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南溟の艦隊  作者: 飛龍 信濃
章間 激戦前夜 新作戦準備
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第64話 日英海軍次期作戦会議2

今回はそこそこ早く投稿できました

次回から、次期作戦始まります(のか…?)

 「確かに、勝てれば戦後の利権を考えられるでしょう。

 しかし、負ければ、よくて東洋艦隊の壊滅、最悪の場合様子見のヒトラーがこれ幸いと宣戦布告してくるかもしれません」

 「バーナード中将、ヒトラーは東洋艦隊がやられた程度では対英宣戦布告はしまい。

 ナチの戦艦はほぼ、「ビスマルク」「ティルピッツ」の2隻といってもよい。

 確かにクィーンエリザベス級などでは、速度が足りないかもしれないが、数で凌駕している限り下手に打ってくることはないだろう。

 其れよりも、アメリカに立ち直らせる隙を与えることのほうが怖いが」

 「提督のおっしゃる通りです」

 今まで、ソマーヴィルとバーナードの激しい論戦の中、存在を忘れかけられていた、G部隊に続く、第二の部隊ともいうべき、H部隊司令ジョンパワー中将が、ソマーヴィルに加勢した。

 その裏には、主力艦の速力面に劣る、H部隊の活躍場はそうこないのではないか?それならばまだ戦果の挙げられそうな場面で、あげておきたいという思惑があったことも否めない。

 だが、これで2対1.

 会議の行方は、あらかた定まったとみていいだろう。

 「分かりました」

 バーナード中将が、忸怩たる思いを隠さずに言った。

 「お二人がそうまでいうのならば、賛成します。

 これ以上反発しても悪い結果しか生まないでしょうし。

 東洋艦隊最大の部隊の指揮官として頑張らせていただきます」

 一瞬のバーナードの変わりように、二人はあっけにとられたようだが、これで東洋艦隊司令部の考えがまとまったかと思えば、今変に追及するということははばかられた。

 「これではんたいのものはいないな?」

 ソマーヴィルが念押しして聞く。

 当然反対の手は上がらなかった。


 「今回の作戦だが、どう思う?」

 「大変面白いと思います。何せ今まで我が国のくさびであり続けた、フィリピン、しかもルソン島を落とそうというのですから」

 「そうだ。だが問題はマッカーサーの野郎が、どこまで戦力をため込んでいるかだ。敵航空基地はクラークフィールドをはじめとして12か所。

 陸上戦力はコレヒドールに集中してようが、航空戦力はこれらすべてに配備されてるだろう。特に奴らの生産力は強大だ。

 新型機を配備したという情報はないが、飛行場を拡大しせん欲を下ているのは確実だろう。

 確かに、輸送船団に対する攻撃は加えているが、十分ではない。 

 油断できる相手ではないよ」

 山口はそう伊藤主席参謀に言った。

 「たしか、開戦前の情報で300機ほどでしたか。

 おそらく戦闘機はP40やP39に爆撃機はB17やB25が配備されてるでしょう。いずれも油断できない大敵です。

 また母艦航空隊についてもワイルドキャットやドーントレスはそのままのようですが雷撃機については新型機が配備されたようです」

 「さすがに機体ネームはわからないか」

 「はい。しかし戦闘機の実力ではわがほうが勝っているといえるでしょう」

 「それはそうだ。だが乗員がまだ紫風に慣れ切っていないようだから、そこが不安といえば不安だ。

 もう少し時間がほしいのだが」

 そこが問題なのだ。

 零戦を超える高速力に、零戦にそこまで見劣りしない程度の格闘性そして、はるかに勝る急降下速度。

 また4門ものエリコン20ミリ機銃。

 そのすべてに乗員が慣れるにはもう少し時間が必要だった。

 だがそこは歴戦の猛者どもである。予想を超える速さで練度を上げていた。

 「そこはこれ以上待てば米軍の戦力に対し圧倒的優勢を保てなくなるとの試算なのですから仕方ないですよ」

 そう着々と現地の航空基地には航空機が運び込まれ、また感染の新造も進んでいる。

 生産設備に余裕のない日本とはえらい違いであった。

 特に新鋭戦艦となるとすでに撃沈されたのも含め6隻を建造しておりさらに、モンタナ級まで建造中なのである。

 少しくるっているといってもいいぐらいだ。

 またそれでは足りないと更なる建艦も模索しているようだがこちらは、建造期間短縮を念頭に設計が進められているようだった。

 そのため軍令部では少なくとも2隻の新鋭戦艦がフィリピン攻略戦の迎撃に出張ってくると予想していた。

 対してこちらは初陣の「武蔵」ただ1艦ほかは条約型「天城」「赤城」である。弱い艦ではないが、巡洋戦艦ゆえの防御に対する不安が付きまとっていた。

 「だが主役は我々だ。台湾の第十一航空艦隊とともにコレヒドールをはじめとする航空基地の殲滅、機動部隊の殲滅とやることずくめだからな」

「では長官、どちらの任務を主と考えますか?」

 「それはもちろん機動部隊である。 

 航空基地は第十一航空艦隊に任せていけばぢじょうぶだ。特に海軍気が進出しているようではなさそうだしな。

 ここで変な横やりが入らなければよいのだが・・・」

 艦隊司令長官は大砲屋の高橋中将である。

 「さすがに航空戦の指揮は長官がとるのではないですか?」

 「そうなることを祈るだけだよ」


 「やっと着いたようだな」

 そうソマーヴィル大将はつぶやいた。

 シンガポールに4機の二式大艇が着水した。

 そう、ついに宇垣参謀長との作戦会議が始まるのである。

 「ようこそおいでいただきました」

 そうソマーヴィルは、シンガポールの地に上陸を果たした宇垣参謀長に言った。

 「こちらこそです長官。

 今回は無理を聞いてもらいありがとうございます」

 「では司令部にお越しください。

 のんびりとはできないでしょうから」

 「では早速はじめさせてもらおう」

 そうして、会議が始まった。

 「こちらとしましては、あなたがの提案を飲む準備があります」

 ソマーヴィルは開口一番そう言い放った。

 それには、やるかやらないかの議論に時間を費やす必要はない。

 早く作戦の詳細を詰めたほうが有意義だとの信念があったように思えた。

 そのことに一番驚いたのは宇垣参謀長だったと、黒島参謀は日記に書いている。

 「それはありがとうございます!」 

 その時宇垣は鉄仮面の異名からは想像できないほどの笑みをこぼしたというから、彼にとっても即座の賛成は予想していなかったようだ。

 もちろん東洋艦隊内で喧々諤々の議論があったことは、すでに述べている通りであるが。

 「確認ですが我々は、対地射撃及び残敵掃討が主任務と考えていいんですね?」

 ソマーヴィルが真意を知りたいと鋭く聞く。

 「はい敵主力部隊は我々が受け持ちます。ですが敵の規模によっては挟撃もしくは同一の戦列を組み攻撃を行うこともあるかもしれません」

 宇垣は隠さずに行った。

 そう、わずか3隻の戦艦では敵の増強具合でははが経たないことも十分考えられるのである。

 「それは話が違うので はないか!」

 G部隊指揮官バーナード中将が声を荒げていった。

 「そうとは言うが彼らとしても、明らかに戦力で上の相手に立ち向かう愚を貸したくないだけだろう。

 それに我々にとっても、日本海軍が大打撃を受ける危険は避けたい。 

 これは合理的な話だと思うが?」

 「ですが、事前の計画には含まれていない話ですよ」

 「おそらく最初からそう言ったら賛成を得られまいと考えたのだろう?」

 彼はそう宇垣に聞くように言った。 

 「そうだ、その通りだ。

 確かにだましたようになって済まない。

 だが、実際米軍がどこまで戦力を増強してくるかわからない以上仕方ないことだったのだ」

 宇垣はただそれだけ言った。

 「私としてはそれでいいと思う。では作戦の決行時期はいつになる?」

 「それは遅くとも12月にはやりたいと考えている」

 今度は鉄下面の異名そのままに硬い表情のまま言った。

 「そうか・・分かった。こちらとしてもいつでも出撃できるよう準備を整えておこう」

 これにて、作戦会議はおおむね日本側の満足する結果に終わった。

 あとは双方が作戦に向けて準備を進めるだけである。ここにきて日英は、同盟国間にふさわしい合同作戦に打って出ることになったのである。

 それから作戦までの1月半ほどを日英両軍は、決戦に向けた猛訓練に明け暮れることになる。




 そのころアメリカ海軍では、トラック沖海戦の敗戦を受け太平洋艦隊司令長官であった、キンメル大将が更迭され新たに、チェスターニミッツ大将が、その任についていた。

 ちなみに実戦部隊を指揮していたハルゼー中将は、責任を追及されなかった。それは、あくまで作戦の決行を指示したのは、キンメル大将であったことや最後まで奮闘精神を失わず、戦闘を続行していたことが明らかだったからにされたからである。

また引き際の手際の良さも高評価につながった。

 「おそらく日本軍は、次の作戦を遅くとも決行するでしょうな」

 尊大な態度でそうニミッツに言い放ったのは当然のごとく、ハルゼーである。

 「その通りだ、ハルゼー。

 敵はわがほうよりも補給、生産力に乏しい。よって先の海戦で得た度バンテージを生かそうとするならば、今年度中に行うだろう。

 また奴らには強敵である英国がついてしまっている。

 これが厄介だ。少なくとも彼らが中立ならば、わがほうの勝利は揺るがぬ。

 しかし、今は日本軍の強力な援軍だ。奴らの戦力はわがほうの生産力をもってしても追いつくことは難しい。

 なんせ奴らはまだ本格的な戦闘を、行っていないのだからな。

 そこで奴らがどこに来ようとしているのか、答えはほぼ決まっているが、それでもそれを早急に突き止めなければならない」

 「そりゃあボス、答えは決まってますぜ。フィリピンに奴らは絶対にやってきます。

 なんせかの地には、まだマッカーサーの野郎が居座ってるのですから」

 そう、トラック沖海戦失敗の影響で事実上孤立してしまっているフィリピンである。

 マッカーサーは現在、ルソン島、コレヒドール半島を要塞化し籠城の構えをとっている。

 まだアメリカは、フィリピンをあきらめていない。

 「おふたがたの意見に、賛成です」

 静かにそう告げたのは、暗号解読班の班長であるロシュフォートである。

 「現在、日英間での通信が非常に活発化しています。これは両軍による合同作戦が個会われる証拠といっていいでしょう。

 また、暗号を解読し切れたわけではないですが、マッカーサーを指すと思わえる通信がそれに乗じるかのように送られています。

 おそらく籠城している将軍に対する対応策でも練っているのでしょう。

 それらを考えると、ルソン島しか考えられません」

 ロシュフォートはそう強く断言した。

 やや間が空いてから、ニミッツがつぶやくように言った。

 「そうなると、より一層フィリピンへの補給を強化せねばなるまい」

 だがそれは簡単なことではない。

 今現状でも、日英両軍の監視下を縫うように補給を届けているのだ。それを増やすとなったら、どれほどの犠牲が出るかわかったものではない。

 しかし、現状の戦力では、太平洋艦隊が駆け付けるまで籠城できる保証は全くない。

 また、輸送艦はリバティシップが大量に生産されており、多少の損害にも耐えうる量が存在した。

 しかし、護衛艦の数はそこまで増やせない。

 なぜなら大量生産中のフレッチャー級は、艦隊決戦を主眼に作られており、敵戦力化への不十分な戦力での突入によって失われることはいくら物量を誇るアメリカとしても、避けたい自体であった。

 輸送艦護衛用の、護衛駆逐艦も建造が急がれているものの、十分な数がまだそろっていなかった。

 また対潜警戒などに約立てられる護衛空母などは着想すらされておらず、存在しない。

 そのため、制空力の全くない艦隊が敵制空権内に突入することになる。

 なぜ着想されてないのか、それはドイツによる無制限通商破壊作戦が行われていないからに尽きた。

 「長官ここは、空母を付け輸送艦の消耗を抑えるべきだと思います」

 そう輸送参謀が進言する。

 だがニミッツは、「空母を失うことは避けたい、奴らとしても空母はできるだけ消したい存在のはずだからな」と一言に切り捨てた。

 それはレンジャーを除き大型空母しか存在しないアメリカ海軍の、悲劇といえた。

 それに対し、日本軍は小型空母である、千代田、千歳が輸送船団の索敵や敵艦隊の早期警戒に用いられ、大きな効果を上げていた。

 だが直接敵潜水艦を撃沈していないがために、注目されていないのである。

 つまり、護衛空母という発想はどちらも持っていなかったが、それに近いことを日本海軍がやっていたということである。

 アメリカは、修羅の道に進もうとしてたが、現状以上のものを望めない以上、仕方のないことであった。

 そうして、戦力増強のために送り出された輸送船団は、確かに戦力増強に役立ったが、その反面、日英のサブマリナ-をはじめとする通商破壊舞台に戦果を献上することになった。

 だが、その損害がアメリカの許容量を超えることはなかった。

 最早使い捨てに近い面もあったが、それでも全滅することはまずなかったから、どうにかなってしまったのである。

 そしてハワイをはじめとする、太平洋艦隊泊地では、いずれぶつかることになる日英海軍を打ち破るための、もう訓練が行われていた。

 


 そうして、日英米の三カ国はそれぞれの思惑のもと、決戦へ向け、動き出したのである。

 第64話完

章間激戦前夜完



ということで作戦もまとまったようです

次回から、ふったび激闘が幕を開け(るのか…?)

お楽しみに

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