第37話トラック沖海戦 エンタープライズ防空戦 雷撃遂行
昨日投稿したため3話連投です
でもストックは大丈夫です
「 やられたか!」
背後で轟いた機体の破壊される音に、友永大尉はそうわめいた。
ついにやられてしまったのだ。それも対空砲火では無く、敵戦闘機の急襲と言う形で。
隊列はかなり崩れてしまっていた。
各々の機がバラバラに回避行動をとったためである。
だがそれもすぐに終わった。
最後尾の一気が落とされたのとほぼ同時に、友永機が射点へたどり着いたのだ。
「もうちょい」
そんな声が九七式艦攻の、キャノピーの中に響く。
この長い進撃はこの瞬間のためにあったのだ。
友永は、ここまで大切に運んできた魚雷を無駄にしないよう、慎重に狙いをつける。
彼の機体が小刻みに進路を変える。
敵艦が進むにつれて、最適な射角が若干変わるためだ。
なかなか容易には、最適な射角を得られない。
その間にも、敵艦が指呼の間に迫ってくる。
もう距離は1500を切っている。
もうこれ以上は、引き起こしの関係もあり粘れない。
「てっ!」
彼はそう意を決して叫びながら、魚雷投下策を引いた。
それと同時に機体がふわりと、浮き上がった。
1トンもの重量物が一時で消えたために、揚力が重量に対して大きくなり浮かび上がるのだ。
だが上がりすぎると、対空砲火の餌食となってしまうため、やや操縦桿を押し込む。
だが高度は、30メートル程度である。
敵艦を乗り越えねばならない関係から、これ以上下げると舷側に衝突してしまうのだ。
一気に敵艦の艦映が大きくなる。
ここからでは見えないが、投下した魚雷は敵艦の艦腹をえぐるべく直進しているだろう。
敵機は、空母「エンタープライズ」えと急速に接近していた。
見張り員が、「味方機敵1機撃墜!」を報じてきたものの、その程度で状況の打破はできない。
機銃が狂ったように唸り続けるが、敵機はその弾幕の下を飛行しているようだった。
「エンタープライズ」も33ノットの高速で前進しているが、敵機は巧みな操縦で常に機種を「エンタープライズ」の未来位置に向けているように見えた。
しかもそれが左右両舷から同時に、迫ってきているのだ。
いかに避けようとも、被雷は避けられないそう思った。
「エンタープライズ」艦長ニュートンHホワイト大佐は、完全回避は諦め、いかに被害を極限するかに思考を優先させていた。
もうここまで完全に、連携を取られてはどうにもならなかった。
「敵機投雷しました!」
見張り員が、絶叫をあげて報告を上げる。
まず左舷側の敵のそれが届いた。
そしてその報告が終わる頃、右舷側の敵機が投雷したとの報告が入れ替わるように入った。
「面舵いっぱい!」
彼は、両舷からの報告が入りきると同時に、艦橋全体に響き渡るような大音声でそう発令した。
「面舵いっぱい」
航海長が、即座に復唱を返し舵輪を一気に回す。
それと同時に機力を使って艦尾に付けられた、巨大な舵が、右側に向けられる。
だが3万トンの巨体はすぐには反応しない。
一泊置いてから、若干左に艦首を振ってから右に旋回し始めた。
あらかじめ当て舵を取っていたため、いつもよりも針かに反応が早い。
だがそうと言って敵の放った、魚雷を避け切れるかというとそうではない。
むしろ右舷側から「エンタープライズ」に迫ってくる魚雷に対しては、直撃コースになってしまう。
だが何もしなければ、両方から挟まれ一気に魚雷を食らってしまうだろう。
結果、被害を抑えるためどちらかにあたりに行く事になったのだ。
乗員が固唾を飲みながら見守る中、魚雷は白い航跡を残しながら、1直線に「エンタープライズ」めがけ進んでくる。
艦橋要員の目は、確実に命中弾を貰うだろう右舷側に釘付けになっていた。
もう魚雷を放った敵機は、爆音を轟かせながら交差するように「エンタープライズ」上空を通過していた。
もう「エンタープライズ」に取って残る敵は、魚雷だけだった。
艦首を「エンタープライズ」が右に降っていることも相まって、短時間で魚雷との距離が詰まる。
「総員対衝撃体制とれ!」
シュルシュルと伸びてきた白い航跡が、確実に春艦と交差するのが明らかになった時、艦長はそう艦内放送で叫んでいた。
その瞬間半数近くの乗員が、対衝撃体制を取るのが間に合った。
だが結局半数近くの乗員は間に合わなかった。
そして艦長が、それを言い終わった直後激しい振動が、「エンタープライズ」を襲った。
「命中です!」
村井定一等飛行兵曹の渾身の雄叫びが、友永機に轟いた。
敵艦の舷側に立ち上った、水柱は急速に離脱しつつある九七式艦攻の、後部座席からでもはっきりと見えた。
「何本だ?」
友永が、喜びをたたえた声音で聞いた。
「3本です!」
即座に返答が返される。
結局「エンタープライズ」に命中したのは、右舷からはなったものだけで、その中の3本が命中していたのだ。
だが彼はそれで確実に敵艦を撃沈できたとは思えなかった。
当然敵艦にも十分な対雷防御が施されているはずであり、大型の軍艦ならば当然だった。
彼は即座に、報告電を送るのをためらった。
「少し様子を見てから報告電は送ろう」
彼は結局そう結論ずけ、電信員の村井定一等飛行兵曹にそう言った。
敵艦との距離は、離脱していることもあって、離れていく一方だった。
だが、彼は一定の高度から見下ろすように敵艦を観察することに決めていた。
左右から、目標を挟撃した17機の艦攻が突入を開始した反対側へと離脱していく。
艦攻隊は敵機の急襲によって、1機を失ったもののその威風堂々たる編隊に変わりはなかった。
彼は十分敵艦隊から距離を置いたのち、合流するため上昇を開始した。
その九七式艦攻を操縦する彼らには、困難な仕事をやり遂げたという満足げな表情で満ちていた。
確かに無傷での完遂とはいかなかったが、それでも被害は最小に抑えられた。
これも零戦隊の敵戦闘機掃討が、十分に終わってから突入を開始したからであった。
「敵空母に命中3撃沈不確実」
結果このような報告が送られた。
燃料に限りがあり短時間しか、観察できなかったため、仕方のないことだった。
しかも航空からの観察になったため、正確さも不完全だった。
だが、彼らが去る時「エンタープライズ」は、ほぼ停止しているように見えた。
その瞬間「エンタープライズ」は激しい振動に見舞われた。
艦全体を、大地震をはるかに上回るような振動が包んだのである。
対衝撃態勢を取るのが遅れた者は、強かに隔壁に叩きつけられた。
負傷者のわめき声が、至る所から聞こえてくる。
艦橋でも、何人かが壁に叩きつけられ、倒れ込んでいた。
艦長も、衝撃をかわすことはできず腕から血を流していた。
「被雷箇所知らせ!」
艦長が、艦内放送と伝声管を用いて即座に被雷箇所を確認する。
「右舷機関室付近に2発、右舷艦首に1発、左舷中央部に1発です!」
ダメコン班の、班長が即座に損害を集計し報告を上げる。
友永機からは、右舷機関室付近にへの命中弾と左舷中央部のそれとが重なっていたため1本少なかったのだ。
「わかった、即座に応急処理を開始せよ」
艦長が力強く命じる。
その間にも、「エンタープライズ」は被雷数の多かった右舷側へと傾斜し始めていた。
「蒸気管破損!」
被雷の衝撃によって、いとも簡単にちぎれ飛んだ蒸気管から、タービンに送られ13万馬力の一端を担うはずだった蒸気が、右舷外側機関室に吹き出す。
罐室からしばらく距離があるため幾らかは、冷却されているものの飽和水蒸気の温度は、数百度に達する。
すでにその蒸気の直撃を浴びた機関科兵2名が、重傷を負っていた。
不幸な彼らはすでに救護班の手によって、救護室に運ばれていた。
それだけではない、機械室の至近に命中したため、勢いはさほどでも無いが浸水が始まっていた。
衝撃によって鋲が緩み、破口からの浸水が隔壁を乗り越えてきた水流が、機関室に流れ込んでいたのだ。
勢いは速くないものの、それは確実に水嵩を増していた。
被雷による破口が開いたのは、機関室の艦首寄りの隣の隣だった。
そこは防御が機関室に比べ若干ゆるく、それが一層被害を増していた。
敵の航空魚雷がまともに当たったそこには、3メートル以上の大きな破口が、貪欲に水を飲み込んでいた。
さらに、その2つ艦首寄りの部屋も航空魚雷の直撃を受け、室内をぐちゃぐちゃにされていた。
そこにいた者は、炸裂によるエネルギーとそれによって雪崩れ込んだ濁流によって、固く閉じられたハッチに叩きつけられ、戦死するか気を失っており、防水作業にかかる事が出来なかった。
又ダメコン班が、すぐに到着したものの、ハッチを開けることがなかなかできなかった。さらにその間にも、ハッチの隙間から浸水が進んでいった。
浸水を止めるには、艦外に開けられた大穴を塞ぐ必要がある。
その点、艦首よりの被雷箇所はまだよかった。
それと言うのも、その部屋自体があまり大きくなかったために、魚雷の炸裂エネルギーが部屋の中で拡散しきらず、隔壁をその後の濁流のごとく流れ込んだ浸水とともに、捻じ曲げ、粉砕してしまったのだ。
そのため浸水が一気に広まったが、短時間で水嵩があまり高くならず、防水作業に集中できたのだ。
「バブル閉めろ!」
機関長が、操作係の尉官に命じる。
命じられた彼は、その破れた蒸気管に対応するそれを、迷わず一気に回し締め切った。
それによって、蒸気の漏洩は止まった。
だがその高温蒸気を浴びたことによって、所々の塗料が溶けていた。
又その蒸気に炙られた壁面や、床面は百度には満たないものの、人が熱いと感じる程度に熱されていた。
下手をすると重度のやけどを負う程度の、温度である。
幸いにも、それ以外の複雑かつ品雑に並べれれたパイプの中で、切れたり穴が空いたのもはなかった。
また、すでに機関長によって第一機関室のタービンは運転を止められていた。
また他の被害の小さかった、第2第3機関室のそれも極度に低速で運転していた。
それは、減速することによって、水圧を減らし浸水量を減らすためである。
またある程度の速度を出すと親水を助長してしまうため、このような処置が取られらのだ。
「防水作業急げ!」
ダメコン班の班長らしき男が、そう叫ぶながら作業を行う。
ここは、まともに魚雷を浴びた箇所であり、速急に破口を塞ぎ浸水を食い止める必要があった。
だがその破口から流れ込む水圧は高く、作業はほとんどはかどっていなかった。
破口が大きいために適切な処置が、なかなかできなかったのだ。
「ポンプをもっと持ってこい!」
「しかし他の被雷箇所にも持ってかれていて、数が足りません!」
「なに!それだと水深を下げられないじゃないか。それに早くしないと浸水がもっと進んじまうぞ!」
そう彼は叫ぶが、ないものは無い。
それをどうにかする事は、実在しない魔法使いにしかできないだろう。
すでに艦首側から見て2番目の被雷箇所の、隔室は満水になっていた。排水もハッチが閉ざされていたため行うことができなかった結果である。
しかも、そこに空いたわずかな隙間から、艦内を侵食するように浸水が続いていた、
「傾斜10度です」
水平器を持っていた彼がそう告げる。
10度というとそこまできつくないとl考えるかもしれないが、実際はかなりの角度になる。
そのため一部の慣れきっていないものが、壁に激突したりしていた。
だが大多数の乗員は全員が一丸となって、浸水と戦っていた。
艦内に怒号が耐える暇はなかった。
それはとにかく浸水が止まらないからであった。
「機関停止せよ」
ついに艦長が決断を、下した。このままやったところで進まないだろうことが、よく分かったための指示であった。
それによって、今まで稼働していたものを含む全てのタービンが停止した。
その瞬間、艦を推進させる一切の力が失われた。
だが単に蒸気の流れを変えただけのため、いざとなればすぐに、速度を出すことはできないが今はそれが精一杯だった。
その瞬間「エンタープライズ」は、トラック沖の海域で停止したのだ。
さらに日本機が襲ってくるとも限らない為、なかなか緊張する時間だった。
だがそれによって、受ける水圧が多少なりとも減少した。
それに伴い防水作業の進みが、やや速くなった。
また機関室では、ついに隔壁が破られ一気に浸水が進んでいた。
さすがに濁流のごとく押し寄せる、浸水に隔壁が抗しきれなくなった結果だった。
それによって、彼らは一層の苦境に立たされた。
それはある意味絶望との勝負でもあった。
いつそれに飲まれるか。全乗員に広がるか、それが分かれ目だと思われた。
決死の防水作業にもかかわらず、浸水は止まらず、艦の傾斜も大きくなっていた。
第37話完
ふう
昨日はかなり書いたな・・
コミケの収穫
ストウィ本6冊
艦これ本10冊
軍艦本2冊
以上で
売り切れによって入手出来なかったのは無かったです(金欠で諦めたのは複数あり)
と買いまくったため、財布の中身は300円
使いまくったなあ・・・(遠い目)
お年玉入るしいいんだけど・・
艦これは凄まじかった・・・
なにあの密度ですよ・・
さて話を書きながら投稿です
暴走ってます
はい
トラック沖海戦まだ続きます
いつ終わるのか?
前回の分量1日で超えますね
はて
この話いつ終わるのか?
分からない
てか、エタらずに済むのか
読者はついてきてくれるのか?
感想切にお願いします




