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南溟の艦隊  作者: 飛龍 信濃
決戦 比号作戦
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第65話 決戦 比号作戦 発動

めっちゃ久しぶりです!(-_-;)

とりあえずエタラないとの約束は果たせたかなと思います(実は1話ストックがあったのに完全に忘れて今1話書いてたとかは秘密ですガクブル)

1942年12月8日ついに米軍の飛び地地帯のようになっているフィリピンに対し、日英連合軍による攻略作戦が始まった。

攻略目標はフィリピン全土。

 その中でも、重要拠点とされるものは、バターン半島及びコレヒドール島である。

 マッカーサーは、両地を要塞化していた。特にコレヒドール島は鉄壁と称してもいいぐらいであった。

 ここで、日本軍は目標の認識が当初ぐちゃぐちゃになっていた。

 すなわち、海の孤島に近い形にならざるを得なくなったフィリピンにおいて、いくらアメリカでも、一拠点を強化するので精いっぱいであろう。その思い込みがあったのだ。

 しかし、英軍との会議後情報を精査した結果、バターン及びコレヒドールの強化が確認され、情報が整理されたのだ。

 その中で、最も手ごわいとみられるが、島内に飛行場を持たないコレヒドール島の攻略を後回しにし、フィリピン特にルソン島の攻略を優先することになった。

 すなわち、第一にフィリピンの制空権を握り上陸作戦を決行。次が援軍で来るであろう米艦隊の撃滅。最後にマッカーサーが陣取っているであろうコレヒドール島の攻略である。

 この中で、米艦隊との決戦は二番目に置かれているがこれはあくまで、紙上の話であり、実際は、制空権奪手と並ぶ最重要課題である。

 

日付をさかのぼること某日。

その日日本海軍の最重要基地である、呉軍港から大艦隊がひそかに出撃した。

 その艦隊の内訳は、戦艦3空母2巡洋艦9駆逐艦16である。

 初戦のトラック沖海戦の陣容を思い返してしまうとどうしても、主力艦が少なく見えてしまう。何せ、海の覇者たる戦艦が3隻しかいないのである。

 しかしその分、戦艦そして空母と現代の海戦の二大巨頭ともいえる主力艦5隻につき従う準主力艦である巡洋艦、そして、艦隊の万能選手である駆逐艦は合わせて25隻と重厚な布陣となっていた。 

 補助艦が不足しがちな日本海軍にしてみたら、十分すぎる陣容である。

 そして駆逐艦は、全艦が最新の夕雲型で構成されており、万全の体制がとられていた。

 「出港開始」

 フィリピン攻略を担う遊撃打撃艦隊司令長官高橋伊望中将の声が、まだペンキの匂いが残る、旗艦艦橋に響く。

 だが、艦隊の出港を彩る軍楽隊の演奏や、民衆の旗振れ、それに伴う声援の類はなかった。

 すなわち、秘密裏の出撃であった。

 どの道、米軍に察知されるのは時間の問題であるが、少しでも遅らせ、フィリピン攻略を容易にするのが目的である。

 まずは、対潜警戒を兼ね、1個駆逐隊4隻の駆逐艦と水雷戦隊旗艦軽巡が、順々に出港していく。それに伴い、墨液を流したかのような水面が白く波たち始める。

 そして4隻が、順序を整え終わるころ、もう一つの駆逐隊が出港を開始する。

 そうして、4隻が態勢を整えると8隻の巡洋艦が、順々に外洋に向けて速力を上げてゆく。

 「出港」

 そう艦隊司令長官が指示を出すとともに、第一戦隊の片割れ及び第五戦隊の2隻計3隻の巨躯が海面を滑り出す。

 それぞれが明確な影を海面に落とし込んでいる。

 1隻は、全長が長いがその分幅が広いため、長い艦体のわりに軽快性はうかがえない。しかし残りの2隻は、その1隻に比べれば全長はそれほど変わらないが、その分よりしまった艦影を持っておりいかにも俊敏さを備えている。

3隻は今までの艦でははるかに及ばないほどの波を起こしながら、港を出ていく。

 そしてその3隻に比べ艦体規模ではあまり見劣らないが、威圧感でははるかに劣る航空母艦が2隻艨艟どもにつき従う従者のように出港していく。

 最後は後衛の駆逐艦8隻である。

 すべてが出港し終わるころには、太陽が顔を出すか出さないか程度にほんのり水平線が赤く染まっていた。

艦隊は、対空及び対潜警戒を兼ねる輪形陣を、外界に出ると同時に組み立てる。

 一番外郭は、先頭を旗艦軽巡が行き、その背後に、16隻の駆逐艦が22.5度の間隔をあけ円陣を組む。 

 中郭を務めるのは、8隻の巡洋艦である。彼らは、45度の角度をあけ布陣する。

 そしてさらにその内側を3隻の戦艦が正3角形の頂点で円を描くように配置され、一番内側に横並びで、空母2隻が、他のすべての艦艇に守られるように配置されている。

すなわち、計4層もの輪形で組まれた、重厚且つ堅固な隊列である。

 確かに、空母の真横に艦がおらず手薄に思えるかもしれないが、そこまでに3層の買網が引かれており、そう簡単には突破できないはずである。またもしもの時は、後方の艦が前進し空母の真横につく手はずになっている。

 この輪形陣の外角の直径は6000メートルに達する。また、艦同士のかんかくはおおよそ1000~2000程である。

 幅広ではないが密集しすぎてもいないという所である。

 それにしても、これだけの輪形陣は早々見れるものではない。

 すでに日が昇り始め、朱色に染められ始めた太平洋を、艦艇が引いてゆく白い航跡がそこだけ絵具を塗りたくったかのように染めていく。

 「これはさすがに壮観だな」

 第二航空戦隊旗艦「飛龍」に座上する山口多門少将がそうつぶやく。

 「さすがに、初戦時にはかなわないがそれでも、ここまでの艦隊は簡単には見れまい」

 やや寂しげにつぶやいたのはやはり、主力の戦艦が3隻しか配備されていないからだろう。確かにその3隻はすべての艦が260メートルを超える巨躯を持っているが、それでも11隻もの感が勢ぞろいしたあの時に比べれば見劣りしてしまう。

 だが、内に秘めたし破壊力は、十分だ。

 普通の艦隊程度ならば十分に殲滅できるほどの戦力である。

 むしろ、英米の艦隊ではないと対抗は難しいだろう。

 確かに仏伊独の3国の艦隊兵力も侮れないものがあるが、いかんせん主砲の口径で見劣りしている。さらに言えば、空母戦力もないか、ほぼないに等しいだけしかない。

 すなわち、敵本土近海にて敵航空戦力が届くところでない限り、制空権を失う恐れがないに等しいのである。

 それほどの戦力であるが、世界の超大国であるアメリカとぶつかるとなると十分な戦力とは言えなくなってしまうのである。

 それがアメリカの恐ろしさであるといえる。

 敵がどれほどの戦力を持っているかわからないという漠然とした不安を持ちながら、艦隊は決戦場へと突き進んでいく。


そのころ、シンガポール軍港からユニオンジャックを掲げた艨艟どもが、初陣となる戦いに向け、出港しようといていた。

 出撃するのは、シンガポールを母港とするG部隊とH部隊のうち、高速戦艦4隻を主力とするG部隊である。

 H部隊の戦艦「ネルソン」「ロドネー」の2隻の16インチ砲搭載艦は主砲を前向きにしか打てないこと、速力が、23.5ノットでしかなく、30ノットの快足を誇る高速戦艦の足を引っ張ることになりかねないため、またシンガポールをがら空きにするわけにはいかないため、防衛戦力として残されることになった。

 G部隊の陣容は、高速戦艦4隻に、重巡4隻、軽巡4隻、駆逐艦8隻である。駆逐艦が数なめなのを除けば、十分な戦力である。

 確かに空母が含まれていないのは、危なっかしく感じるが、英海軍は大型空母を「アークロイヤル」及び、「イラストリアス」「インドミタブル」の3隻しか保有していなかった。

 そのため3隻ともが、本国艦隊に配備されており、東洋艦隊に回す余裕がなかったのである。

 それは、米海軍が太平洋を横断してこないとも限らないことや、貴重な空母を極東で失うわけにはいかなかったからである。

 また今回は日本海軍が主役であり、自分らはあくまでわき役、とどめを刺す役目だと考えていたからでもある。

  また日本海軍が陸上攻撃部隊を発進させ、台湾から直接フィリピンをたたくという計画であったのも、よりイギリス海軍に空母の必要性を感じさせないことにつながっていた。

 また逆説的に言うならば、艦載機の遅れも彼らの施行に影響していたかもしれない。

 艦上戦闘機はシーファイアであったがまだ性能的に安定しておらず、攻撃機に至っては複葉のフェアリーソードフィッシュであった。

 こんなものでは、日米海軍の航空戦にまともに介入すべきではないと彼らが考えても不思議はなかった。

 「艦隊出撃」

 G部隊司令のバーナード中将が、そう命令を下すと同時に、シンガポール軍港全体がやにわに活気立つ。

 こちらは白昼堂々の出撃である。

 「総員に次ぐ、本艦隊は之より総力を挙げてフィリピン、ルソン島の攻略作戦の支援を行う。

 この作戦は盟邦である日本海軍が中心になって行うが、我々はその世紀の作戦の一端を担うことになる。

 確かに、わが栄光ある英国海軍が主役ではないことに不満を覚えるものもいるだろう。しかし我々が全力で太平洋に戦力を注ぎ込むことはできないのだ。

 本国をがら空きにして、そのすきを米軍やナチスどもにつかれることは決してできないそんなことを許してはそれこそ、我が国の栄光は地に落ちることになるだろう。

 確かに太平洋は米国が、すべてを支配していうようにも見えるだろう。だが、我々は米国の勝手を許すわけにはいかない。

 幸いにも太平洋には、我が国や米国に匹敵する日本が盟邦としている。

 その盟邦が米国により、不当な宣戦を受けたのだ。

 この暴挙を我々は傍観するわけにはいかないのだ。

 だからこそ、我々はトラック沖海戦で戦力をすりつぶしてしまった盟邦の援護をするのだ。

 これは生半可な力でできることではないだろう。

 むしろ我々は、危急に立たされた盟邦を救うという重大な任務を任せられたのだ。

 確かに、我々の任務はわき役かもしれない。だが盟邦の苦戦いかんでは、いつでも最前線に立つ覚悟が必要になる。

 いや、我々が主役になるべきかもしれないぐらいだ。

 なぜなら、フィリピンを占領して初めて、我が国と盟邦が安全に直接手を取り合うことができるからだ。

 これまでは、ちょうどど真ん中にくさびのように米軍基地があった。

 そのため、通称は危険が高かった。

 だがそんなくさびを外してしまえば、少なくとも基地航空隊の危険は消える。それだけでも大きな進歩といえるだろう。

 よって我々に手抜きは許されない。

 この作戦は、この戦争の最初の流れを決めることになる。

 よってここに命じる、総員全力を持って任務に当たれ!」

 バーナード中将は一気にまくしたてるように、言い切った。

 この瞬間艦隊各艦で、喝采が上がった。

 「そう言われたらやらないわけにいかないじゃねえか!」

 「我々の力を世界に示してやろうじゃないか!」

 乗員たちの指揮はここに最高潮に達していた。

 そして彼らは、何としてもこの作戦を成功させる。そう胸に誓った。

 そうして、栄光の英国東洋艦隊は、決戦海域に向け意気揚々と出撃していった。

 シンガポール軍港では、市民の見送りがいまだに続いていた。

 中にはやっと、英国海軍の活躍を見れると、感慨深げにつぶやく老人の姿も見える。  

 

そのころ、フィリピン防衛の重責を担うはルゼー中将率いる第一任撃部隊は、フィリピンに向け太平洋を驀進していた。

 艦隊速力、23ノットである。

 また彼らに続くように、キンケイド中将の第二任務部隊も少し遅れて進撃していた。

 第一任務部隊の陣容は、最新鋭のアイオワ級戦艦2隻にノースカロライナ級2隻の戦艦4隻。そして、「コンスティレーション」「コンスティチューション」の2隻の空母を中核とし重巡4軽巡2駆逐艦21隻という重厚な布陣であった。

 総数41隻という、総勢30隻を誇る日本海軍の主力部隊を買う句上回る数である。

 しかし主力艦で見ると、戦艦が1隻日本側が少ないだけなのである。

 すなわち、戦艦戦力は日米でほぼ互角。

 さらに言えば、英国東洋艦隊も4隻の戦艦が決戦場に向かっているのだから、日英海軍がほぼ倍の戦力を誇る。

この戦い実は、日英側の戦力が艦艇では勝っているのである。

 だが、米軍側は輸送船さえつぶせばよいという、守る側特有の余裕があった。

 さらにフィリピンは彼らに地の利があり、航空基地も充実している。

 さらに戦艦群も日英は、条約前、後が半々ほどで編成されているが、第一任務部隊はすべて条約後に建造された、最新鋭艦のみで構成されている。

 火力は、16インチ3連装3基搭載が4隻であり、16インチの巨砲が36門と相当なものを誇っている。

 それらは、大和型以外では最強の主砲であり、4隻だけであってもその戦力は計り知れないものがあった。

 こうして、各国全力ではないが、3大海軍国らしくそれでも相当規模な艦隊をもってして、フィリピンの地に足を踏み入れようとしていた。

 ここに、フィリピンの地を巡る戦いが始まろうとしていた。

第65話完 



というわけで去年の6月から9か月ぶりの投稿です

そしてこの話から、フィリピンをめぐる戦いが始まります

とりあえず1月以内に投稿できるよう頑張りますが、実生活があわただしくなるのでまた間が空くと思いますが応援お願いします

(ストック分が1話ありますがそちらはストックを切らさないため、当分は温存させていただきます

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