第八章、学園編プロローグ、異者は出会った?(1)
入試会場、それは当然アガスティア魔法学園。
まずは教室と思われる場所で筆記試験が行われる。
薦められては来たのに、俺も試験を受けなきゃ行けないらしい。
なんて爺だ。と、思ったがよくよく聞くと、特例で入学させると教師や選民思想の生徒との軋轢がうまれるかもしれない。との事。
平穏が好きなんじゃろ? お主ならここの試験程度軽くいけるわい。なんていいやがった。
俺を理解されてるようで癪だが、確かにその通りだ。
代わりに学費は学園長のポケットマネーで出す。と言う条件で折れることにした。
まあ、クエストをこなせば、学費位屁でもないんだが。
それにしても、与えられた俺の受験番号は142058番。14万って、正気の沙汰じゃないよな。
合格者は500人前後、狭き門にも程があるだろう。
何でも、余りに数が多すぎるらしく、何日かに分けて学園の殆どの教室を使用して試験を行ってるらしい。
会場には様々な格好の色々な人がいる。大半は可能な限りの正装をしてる年若気な少年少女だが、ピラピラのシャーマンみたいな格好の奴とか、明らかに魔法なんて使わなそうな完全防備の重装備の何かとか別の場所であったなら高名な魔法使いに見えそうな老人等……見てるだけでも、退屈しない。
共通してるのは、皆が皆眼には希望を宿してる事か。フルフェイスのやつはわからないけど。
さて、肝心の筆記試験なんだが……問題が発生した。
問題は……これはもう、あってるか間違ってるか所か基本的な事からわからない。
例を挙げると、回復薬の調合に必要な素材は? や、ゴーレムの弱点は? フレイムから身を守る方法は? 等、正直今まで、OO以外にゲームをしなかった俺には何の意味かすらわからない。
回復薬なんて薬草でいんじゃね? ゴーレムの弱点はより強い力で殴り倒す。フレイムは魔法だろうけど、どんなものかがわからなかったので、発動前に相手に接近して一撃で相手の意識を刈り取る。と、思いつくままに適当な答えを書いた。
結果がこちらからはわからないので、それが正解かはわからない。
少しの休憩を挟んで、次いで実技試験になった。
受験番号が並んでる三人で特定のモンスターを倒す事だった。
「こんにちわ。僕はシズマ=ラインズ。よろしくね」
「拙者はセバス=B=サカヅキでござる。共に手と手を取り合っていざ、駆け抜けるでござる!」
戦闘させるって、魔法関係あるのかな? 等と考えていた俺に声をかけてきたのは、黒い長髪の少年と男版ポニーテールのござる武士だった。
「……聞きたい事がある」
「友よ、如何した?」
「どうしたの? 試験の内容は僕も知らないよ?」
そんな些細な問題じゃないし。
「シズマだっけ? 君、幾つだ? それとセバス、お前は執事じゃないのか?」
「僕? 13だけど……あ!?」
「13でござるか!? でも、受験資格は15歳からではござらんでしたか……それに執事とは一体?」
特例者か。シズマ少年は慌ててるけど、別に詳細を聞くとか騒ぐとかするつもりはない。
まあ、少年が一般的な少年より全然幼く見えたから聞いただけなんだけど。
セバスはもういいや。なんか、面倒くさくなってきた。
「あの、お兄さんもサカヅキさんも、この事は内緒に……」
「勿論でござる! 拙者口が堅いでごさるから!」
「俺も興味ないな。家族に君みたいな妹がいるからな」
ガンッ! と、驚愕の表情を向けるシズマ少年。
「確かにシズマ殿は女形に見えなくもないが……」
「まあ、気にすんな。よくある事だ」
「ないよね!? 普通、初対面の人にそんな意地悪言わないよね!?」
トラウマ持ちか……何か触れちまったか。
「そうか、楽しくなりそうだ。俺はジェイル。ま、仲良くやろうや」
さて、いじれそうな少年と暑苦しいござるが仲間になった。
「では、これから指定の場所に別れての試験になるが、何か質問はあるか?」
沈黙が訪れる。
こんな具合はどの世界も変わらないんだな。
俺は一寸聞きたい事があった為、挙手して見る。
「そこの……ええと、受講者142058番」
言いよどんでたけど、確かにこんなにいたらわからんよな。
「質問がある。モンスターは必ず倒さなくてはならないのか?」
「どういう事だ?」
「俺達受験者には、今はまだ戦う術を持たない者が大半だと思う。そんな受験者に、もしもの事がが合った場合は?」
「ふむ、いい質問だな。一応、私達試験管が付いているから、問題ないと思うがこれは戦闘だ。当然その危険性は充分ある。この学園に入学するならこんな授業はざらにある。まあ、どうしてもの場合もあるから、その場合はその場の試験管が判断するだろう」
じゃあ、別に死の危険はないし、必ずしもモンスターを倒す必要もない……と。
「わかりました。有り難うございます」
「うむ。では、今話した通りだ。私達は未来ある君達に期待している。見事、試験をクリアして私達の教え子となるのを楽しみにしている。では、各自、指定の時間まで仲間とのコミュニケーションをとっておくといい。仲間はいざという時にその信頼性で生死を分ける大切な者だ。大切にしろよ、じゃあ、解散!」
さて、どうなることやら。