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南溟の艦隊  作者: 飛龍 信濃
トラック沖海戦 レヴァイアサンの宴
15/66

第14話トラック沖海戦 奮戦の「古鷹」

久しぶりな投稿です

気づくと前作の方が1日あたりのアクセス数多かったり

「加古」は、艦の至る所に被弾し甲板は、火で包まれていた。

特に艦中央部から後部にかけて、集中して被弾しており、至る所に残骸が転がっている。

異様を持っていた集合煙突も、穴だらけになっており、黒色に塗装されていた部分は、完全に消し飛んでいた。

「消火急げ!」

「加古」艦長高橋雄二大佐は、ダメージコントロールを行っている副長に言った。

だがそれもあまり意味がないことは、彼もよくわかっていた。

すでに応急班は、全力で消火を行っていたのだから。

だが、被弾の影響で消火用のホースが破壊されていたり、ポンプ自体が破壊されており、火災の規模に対して明らかに足りなかった。

それでも、何とか延焼だけは防いでおり、火炎が艦橋から全部へ広がることはなかった。

艦長はすでに面舵を下令しており、「加古」は戦線から離脱しつつあった。

幸いにも罐は、6基が健在であり主機は無傷だった為、離脱に影響はほとんどなかった。

「傾斜、2度」

注排水班から、報告が入る。

「加古」は敵の水中弾を1発艦中央部に喰らっており、6度の傾斜を起こしていたのだ。

だがこれは、即座に防水処置が取られ浸水を食い止めた為、注排水によって復元が可能だった。

現在「加古」は傾斜を2度まで復元していた。

ここまで復元出来れば、航行に影響はない。また、これ以上の注水は、艦の重量を上げ速力発揮に不利になる為見送られた。

「「古鷹」反転します!」

見張り員から、喜色に満ちた声が届いた。

「加古」は今も、敵艦からの追撃を受けている。

「加古」が反転したために、命中精度は下がっていたが、いつまた被弾するか分からなかったのだ。

「「古鷹」が来たぞ!」

艦内に歓喜の叫びが、あがった。

すでに敵駆逐艦4隻を、葬った姉妹艦が来てくれたのだ。

「遅いぞ」

艦長がポツリと言った。

それは、誰への言葉だったかは誰にも分からなかった。

「「古鷹」斉射開始しました!」

見張り員から、再び報告が入った。

「古鷹」は、「加古」に群がる3隻の駆逐艦に対し。、初弾から斉射を放ったのだ。

「加古」も1隻は仕留めていた。

「古鷹」の初弾が、「加古」に一番近づいていた敵艦に着弾する。

敵艦の後ろから撃っているからか、精度はいまいち良くない。

だが敵艦の認識を、「加古」から「古鷹」に移す事にはなった。


「遠5近1」

見張り員から、第一斉射の着弾位置が知らされる。

「精度は良くないか」

中川艦長が、残念そうに言った。

初弾命中を狙っていたのだが、やはり無理だった。

砲身は、左舷前方に向けれられている。

そして、激しい砲音と共に砲身が後退する。

「古鷹」は第二斉射を、放ったのである。

「当たってくれよ」

誰ともなく言った。

「敵艦転舵します!」

見張り員が、叫び声と共に報告してくる。

だが、敵艦が転舵仕切る前に水柱が、立ち上る。

「命中1!」

見張り員が、明るい声音で言った。

「古鷹」は第二斉射で、早くも命中弾を得たのだ。

だが、敵艦が転舵してしまった以上、照準を合わせ直さなければならない。

その為「古鷹」の主砲が、しばらく沈黙する。

「逃げ切ってくれよ「加古」」

艦長が静かに言った。

相手は、日本をはるかに上回る国力を持つ、アメリカなのだ。

被害が少ないほど良いのは、自明であった。

その時、射撃指揮所から「砲撃準備完了」の報告が入ってくる。

「撃ち方始め!」

艦長が、再びその台詞をはく。

その咆哮と共に、「古鷹」に砲撃に伴う衝撃が襲いかかる。

敵艦を粉砕すべく、6発の砲弾が放たれたのである。

遅まきながらも、「敵艦発砲」の報告が、見張りから入ってくる。

だが、敵艦のそれは、艦首部に向けられる2門の主砲でしかない。

即ち3艦合計して、ようやく6発である。

これでは重巡を手数で押すことなどできない。

即ち「古鷹」は、敵艦に対し丁字を描くような態勢になっていたのだ。

「古鷹」は、砲数で優位に立っていた。

矢継ぎ早に「古鷹」は、斉射を放っていく。

とはいえ、20秒に1発の割合であるが。

しかし、「古鷹」の放つ砲弾は、確実に敵艦に打撃を与えていく。

「いいぞ、そろそろ一水戦の魚雷が届く頃か」

中川艦長は、敵一番艦を沈黙させた直後にそう呟いていた。


「なんだやつは!」

「古鷹」と相対している駆逐艦「パターソン」艦長ブリッジ艦長は、そう艦橋で呆然としながら言った。

敵巡洋艦を共に叩きのめした、僚艦の「パーキンス」が逆に叩きのめされている。

それが、彼には信じられなかった。

敵巡洋艦を叩きのめした直後に、もう一隊の駆逐隊を叩きのめした艦が、反転してきたときは焦ったが、士気は最高に高まっていたから、再び敵艦を叩きのめせると思っていた。

そう敵艦が、射撃を開始するまでは。

敵艦は、先ほどの間と比べ物にならない手際の良さで、「パーキンス」に射弾を加えていった。

それでも、数の優位を疑ってはいなかったが「パーキンス」が叩きのめされていくにつれ、その自信は少しずつ薄れていった。

そして今、「パーキンス」が完全に打ちのめされた瞬間、彼らの自信は完全に氷解していた。

「やっぱ、巡洋艦には勝てないのか!」

その叫びが、「パターソン」でも巻き起こっていた。

だが艦長のブリッジ中佐に出来ることはなかった。

なぜなら彼もまた、呆然と艦橋に立ちすくんでいたからだ。

彼の顔からはもう、血の気が失せている。

「次は我が艦だ」

彼は、かろうじてそう言葉を紡ぎ出した。

しかし後退を命じることはない。

恐怖に感情を塗り固められていたが、ここで負ければ巡洋艦にも雷撃を許してしまう。

との意識がかろうじて、彼の戦意を支えていたのだ。

「雷撃準備よし!」

その時だった。

水雷長から、威勢のいい声でそう告げられたのである。

「雷撃準備を命じた覚えはないが?」

艦長は、反射的にそういった。

「このままでは、本艦もやられてしまいます!ならばその前に、魚雷を放つべきと思います!」

そう水雷長は、強い口調で言った。

艦長は、少々逡巡してから言った。

もうすでに「パターソン」に、敵の目標は移っており、水柱が艦を囲むように立ち上っていた。

「わかった、面舵!」

艦長がそう言うと同時に、待ってましたと言わんばかりに、舵輪が回される。

そして、寸秒の間を空けて艦が右へと回り始める。

一見敵から離れるように見えるが、丁字を描かれている為、その方が早く同航の構えを取れる。

「発射!」

の命令が、タイミングを見計らった艦長から、伝えられる。

待ってましたと言わんばかりに、右舷側にめがけて魚雷が放たれた。

「パターソン」が放った魚雷は、8本の白い航跡を残しながら、目標に突進していった。

おおよそ、破れかぶれな面が大きかったが、標準は悪くなかった。

しかし、その結果を彼等が知ることは終ぞとしてなかった。

8本の魚雷を放ち、航跡を確認した直後「古鷹」の放った12センチ高角砲弾が、艦橋を直撃したのだ。

主砲に比べ破壊力で格段に劣るが、駆逐艦の艦橋を爆砕する事は、なんのこともなかった。

さらにその直後、「古鷹」に取って本命の20、3センチ砲弾が、弦側に直撃した。

命中した場所は、右舷中央部。

その瞬間「パターソン」は、航行の自由を奪われた。

そう艦内部で炸裂した砲弾が、機関や罐を吹き飛ばしたのだ。

特に罐は、完全に壊されてしまっていた。

しかし「パターソン」は、沈むことなく浮かんでいた。

罐を破壊されたものの、水線下に被害が及んでいなかったのだ。

さらに魚雷を既に放っていたことも、プラスに働いていた。

艦中央部に魚雷発射管は、設置されている。

そのため、魚雷がまだ装填されていたなら、8本の魚雷が一斉に炸裂し「パターソン」は、轟沈していただろう。

「古鷹」は、「パターソン」への射撃を、やめ「パターソン」の放った魚雷の回避に移った。

だが、最後にはなった射弾が、「パターソン」に突き刺さった時、「パターソン」の命運は定まった。

その命中弾は、艦首に生じた。

そして、第一砲直下の弾薬庫に侵入した瞬間、炸裂したのだ。

その瞬間海を圧する轟音が轟き、「パターソン」の艦体は、粉々に砕け散った。

弾薬庫誘爆を、起こしたのである。

装甲のない駆逐艦が、耐えられるはずもなかった。

「パターソン」の外板は、内側から引き剥がされ主砲は、真上に跳ねあげられて、

さらにそれは第二砲弾薬庫の誘爆を引き起こし、連鎖的にその被害を、拡大していった。

その結果、艦内をくまなく爆砕された「パターソン」は、1人の生存者を残すことなく、消滅した。

沈没ではない、消滅と言うべきだろう。


「敵艦轟沈しました」

見張り員が、あっけにとられた声で言った。

「やったぞ!」

その瞬間艦橋に、歓声が巻き起こった。

だが、それに水を差す報告が入ってきた。

「敵艦魚雷を放ちました!」

見張り員が、「古鷹」に向けて伸びている、白い航跡を発見したのだ。

「取り舵いっぱい!」

中川艦長が、反射的に叫ぶ。

魚雷の来る方向に艦首を向けることで、魚雷との対向面積を減らすのだ。

更に角度によっては、魚雷を弾き飛ばすこともできる。

相手が放った魚雷は、白い航跡を残しているため、よく見えた。

「回避成功!」

艦長の声が響いた。

航跡を見て、当たる可能性は無いと踏んだのだ。

緊迫の時が流れるが、艦長の言う通り「古鷹」を魚雷が襲うことは無かった。


「そろそろだな」

一水戦旗艦「阿武隈」の艦橋で、大森仙太郎少将が、言った。

「はいもうじきの筈です」

「阿武隈」艦長村山清六大佐が、そう言った。

それと前後するかのように計測員から「時間!」の報告が入る。

12隻計76本の魚雷が、敵巡洋艦列に突入したのだ。

だが、敵艦も雷撃を察知して回避行動に入っていたため、直ぐには報告が入らない。

そして「まだか?」の声が漏れ始めた頃海を殷殷 と響き渡る、大音響が轟いた。

「命中!」

の声が、聞こえてくる。


その瞬間、「ボストン」は激しく揺さぶられた。

艦橋内でもカーソン艦長をはじめとする、首脳陣が壁に体を強かに打ちつけていた。

「どうした!」

いち早く衝撃から立ち直った「ボストン」艦長カーソン大佐が、叫んだ。

即座にダメコンから、答えが入ってきた。

「左舷艦首部に1発、中央部に2発被弾しました!」

それを聞いた瞬間艦長は、軽い絶望に包まれたが、直ぐに「防水作業開始!排水急げ!」と命令を下していた。

艦首部では、第一砲塔弾薬庫の装甲板が、浸水との最終防衛線になっていた。

「ここが破られたら終わりだ!補強急げ!」

頑丈なはずの装甲板が、たわんでいる。

「機関逆進急げ!」

若干間を置いてから、艦長が言った。

その瞬間、「ボストン」は何か目に見えない力が加わったかのごとく、減速した。

「角材急げ!」

第一砲塔弾薬庫の装甲板を、破られないために角材によって、補強するのだ。

しかし、強度の高いはずの装甲板をたわませるほどの水圧である。

角材も、ぐにゃりと曲がってしまうものが続出した。

だが、艦が停止したために水圧が幾分か和らいだ。

その瞬間を見計らってか、一気に6本の角材が押してけられた。

しかし、それが終わった直後に再び水圧が高まった。

理由はおそらく艦首が沈降し始めているから、だろう。

備え付けられた6本の角材が、曲げられそうになるが、間髪入れずにどんどん角材を追加していく。

それと並行して、排水も進められる。

装甲板を挟んだ、反対側には手を出せないが、装甲板を超えて侵入してきた分になら、対処出来る。

ホースを使った、排水が始められた。

だが、追いつく気配がない。

そうこうしている間にも、左舷側への傾斜が、強まっていくのを感じる。

左舷中央部に命中した魚雷は、より深刻な被害を「ボストン」にもたらしていたのだ。

そう既に左舷外側に設置されていた、罐室への浸水が始まっていたのだ。

2本の魚雷がほとんど同じ箇所に命中したため、10メートルほどの大穴が弦側に空いていたのだ。

「排水急げ!」

既に罐室内の浸水は、膝がつかるほどまでに達していた。

早く排水しなければ、罐室を境にした防水しかできない。

この状況では、それで耐えきれるとは思えなかった。

そのため、排水ポンプのほとんどが、罐室に投入されていた。

だが、浸水量は減らない。

排水量と浸水量が、拮抗しているのだ。

「急げ、バケツも持ってこい!」

誰かがそういった。

そのため、バケツが一気に持ってこられ、乗員による決死のバケツリレーが、始められた。

「なんとかなるか?」

そう誰かが言った。

始める前に比べれば、水かさが、若干下がったように思われたのだ。

「艦長、なんとかなりそうです!」

ダメコンから、安堵の声とともに報告が入った。

「そうか・・」

艦長も、気が抜けたような声で返した。

だが、それも束の間のことにすぎなかった。

第14話完

てな感じです

ストックは19話の半分まであります

しっかし空母のマスキングと艦載艇のマスキングはめんどい

感想待ってます^_^

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