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南溟の艦隊  作者: 飛龍 信濃
トラック沖海戦 エニウェトク環礁沖海戦
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第48話エニウェトク環礁沖海戦攻撃隊苦戦

お久しぶりです

部活の事を家でやっていたため執筆時間が取れず、更新できませんでした

まだ不定期になると思います

零戦が、低速での格闘戦を制し、ワイルドキャットを撃墜する。

20ミリ機銃弾の直撃を受けた、ワイルドキャットは主翼を吹き飛ばされて落ちていく。

だが、ワイルドキャットも、急降下などの一撃離脱で零戦を、落としていく。

「今だ!」

そうワイルドキャットの乗員が叫ぶと同時に、機体を心地よい衝撃が走る。

それと同時に、主翼下の排莢孔から薬莢がバラバラと飛び散る。

6門もの機銃を装備しているだけあって、短時間での射撃にも関わらず、多量の薬莢が排出される。

それと同時に、彼が照準環に捉えた敵機に、機銃弾が吸い込まれていく。

そして、ほとんど同時に、主翼の3カ所に火花が散る。

それがさらに増えたと、思った瞬間に右翼が砕け散る。

その零戦は、大部分を失った右翼を中心に、くるくると回転しながら、大海原に散華する。

「次は、ケイトだ!」

彼はそう、興奮しながら叫ぶ。

確かに護衛は厚いが、何かできるかもしれない。

それにこの乱戦だ。

敵の注意が散漫になっていても、おかしくないだろう。

そう考えた彼は、機首をケイトの編隊に向けると、スロットルを押し込み、機体を全速で突っ込ませる。

ワイルドキャットが、加速されながら、ケイトに接近してゆく。

敵は、まだ気づいていないのか行動を起こそうとしない。

「奴ら、油断してるのか?

それともそう見せかけて、誘ってるのか?」

だが、彼らは、前方で展開される空中戦に、目が奪われており、単機接近する彼に気づいたものはいなかった。

彼は、ワイルドキャットを上昇させる。

当然フルスロットルで、である。

機体が、5000メートルに達すると同時に水平飛行に移る。

そうすれば、より勘付かれないだろう。

敵機の黒い点のような機体が、近づく。

「やれるな」

弾量計を見やりながら、そうニヤリとしつつ言った。

敵も、これと言った動きを見せない。

自分が、ケイトに対する一番槍になれるだろう。

「どこから突っ込んだものか・・・」

パッと見たところ、護衛らしき戦闘機は編隊の上下左右に満遍なく広がっており、隙があまりなかった。

「ケイトの迎撃は激しくなるが、後ろから行くしかないか・・」

彼はそうため息をつきながら、決断した。

前方から、突っ込んだなら多数の直掩機に食われるだけ、そう思ったのだ。

さらに言うなら、戦闘機には後方に打てる機銃は付いていない。

そのため迎撃に時間がかかる。

そうも考えられた。

「やはり、味方が押されているな」

彼はふと、思い出したかのように後方の戦場を見やった。

そこでは、敵よりも寡兵なワイルドキャットが、それでも諦めずに空戦を行っていた。

ここは是非とも、ケイトを1機でも多く撃墜したい。

そう彼は、思った。

艦隊の輪形陣と、それを構成する艦の防空網が、簡単に破られるとは思えないが、やはり航空機には、航空機で当たるのが一番だ。

艦隊が絶対に防げるという保証はないのだ。

「そろそろか?」

敵編隊の最後尾まで、もう少しというところまで、進出した。

だがまだ後続の、ワイルドキャットはやってこない。

自分のように、ジークをまけたのは、居ないようだ。

「敵は、ただの重荷を抱いた機体だ。

負けるわけがない!」

そう、自分を奮い立たせるため大音声で、彼は叫んだ。

それと同時に、急降下に移る。

操縦桿が押し込まれ、水平尾翼が作動し、後部を持ち上げる。

重力に従って、ワイルドキャットの速度が、一気に上昇する。

さらに、軽くロールをとることで、機首を敵機に向ける。

あとは、射程距離に入るまで、標的を捉え続けるだけだ。

なぜか、敵はまだ気づいて居なそうだ。

敵機の姿が、鮮明になるにつれて、主翼に描かれた深紅の丸が、目立ってくる。

こんなものを国籍マークにしないといけないとは何とも、大変だ、と彼は思った。

なんせ自己主張が、強すぎる。

とう目で見れば、問題ないのかもしれないが、ここまで接近すると、それを目標にして、売ってくださいと言っているようにも思えた。


「敵機直上急降下!」

その大音声の警告が入ったのは、あまりにも遅すぎた。

すでに敵機は九七式艦攻が、反応しても逃げきれない位置にまで、接近していた。

報告を送った零戦乗りは隊内電話に届かない様な声で、歯噛みしながら、「ちくしょう」とつぶやいた。

気づくのが、遅すぎた。迎撃はもう間に合わないのではないか?

だと言うならば、あとは命中率が高いとはとてもでは無いが言えない、九七式艦攻の防衛武装である旋回機銃に頼るしかなさそうだ。

まだ、旋回機銃が火を吹いていないのは、射程外だからだろう。

もっとも打ち上げは、威力が減少するため、もっと引きつけるつもりなのかも分からない。

彼の焦燥をよそに、敵機は九七式艦攻に猛禽のごとく接近してゆく。

「あっ!」

誰かがそう叫んだのが、隊内電話を通じてわかった。

その瞬間も彼は、しっかりと見ていた。


「てっ!」

彼が叫ぶと同時に、ワイルドキャットから、ケイトに向けて射弾が放たれる。

急角度で放たれたそれは、さながら熱を帯びたスコールのようだった。

適度にバラついた12.7ミリ弾が、九七式艦攻を満遍なく引き裂いていく。

少々長めに射撃を敢行したのが、功をとうしたのか、その敵機はボロ布のようになって、墜落していく。

彼はそのまま、敵編隊の下方に出ると、すぐさま上昇に移る。

彼の目には、ケイトの釣っている魚雷がしっかりと見えていた。

それが、さらに彼の奮闘精神に火をつけた。

そのまま彼は次の機体へと、突き進んだ。

ジークを反撃しようとしてくるが、まだ射程に入っていないらしく、銃弾は放ってこない。

もしくは、同士討ちを嫌っただけかもしれない。

どのみち彼は、その獲物もやれると強く確信していた。

プロペラが高速回転し、ワイルドキャットを力強く引っ張っていく。

ケイトの機体が一気に接近する。

敵機は、編隊を崩して逃走しようとした。

だが、それに意味はほぼなかった。

彼の機体が、その哀れな機を嘲笑するかのように銃撃する。

至近距離から放たれた、多数の機銃弾がケイトに突き刺さる。

次の瞬間魚雷が誘爆したのか、ひときわ大きい炸裂音を、周囲にとどろかせる。

煙が晴れる頃にはすでに、九七式艦攻は完全に分解しジュラルミン編だけになっていた。


「くそ!」

撃墜され無念の煙を吐きながら海面に、落下していく九七式艦攻を遠目に見ながら、満出大尉はくやしげにそう叫んだ。

守るべき存在をやすやすと攻撃されてしまったことが、かなりの衝撃だった。

それに数では、圧倒的に零戦の方が勝っていやはずだ。

なのに、九七式艦攻はやられてしまった。

いくら護衛機をつけても突破されるのか?

必ず攻撃前に犠牲は出てしまうのか?

彼の胸中には、その疑念が渦巻いていた。

「すまん・・・」

彼は、墜落していく九七式艦攻の、乗員に向けてそういった。

無念の極みであったが、それを引きずっていられない。

今も空戦は、続いているのだ。

そこまで考えが及んだ時、突如キャノピーの上を火線が吹き伸びていった。

気づかぬ間に敵機に、後ろを取られていたらしい。

今は敵の腕が未熟だったのか、助かったが次はないだろう。

戦場において、警戒を怠ったつけなのか。

彼はその瞬間ロールを打ちつつ減速した。

機体がロールを終える頃には、火線を放った敵機が零戦の前方に飛び出した。

「グラマンか」

彼はそう、いまいましげにつぶやいた。

すでに何度も空中戦を、戦っているが、ここまで近くで観察するのは初めてである。

確かに、いかつい機体だ。

装甲に優れているのも、頷ける。

それに、胴体が砲弾のようにずんぐりしている。

だが、旋回性能も悪くない。

おそらく、発動機出力の差なのだろう。

これが、国力の差なのか?

零戦がここまで華奢なのも、出力に余裕が無いからだ。

それに比べ敵機は、スマートさは無いが、出力の差でそれを補っているようにも、見えた。

敵もすばしっこいため、なかなか照準環にはいってこない。

機体が揺れる中、照準を合わせようと操縦桿を握る。


「ちくしょう!」

そう、下北一等飛行兵曹は、九七式艦攻の操縦桿を握りながらさけんだ。

彼の後方を飛行していた機が、やすやすら落とされてしまったのだ。

彼も、機銃員に指示して7.7ミリ旋回機銃によって、弾幕を僚機と共同で張っていたが、無意味だった。

敵機は、弾幕など無いかのように流れるように機銃弾を打ち込み、離脱していった。

僚機が落とされたのに、自分は無力だった。

そのことが、彼の中で悔しさ、憎悪として渦巻いていたのだ。

しかもその敵機は、流れるように上昇しながら、もう一機の艦攻まで落としていったのだ。

「零戦花にやってんですか!」

涙声になりながらそう、伝声管越しに行ってきたのは、今年からペアを組んでいた、偵察員の亦田二等飛行兵曹だった。

まだ、航空兵になってから日が浅いらしくこういった場面に遭遇するのに慣れていないのだろう。

いや、訓練不足か。

そんな彼に、下北一等飛行兵曹が諭すように言った。

「おちつけ、俺たちは落とされない。

それに今は運悪く警戒が、足りなかった箇所をつかれたんだ。

そう緊張するな。

緊張したほうが逆に、やられるぞ」

「分かりました」

亦田二等飛行兵曹は、そう泣き声で答えた。

「きたか!」

三たび敵機が、降下によって迫ってくる。

今度は、零戦が横合いから、機銃弾を打ち込まんと突っ込んでいる。

さすがに混乱から脱したようだ。

だが、敵機の動きはすばしっこい。

零戦が打ち込むのと、敵機が打ち込むの、どっちが速いかは、まだ分からなかった。

「行け!」

亦田二等飛行兵曹が、そう零戦に向けて叫んだ。

敵機は徹底して、編隊後部からうち減らして行くつもりのようだ。

確かに、弾幕が十分にはれず、絶好の位置と言えた。

再び九七式艦攻が、7.7ミリという細々とした、弾幕を送り込む。

だが、射撃に伴う強烈な反動によって、照準が安定しない。

本体が激しく揺れ、操作員の体を揺さぶるためだ。

特に機銃の照準が、上に行かないようにするので精一杯の、機もあった。

曳光弾が、敵機の至近をかすめていったように見えるが、命中はしていない。

もしくは、弾かれているのか。

どちらにせよ、敵機が弾幕によって、参っているようには見えなかった。

どの機も落とされんと、必死に弾幕を貼り続けるが敵機の動きは止まらない。

敵機は編隊を跳梁していく。

一気に標的となってしまった、艦攻と敵機の距離が詰まっていく。

それに比例するかにように、零戦も距離を詰めていく。

今のところ、編隊に達した敵機はその1機だけにようだ。


「間に合え!」

そう、零戦の狭苦しいコックピットの中で野家二等飛行兵曹は、叫んでいた。

敵機をこれ以上暴れさせるわけには行かない。

その思いが、強まったためだった。

彼は零戦を、フルスロットルで、敵機に突っ込ませる。

時たま艦攻が敵機に放っているはずの、7.7ミリ機銃弾がかすめるきがするが、大したことはない。

それよりも今は、敵機を撃滅するのが先決と彼は思っていた。

そのため自然と、操縦桿を握る手が強くなる

手汗が、酷いようだが、滑るほどでない。

それよりも今は、集中を敵機から外すわけには行かなかった。

このままだと、敵機の距離からして先に機銃弾を送り込めるかは、ギリギリだ。

そこで無駄な挙動を、とるのは許されない。

彼は、全神経を集中させて、敵機を睨むように見据えながら操縦桿を操作する。

零戦が微妙な操作によって、敵機を照準環に収めていく。

だがまだある20ミリも、7.7ミリも射程距離に入っていない。

それに下手をすれば、艦攻を巻き込んでしまう可能性もあった。

味方撃ちによって落とされたとあったら、艦攻の搭乗員も浮かばれないだろう。

だから、100メートルいかにまで、接近する必要があった。

敵機は気づいていないのか、無視しているだけか回避の挙動を全く見せない。

「つっ!」

彼は、息をそう吐きながら敵機を睨めつける。

だが敵機は、降下しながらの突撃だった。

敵機の機速が徐々に上がっているのを彼は、見落としていた。

「今!」

彼がそう叫びながら20ミリを、打ち込もうとした瞬間、敵機の両翼から白い煙が噴き出した。

彼が、数瞬もおかずに20ミリを放ったが、間に合わなかった。

一番最初に被弾したのは、九七式艦攻だった。

その機はキャノピーに直撃を食らったらしく、ガラス片がキラキラと舞っていた。

おそらく搭乗員は、助からないだろう。

だが次の瞬間、彼の放った弾丸も敵機に突入した。

胴体後部に曳光弾が吸い込まれたと思った、次の瞬間敵機の垂直、水平尾翼から後ろが瞬時に消し飛んだ。

その瞬間、敵機は操縦の自由を奪われ、揚力の均衡も奪われ機首が真上を向いたと見えた瞬間、発動機をしたにした墜落していった。

だが、搭乗員は、負傷していなかったらしく、落下傘が開いた。

「ちくしょう!!!」

彼はそう叫んだが、それが何に対してかは、分からなかった。

第48話完

て言うわけです

(ストック4話あるからそれ投稿しとけ)とはいきません

ストックはガチでやばい時以外は放出しないので・・・

ほぼ1週間ぶりですね・・

感想切にお願いします!

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