は

「ばかっちげーよ」

と否定した。

俺に天下なんてとれるか分からないでも俺は俺なりにこの乱世を生き抜こう歴史を無理やりなぞらないようにしよう俺は悪魔で…

木下藤吉郎なんだ!

俺は心の中で決意を固めた。


第2章桶狭間の戦い1

3年後

駿府城 評定の間


「殿っ準備は整い申した」

義元は恐い笑みを浮かべた。

「ふふっ、遂にこのときがきたか長かった長かっただがもう待つ必要は無い…これからはこのわしが日の本の王よっ!」

どんっ!

義元は足を鳴らすと力強く叫んだ。

「全軍出陣だぁ、天下に号令をかけに行くぞっ!」


清洲城 評定の間


初夏の爽やかな夜ある一報が織田家を震撼させた。

それは

「今川義元2万5000の兵を連れ上洛を始めました!」

『なんだと!』

『どうなるんじゃ…』

辺りはざわついている。

「義元軍は後2日程でこちらにたどり着くかと…」

家臣達が信長に指示を仰ぎだした。

「殿っどうするのですか?」

「やはり籠城?」

「いやこんなときだからこそ打って出るべきです」

『殿っ!?』

『殿っ!?』

ばっ

信長は立ち上がった。

「今は何も言えない皆しっかりと休め…」

そう言って部屋を出ようとした。

信長は出る間際俺にジェスチャーで『部屋に来い』と言った。

家臣達は信長が出ていった後口々にわめき始めた。

『もう終わりじゃ…』

『よし殿の言うとうりわしは寝るっ』

俺はそんな家臣達に巻き込まれるより前に部屋を出た。


清洲城 信長の部屋


「殿?お呼びですか?」

「入れ」

俺は襖を開けた。

「信長様…?」

信長は星空を見ていた。

その横顔はとても悲しくて見てるこちらも胸が痛くなってくる程だった。

信長はこっちを見ると

「猿こっちに来て座れ」

信長促されるまま俺は信長の近くに座った。

信長は

「星が綺麗だな…」

そう言った。

だが信長の手元には紙があった紙には文字がかかれていた。

『義元をうつ策を考えろ』

そうか何処に今川の目があるか分からないだからさっきもあんな曖昧な言い方したのか。

俺は信長に

「そうですね信長様」

と言って微笑んだ。

それが俺の信長への肯定の意思表示だった。

その後信長と星の話をしたのち信長の部屋を後にした。


清洲城 足軽兵舎


俺は自分の部屋に入った。

中ではねねが心配そうにウロウロしていた。

ねねは俺が帰ると直ぐに

「何の報告だっの?何が起こるの?」

と聞いてきた。

「今川が攻めて来る…」

「今川が?それってまさか…桶狭間!」

「まぁそうだろうな」

「何でそんなおちこんでるの?」

「信長は俺に策をたてろだと」

「策を?」

「そう命じられたからには絶対に成功させなきゃ」

二人は黙った。

ねねはその静寂を切り裂くように

「どうするの?」

と聞いてきた。

「とりあえず明日城下に行く。お前もついてこい」

俺はそう返し信長の命どうりしっかりと休む事にした。


翌朝

清洲城下 森


葉が朝日を浴びて輝いている。

ねねは俺よりも大分前ではしゃいでいる。

はぁ、こっちは今生きるか滅ぶかのどちらかなのに。

俺は心の中でねねに悪態をつきながらも今川に勝つ策を練り始めた。

この戦普通に戦ってちゃ絶対に勝てないなら奇襲?いくら奇襲したとて数がな…

その時ねねが

「なに恐い顔してんの?」

と言ってきた。

ねねはいつの間にか俺の隣にいた。

俺はねねに

「お前な今日ここに来たのは今川に勝つ為の策を考える為だぞ」

「分かってるよでもそんなに悩んだって浮かばない時は浮かばないでしょ」

「浮かばなかったら滅ぶ」

「まぁそうだけど…」

「分かったら手伝え」

「うん」

いつの間にか森には人が現れ始めた。

それをみてねねが

「この辺りの地理とかさそういうのに詳しいのは私たちじゃなくて領民の方が詳しいよね」

確かにそうだな…じゃあ俺が一人で悩んでも無意味だよな。

「よしっ、行くぞ」

俺はねねを連れて城下町に戻った。


城下町


俺は城下町の広場にありったけの領民を集めさせた。

俺は広場にあった箱の上に乗った。

領民達は怯えている。

本来なら領民達の緊張をとくため軽く無駄話をするのだが今そんな時間は無い。

俺は叫び始めた。

「今織田家は危機に立たされている。あの駿河の大大名今川義元が大軍を連れて上洛を開始した。勿論そうなれば織田家は一番最初に標的となるでも今の織田家に大軍と戦う力はないっ」

『どうするんだ!』

『義元と言ったら日の本一の弓取りだぞ』

『終わりだぁ』

辺りは騒然とした。

俺はまた叫ぶ。

「だが負けた訳じゃない小数でも大軍は討てるでもそれには皆の力が必要だ頼む力を貸してくれ」

領民達は全員黙っていたが次の瞬間

『よしっやるぞ!』

『皆で今川を叩き潰そう』

『お侍さん俺たちはなにを?』

ねねは目を思いっきり見開いて手を叩いている。

俺は領民に

「ありがとうございます!皆さんには知識を貸してほしいんですこの辺りの地理に詳しいのは間違いなくあなた方です他にも日常の現象等にも詳しいはずですそういう知識を俺たちに貸して下さい」

そういうと俺は箱から降りた。

よし勝機が見えた。

勝てるきっと。

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