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第九章、学園編プロローグ、異者はまたまた出会う?(2)

「あの、助けてくれてありがとうございました」


 俺の前には茶色のおさげを可愛らしく結んだ女の子がいる。


 下手くそなナンパをしてた半獣人から助けてあげた少女、マリアン=フェイトナだ。


「いや、俺達のせいで無駄に注目されちまったな。こちらこそ悪かったな」

「何か起こる前で良かったね、マリアンさん」

「そうでござるな。あんな悪漢拙者の刀のサビにしてもよかったんでござるが」


 あの程度で、斬り殺されてたらきりがないだろう。

 もしかしてこの世界じゃ気に入らない奴や、女性を無理に誘うような奴は死んでもいいのか?


「サカヅキさん。それじゃあ、ただの人斬りですよ。僕達の仲間で逮捕されるのは嫌ですよ」

「む、そうでござるな。シズマ殿にいらん心配をかけてしまったか、申し訳ござらん」


 ……と言う訳でも、無いみたいだ。逮捕……自警団や警察に近い組織があるのか?

 国が持つ軍の事だろうか?


 今度、誰かに聞いてみるか。


「まあ、過激派のこいつ等は置いておいて、確かに意に添わない相手とのランチなんてうまくも何ともないからな」

「……ぷっ! 皆さん、面白いですね」


 こんなに意見が合わない集団も無いだろうしな。


「ジェイルさん、他人事みたいな顔してますが当然ジェイルさんも含まれてますからね」

「んなあほな!?」

「二人とも落ち着くてござるよ。良いではござらんか、拙者達が仲良しって事でござるし」


 別に慌ててるつもりはなかったが、なんだか可笑しくなってシズマと二人で笑い合った。

 セバスはきょとんとした顔をしていて、マリアンはずっと笑っていた。




「あの、私、まだ自己紹介してないですよね?」

「そうですね。名前は僕とサカヅキさんは先程聞きましたけど」

「そうでござるな」


 ん? この流れは……。


「そうだな、俺も君に会った記憶はないな。試験初日からの受験者か?」

「いいえ、私は今日ここに来ました」

「と、なると二日目でござるな。拙者達の方が1日先輩でござるな」

「え? でも……」


 シズマとマリアンが俺の事を見る。何だってんだ?


「あの、ジェイルさん……ですよね? 何で私の名前知ってるんですか?」

「僕も気になってたんだ。ジェイル、あの獣人を医務室に連れて行く時、マリアンさんの名前を呼んだよね?」

「ん? そうでござったか? 全く、記憶にござらんよ?」


 ……まずったな。正直、この会場の人数が多くて、千里眼でスキルを辺り構わず見てたから油断してた。


 さて、なんて言おうかな?


 下手な説明すると、俺がストーカーみたいになっちまうし。


「あーえーとだな、それは……」

「ジェイル君とシズマ=ラインズ君だね?」

「はい? シズマ=ラインズは僕ですけど?」


 俺が苦心してその場しのぎの嘘をつこうかと思ってたら、会場に入ってきた教師が俺とシズマに声をかけてきた。


「ああ、ジェイルは俺だ、二人に何か用ですか?」

「ああ、君達二人にライアン学園長が会いたいそうだ」

「学園長……で、ござるか?」


 タイミング的には最良だな。この間に彼等を説得しきれるような言い訳を……。


「わかりました。あの、彼女と彼を一緒に連れて行く事は出来ませんか?」


 なんと!? 何を余計な事を! 俺に考える暇を与えずに攻め立てるつもりか?


「それは……」

「学園長に聞きたい事があるんです。受験者のクラスレベルの決定は学園長がやってると聞きました。でも、クラス3は一受験者には余りに高すぎると思うんです。サカヅキさんは僕等と一緒にゴブリンと戦いましたから、その理由を聞く場所に居て欲しいんです」


 一息つくシズマ。


 むしろ、一息で言いすぎだろう? 早口選手権でもするつもりかい?


「理由はわかったけど、じゃあ、そっちの娘は?」

「彼女は他の受験者に無理矢理連れて行かれそうになってました。僕達が未然に防ぎましたが、その恐怖心はまだしばらく残ると思います。だから、少しでも安心出来る僕達の近くに居て欲しいんです」


 だから、それなら、セバスがマリアンと一緒に待ってればいいじゃないか? クラスについては後から俺達が教えてやれば……。


「あの、先生……」

「ん、何だね? 受験番号241570のマリアン=フェイトナさん?」


 よく覚えてるな、それも魔法か?


「シズマ君とジェイルさんは、私のせいで呼び出されたんですか?」


 ああ? そうか、その可能性もあるのか。シズマは明らかに普通の受験者じゃなかったし、俺はこのアガスティア魔法学園によばれた立場だから全然違和感なかった。


「……内容は私は知らん。もし、知ってても、それを教える事は出来ないよ」


 まあ、当然だな。教師の鏡だな、この人。


 しゅんとするマリアン。


「駄目ですか? 先生」

「うーむ、まあ、聞いては見るが……期待はしないでくれよ」


 ああ……このまま、俺への疑惑があやふやにならないかなぁ。


「やっぱり、私のせいだよね。ごめんね、皆」

「気にする事ないでござるよ! 拙者達は当然の事をしただけでござるから!」

「それは同意なんだが……何故、呼ばれなかったお前が真っ先に反応する?」


 別にどうでもいいんだが。


「ジェイル君、シズマ君。二人が構わないなら別に連れてきていいそうだ」

「僕は全然構いません、ジェイルは?」


 はあ、ここまで来て一人駄々をこねる訳にはいかないか。

 理由はもういいや。何とかなるだろ。


「俺も構わん。いたいけな女性の精神安定の為だからな」

「……いいんですか? 私、一緒で」

「おおおおお、感涙でござる。お二人とも、拙者達の事をそこまで考えくれるなんて……」


 俺は別にセバスの事触れてないよな?


 なんだか、わからないうちに皆でライアン学園長に会う事になった。



タイガ=サンダー

ジョブ

ソルジャー

32歳

半虎人

所持スキル

獣化レベル1/2

斧熟練レベル4/5

精霊魔法(火)熟練レベル2/3

精神耐性-3/0

ゴースト耐性-2/0


 俺達を案内してくれた教師なんだが……教師……と言うか、ジョブ持ちはそれも表示されるのか? しかもノミの心臓だし?

 


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