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パンドラの鍵  作者: 夕凪
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プロローグ:パンドラの箱を開けた朝

5時45分、目覚まし時計が鳴り出す前に止める

体が重く感じる、まだ眠り続けたい

でも当たり前の朝を始める時間になったんだ


娘の食事を作り食べさせている間に出勤する準備をしないといけない

保育園が開いたと同時に娘を預け、渋滞しない道を選ぶ

8時には仕事が始まるから7時50分には職場につかないと・・・

16時過ぎに仕事を終えて、娘を迎えに行き夕食の買い物をして

料理が出来上がる間に娘とお風呂に入り、その後は出来上がった夕食を食べ

翌日の準備をして21時に娘を寝かしつけながら一緒に深い深い眠りに入り、

そしてまた同じ朝がやってくるのだ


この生活が3年続いている。

母子家庭になってから、もう3年以上過ぎている

彼が出来て2年。娘のことを可愛がってくれている、ありがたい

一緒に暮らすようになっても日常のペースは変えてはいない


職場の上司、同僚とは自分なりに上手く合わせているつもりだけれど

心のどこかで「理不尽だな」と思うことばかりで

仕事には集中できても、それ以外のコミュニケーションは正直苦手だ・・・


若いだけで重労働を押し付けられ体がもうボロボロ

病院に通うにも時間がない

電気が走るような背中の痛みには緊張感と気力だけで耐える

「若いから気が効かないのよ」聞こえるように言う無神経さに理解ができない

でもこの場で言い返せば「まだ若いから・・・」と言われるだろうから

言葉を発さず精一杯の作り笑いを絞り出し

その空気から逃れる習慣が身についた

一番なりたくない大人になってしまったような嫌悪感に陥る


そしてまた時間に追われる当たり前の朝が始まる


雪解けが進み、まだ肌寒い朝に一瞬優しい春の風が頬を伝わった

その風に誘われ車のドアを開けたまま、空を見上げた


最後に青空を見たのはいつだっただろうか?


空を見上げた後、周囲を確認するように見渡すと

生き生きと芽吹いた木々と

雪の隙間に咲いている小さな花に目がいった


知ってるはずの、この小さな花の名前が思い出せない


その瞬間、ここ数年間の記憶が思い出せないことに気がつき

次の瞬間、ものすごい速さでフラッシュバックが始まった

気が遠くなるような過去に引き戻され恐怖と不安が一気に襲う

封印していた1つ目の箱を開けてしまった



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