表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
南溟の艦隊  作者: 飛龍 信濃
トラック沖海戦 レヴァイアサンの宴
21/66

第20話トラック沖海戦 「大和」の進軍

今回は大和回なのか?

「土佐」が、自身に残る6門の主砲を持って、敵艦へと射弾を放つ。

その頃に、「加賀」の放った射弾が着弾を迎える。

「命中1、近5」

観測機の報告が入る。

「なんて硬いんだ!」

「土佐」艦長、長岡大佐が叫んだ。

彼は、狼狽を隠せずにいた。

今までに、何発の41センチ砲弾を命中させてきたことだろうか?

だが、敵はほとんど弱った様子を見せてくれない。

そんな敵を前に、冷静沈着の評も有る彼でさえも、叫ばずには居られなかった。

「土佐」はすでに、3/5の主砲をすでに削り取られているのに、敵艦の主砲は全門が健在なのだ。

しかも、「加賀」も加わり2対1の劣勢にたったにもかかわらず、「土佐」に対して優勢に砲戦を進めている。

これが、15年を経た旧式艦と新鋭艦の差なのかと、思わないでは、居られない。

「砲術どうした。早く敵を叩き潰せ!」

少しヤケになった艦長が、そう言った。

伝声管越しに、それを聞いた射撃指揮所の松屋上等兵は、少し怯んでいた

それだけ、艦長の口調に迫力があったのだ。

だが、いくら艦長が発破をかけたとしても、命中率がそれで上がるといったことはない。

これまでと変わらず、時たま命中弾が出るだけである。

「土佐」が、射撃を敢行する。

それと共に、41センチ砲射撃の反動が、「土佐」を襲う。

かなり少なくなったとはいえ、まだまだ大きい衝撃だ。

「「大和」が敵二番艦の主砲1基を、粉砕した模様!」

艦橋に立つ見張り員が、砲声に負けじと声を張り上げていった。

彼は、ベテランであり、目の前の目標だけでなく、敵二番四番艦についても、見張りを行っていた。

それが、生きた形と今回はなったのだ。

「本当か!やはり「大和」は凄いな」

長岡艦長が、感心したように言った。

彼は、「大和」の主砲が46センチだと聞いた時、とてつもない戦艦だなと、思ったのだ。

その「大和」が、実戦で戦果を挙げているのだ。

嬉しくないはずがないだろう。

これに、「土佐」がしっかり戦果を挙げていれば、文句は完全に無かっただろう。

「大和」の存在は、現在国民には秘匿されている。

流石に竣工から、半年近く経とうとしてるため、目撃はされ始めていたが、詳細なところまで観察されることはなかった。

だから、帝国海軍が新しい戦艦を建造したらしい、という噂は広まっても、それ以上の事は広がっていない。

だから、今度は41センチ砲を12門載せてるとか、33ノットが出せる高速艦だとか、様々な憶測が流れ他のだ。

これは結果として、アメリカ側に詳細を知られなかったということで、情報秘匿が一定の成功を収めたと言っていいだろう。

だが、今回の海戦が終われば、「大和」が46センチ砲を乗せていることは確実にばれるだろうから、艦名だけでも発表される事が、開戦に伴うドタバタの中で決定されていた。

「ようやく1基か」

「大和」艦長松田千秋大佐が、そうぼやく。

「大和」はこれまでも、ある程度の命中弾を出していたのだが、なかなか重要区画に命中弾を出せなかったのだ。

だが遂に、「大和」の46センチ砲弾が、敵砲塔を捉え爆砕したのだ。

その1発は、敵艦の第二砲塔に斜め上方から激突し、装甲を抜けた直後に炸裂したのだ。

その為、敵艦の艦体自体には、被害はほとんど無かった。

だがそれを、松田艦長らが知る術はない。

「大和」敵一番艦から受けた命中弾に加えて、さらに被弾していた。

その為、敵艦に向いている右舷側特に、煙突のある周辺は、平らになっていた。

そこには、15、5センチ三連装砲や、12、6センチ連装高角砲3基などがあったが、それらは皆等しく、敵弾の炸裂によって、海の藻屑とかしていたのだ。

結果、装甲は未だ破られていないものの、戦力ダウンを来していた。

「大和」の46センチ砲が激しく咆哮し、46センチ砲弾を撃ち放つ。

それと同時に反動による衝撃が、「大和」の艦体に襲いかかる。

だが、全幅38、9メートル満載排水量72000トンの艦体が、比較的余裕で受け止める。

今「大和」の艦体を揺るがしているのは、自身の主砲射撃に伴う反動と、敵16インチ砲弾の直撃だけだった。

凪までとはいかないものの、平穏な太平洋の波は、「大和」を揺らすには至らない。

今も、艦首が波を突き破りそのまま、裂きながら前進していく。

「「加賀」「土佐」はどうしたもんかね?」

不意に、第一艦隊司令長官高須四郎中将が、いった。

それは、長年連合艦隊の頂点として、君臨してきた艦たちであるだけに、不甲斐ない戦闘に不満がたまったようだ。

「なんとも言えませんが、敵二番を屠ったら「大和」が射撃を行う必要があるかも知れませんね。少しは、「伊勢」や「扶桑」を見習ってもらいたいですよ」

「確かに、「扶桑」や「伊勢」と比べてしまうと劣ってしまうな」

高須長官の元に先程、「扶桑」からの戦果&撤退電が届いた。

だからそのことも入れての発言だった。

高須長官が言い終わると同時に、「大和」を強大な衝撃が襲った。

「また後部か!」

松田艦長が、そう叫日終わったところで、被害報告が届いた。

「読め」

自身の旗艦に関わる事柄の為、高須長官が率先していった。

「はっ!」

伝令は、天下の第一艦隊司令長官に、ここまで言われたために、カチコチに緊張しながら言った。

彼の内心はかなり、緊張で満たされたことだろう。

「ジグクレーン基部に命中したらしく、根元から折れています」

「それだけか?」

第一艦隊司令長官は、威圧感を与えないようことさら優しい声音でいった。

「もう一つこれによって、水上機の運営が無理になったそうです」

伝令は、それだけ言うとそそくさと、持ち場に戻っていった。

「索敵、対潜哨戒に支障が出るか」

高須長官が、そう報告を聞いていった。

すでに彼の元には、かなりの艦から水上機が運用不能になったと、報告が多数届いていた。

だがこれは幾分仕方のないことだ。

最悪後方で上空直掩の任に当たっている、二航戦の「飛龍」「蒼龍」から九七式艦上攻撃機を呼び寄せることになるだろう。

「ですが、水上機体自体は全機が健在の為、補給ができれば、問題はないと考えますが」

松田艦長が、そう聞いた。

「 だが、その膨大な量の燃料を、どうやって調達するんだ?」

「二航戦の空母に、補給をさせればいいのではないでしょうか」

現実的ではないと高須長官は、思った。

ただでさえ二航戦の「飛龍」「蒼龍」は、中型で搭載量が、あまり大きくない。

だから、自艦の飛行隊の分だけで、精一杯だろう。

それにすでに戦闘機隊を、出撃させていた。

それに、九七式艦攻を使用した、敵艦隊追撃の計画もある。

ここで、水上機用の燃料を、融通するだけの余裕はなかった。

その他の艦も、大半が運用設備を失っている。

まだ、零式観測機が燃料切れを起こす時間では無い為、海戦終了後航空設備が健在な艦が、ジグクレーンを使って、水上機を所属艦に運搬する事になるだろう。

そこまで、考えが巡った頃「大和」が、さらなる射撃を放った。

今までと変わらない、9発の鉄の塊は大気を熱しつつ、敵艦めがけ飛翔する。

今頃は敵艦も、砲弾を装填しているのだろう。

「敵九、十番艦に水柱です!」

その時、後部見張り員から僚艦があげた戦果報告が、入ってきた。

「無線室です」

ここで艦内電話が、鳴った。

「どうした?」

松田艦長が、慣れた口調で言った。

「一水戦よりです」

ここで一度言葉が途切れる。

艦長の反応を、伺っているのだろう。

「早く言え」

松田艦長が、業を煮やして言った。

「(我敵九、十番艦を雷撃せり。命中各4大破確実)以上です」

「分かった」

一水戦が、やったか。どうせならニ、三番艦をやって欲しかったが、敵の迎撃を考えれば、仕方ないか。

彼はそう腹の中で、素早く呟いてから、本心を隠すように出来る限り明るく言った。

「一水戦がやったぞ!敵戦艦2隻大破確実だ」

その瞬間、艦橋内が歓声で包まれた。

まるで、自艦がやったかのようだ。

「着弾今!」

その雰囲気にも流されず、律儀に計測を続けていた計測員が、言った。

その瞬間、艦長をはじめとする、艦橋要員達の意識が瞬時に、敵艦に向けられる。

そして、敵艦の前部で盛大な閃光が巻き起こった。

そして、棒状のものが吹き飛ぶのが見えた。

誰もが一撃轟沈を、疑わなかったがそこまでには至らない。

敵艦も、負けじと打ち返してくる。

だが発射炎は、後部からしか発生して居なかった。

「敵の前部砲塔を、撃破したものと認む」

そう、見張り員からの報告が入ってくる。


「ずいぶんと、やられたな」

第一第二砲塔を、破壊された「インディアナ」艦長メリル大佐が、そう燃え盛る前甲板を見ながら言った。

「しかしまだ本艦は、戦闘力を保持しています。引く必要はありません!」

副長のモーリシャス中佐が、強い口調でそう言った。

「確かに、第三砲塔は健在だが・・」

メリル艦長は、口ごもりながら言った。

「それに本艦が引いてしまえば、「ワシントン」への砲撃が、さらに集中してしまいます!」

モーリシャス中佐は、「インディアナ」が戦線にとどまる必要性を、声高に艦長に説いた。

「確かにそうだな」

艦長は、弱々しくそう言った。

自艦をここまでやられてしまい、意気消沈してしまっているのだろう。

それに、まだ「インディアナ」は全力航行可能だ。

浸水も起こっていない。

まだまだ、戦い続けられるはずだ。

そうしてる間に、敵の放った砲弾が着弾し、「インディアナ」を激しく揺さぶる。

再び、前甲板に命中していた。

今度の被弾は、破壊された16インチ三連装砲塔の残骸を、吹き飛ばした。

それによって、数千トンの重量が一気に軽くなった。

そのため、期せずして艦首が持ち上がった。

だが次の瞬間には、艦首から波濤に突っ込む。

それによって、艦内に浸水が起こった。

それが、幸運にも艦のトリムを治す手助けになった。

さらに、波濤に突っ込んだことで、さらに前甲板が綺麗に慣らされた。

もはや、破壊された残骸はほとんどない。

「艦長だ、全乗員に次ぐ。本艦は、戦闘を続行する。それについては、いかなる損害を被るかもわからない。

総員、ダメコンの準備をしっかりやれ。それが命の別れ間になると、心得よ」

艦長がそう言うと、艦内に一瞬の静寂が起こった。

だが次の瞬間には、歓声が包んでいた。

「やってやらあ!」

「「サウスダコタ」の仇だ!」

「いいぞ!」

そして、その声援に応えるように、唯一残った第三砲塔が火を吹いた。

艦橋に伝わってくる衝撃が、一気に小さくなった。

「やってくれよ」

敵艦が見える位置にいる乗員は、祈る気持ちでそう言った。

しかし、それより先に憎き敵艦が、射弾を放った。

そして「インディアナ」が、放った3発の16インチ砲弾が着弾する。

だが、被弾によってしょ元が狂ったのか、近に着弾したのは無かった。

それによって、艦内を沈黙が覆った頃敵艦が放った、射弾が「インディアナ」の周囲に水柱を吹き上げた。

だが、命中弾は無かったため、艦長が胸を撫でろした瞬間、激しい衝撃が「インディアナ」を襲った。

その破局は、突然訪れた。

前兆は全くなかった。

だが「インディアナ」は、はらわたをえぐられたのだ。

艦橋を襲った衝撃は、艦底から波及したものだった。

艦底には、魚雷を食らったわけではないのにかかわらず大穴が開いていた。

そこから、海水が激しい勢いで、流入し始めていた。

防水排水、急げ!」

モーリシャス中佐が、ダメコン班に命ずる。

しかし、誰にもどうしてこうなったのか分からなかった。

その「インディアナ」を襲った攻撃の正体は、「大和」の放った46センチ砲弾だった。

それが直前で入水、水中弾となり「インディアナ」に激突したのだ。

これは、水柱弾を多少出やすくする九一式徹甲弾の、おかげであった。

「右舷注水急げ!」

モーリシャス中佐が、素早く命じていく。

まだ彼らは、自分たちの乗艦「インディアナ」を救えると思っていたのだ。

だが次の瞬間、再び「インディアナ」を敵の主砲弾が押し包んだ。

そして今度は、中央部に再び被弾した。

ギリギリ装甲が、弾き最悪の事態は免れた。

だが、この衝撃でさらに浸水が増加した。

その浸水によって、「インディアナ」の艦体が、左に傾斜し始める。

この状況は、かなりまずい。

そのため、艦内の全ホースを集め、排水に全力で当たっていたが、傾斜を止める程度の意味しかなかった。

そして敵艦は、再び止めをさすように、射弾を放ってくる。

「もうだめだ!」

艦橋で誰かがそう、わめいた。

「しっかりしろ!」

彼の上官が、彼を正気に保つために声をかける。

そして、再び巨大な衝撃が、「インディアナ」を襲った。

第20話完

なんかインディナが主役だったような

ともかく昨日できないかもって言いましたが、間に合いました

一気に3000書いた

これもストックだけど

プラモ

やっぱ青島もしくはフジミもしくはピットロードがいいなあ

感想お待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ