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第八章、学園編プロローグ、異者は出会った?(2)

「相手はゴブリンでござるか!? こんなの無茶でござる!」

「ゴブリンって、そんなに大変か?」

「確か……クラス3位じゃ無かったかと思うけど?」


 クラス3と言えば、初心者冒険者なら複数人必要な位の難易度。

 少なくても、戦闘も満足にこなしたこともない素人の相手にするような奴じゃない。


「試験管。これは適性な相手なのか?」

「いや、私もゴブリンは初めてだが……指示書には確かに書いてある。君達が期待されてるって事じゃないのか? まあ、何かあったら私が止めてあげるから、思いっきりやりなさい」


 この試験管、いい人だな。


「仕方ないな、シズマ、セバス、諦めろ、作戦通りにやるぞ、準備はいいか?」

「はあ……仕方ないでござるな」

「うん、いいよ」


 俺は、学園の貸し出し用の木の弓を構えた。







「まず、聞きたい事がある」

「何でも聞いてくだされ! 拙者、仲間に隠し事等せんでござる」

「作戦会議だね」


 試験会場を出た俺達は、学園の裏の森に向かいながら話をする。


「言えるものだけで構わない。自分の得意な武器や所有してるスキルを教えて欲しい」

「確かにそうだね。情報が命を救うって言うもんね。僕は格闘なら少しは自信あるよ。スキルは持ってないなぁ」

「確かに……シズマ殿もジェイル殿も博学でござるな。拙者はこの刀の扱いなら誰にも負けんと豪語するでござる。スキルは、受け流しを所有してるでござる」


「どんな効果なんですか?」

「敵の攻撃を捌きやすくなるんでござるよ」


 バカ正直なやつ……この世界でレアと言われるスキルをこうも簡単に明かすとは……ここまでの開示をされたら、それ相応の情報を出さなきゃいけないじゃないか。

 間違いない。こいつは必ずや詐欺にだまされる。


 しかし、どちらも近接戦闘系か。なら、俺はどうする? 後衛に回るか?


「ジェイル、ジェイル……」

「ジェイル殿、ジェイル殿はどうでこざるか?」

「ああ。俺は何でも出来る。槍、弓、剣、拳、何でもござれだ。それに魔法も使える」

「本当ですか!? 凄い……ジェイル」

「流石はジェイル殿。拙者の見込んだ御仁でござる」

「凄くなんかないさ。姉代わりの人には全く歯が立たないし……器用貧乏みたいなものさ」

「わかります。僕の姉も凄く強くて……僕も全く駄目です」


 こんな所に同士が……。


 以心伝心で頷き合う。今、俺達姉に困らされてる同盟を結成した!


「拙者等なら何が出てきても大丈夫でござるな」

「試験と言っても、未経験者の集まりだ。せいぜいオオネズミやオオミミズ位の奴だろう」


 クラス1、いっても2までだろうし、なんとかなるかな。


「もし、どうしても相手に出来ない敵が出てきたら?」

「大丈夫でござるよ。心配性でござるな、シズマ殿は」

「いや、セバス、シズマの言う通りだ。これは試験、あまり無様な戦いは見せられない」


 ならば、その場合は開幕で俺がポイズンをかける。相手が死ぬまで時間を稼ぐ。シンプルだけど確実なこの方法になった。







「スキル、ポイズン! かかったな。よし、じゃあ、二人とも、頼んだ」

「任せられよ! 武士、セバス=B=サカヅキ、押して参る!」

「うん、任せて。シズマ=ラインズ、行きます!」


 紫の霧に包まれたゴブリンに向かって、刀を上段に構えたセバスが突撃して、それの仲間に隠れるようにシズマが追随する。


 俺は矢を弓にかけながら、専用の武器がないのは俺だけだなぁとか考えていた。


 農民や環境のせいで武具を用意出来ない生徒用に、学園が行っている武具の貸し出し制度。

 普段は鍛冶スキルでその都度作成してる為、俺は活用したがよくよく考えると普通は皆事前に用意するよな。


 武器の威力も熟練も段違いだし。


 でも、俺目立たないって決めたからいいんだ、これで。

 出来るだけ、彼等に埋没するように動こう。


 今の俺の弓熟練レベルは5。基本のジョブレベルも加味して使うには威力が高すぎる。


 それも基本ジョブも全て装備してる扱いになってる為だ。

 ジョブを複数装備出来るレアスキル、サイドジョブの意味がない。


 しかも、ステータスが上がりすぎてしまって、ダメージ調整の必要がでてくる。

 これを装備、あれを装備、とか出来てたOOの世界が懐かしい。

 この世界では、アイネスさんやアルさんとかの規格外を除けばスキルの最高は9らしいから。

 むしろ、レベル9なんていったら世界を救う英雄クラスらしい。


 俺のスキルも、それを基準に強化されてるから格闘熟練とかとんでもないよな。40オーバーだし。


 スキルレベルの調整なんて都合のいい事は出来ないので、事前に全てのやじりは潰してただの鉄の塊にしてある。 

 これなら当たった所でダメージは大した事ないだろう。

 しかも、使うのがただの古びた木の弓なら尚更だ。


 そんな訳で矢をゴブリンの足を狙って放つ。


「ぐぎゃぐぐぐ!!」

「ナイス、ジェイルさん。疾っ!」

「まるで与一でござるな! せや!」


 よいちってなんだ? 那須与一か? まさかな。 


「太ももに刺さったか。やはり、多少狙いがずれるな」


 初見の、しかも、使い古された弓矢じゃこんなものかな?


 じゃあ、一寸軌道修正して……と、これでどうだ?


 次いで放った矢は、狙い通りにゴブリンの左足に突き刺さった。


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